第4話 明かされるスクールシステム
「あぁ!ありがとうわかっ‥はぁ!?!?」
「ったりまえだろ!?死ぬ覚悟で誓うってなら
あたしらも信じなくはない」
周りで傍聴していた奴らも頷いているものも多く
中には「それならまだ信頼できるな」などといった
この女の発言を肯定する者が多いと認識できた。
なに?きんたまってそんな信頼寄せられるものなの?
それにしたってえげつないなこの女。女が堂々と恥ずかしがらずにキンタマ発言するか?フツーに考えてそんな女子レアだぞ?レア。
まぁここは許してくれるというのであれば、その恩恵は授かるとしよう。
「分かったその条件を飲もう!もし俺が次!お前らに一方的に迷惑をかけることがあったら俺は自らのキンタマを切り落とし!そのキンタマを校門に晒すがいいわ!!」
「‥‥‥」
あれ?何この、しーんとした空気
「〜〜〜〜〜!!」
りあさんは蒸気が立つんじゃないかという勢いで
顔を真っ赤に染めている。やっぱ純情タイプか!萌えるぜ!
「お、おぉ言うじゃん三矢!お前の覚悟は受け取った!今後一切!あたしらに迷惑かけんじゃねえぞ!」
「当たり前だろ!俺だって死にたくないからな!」
「聞いたな!お前ら!三矢涼太は今日から行動を改め!私たちと共に学級目標である本校昇格を目指す!!」
「おぉ!!!!」
クラスメイトが小林の宣言にドワっと湧いた。だがそんな中で俺は、またまた気になるキーワードを口にした小林に眉間を寄せた。
「本校昇格?」
「あぁ?お前は学級目標を決める時寝てたか?そうだ。本校である紅桜高校に私たち全員でのし上がる!それが私たちの目標だ!」
「じゃあこの高校はー」
「あぁ?お前知らねぇのか?ここ赤木高校は紅桜高校の分校であるのは知ってんだろ?偏差値の差も、部活も部費の規模も学校のデカさも全てにおいてここの上位互換!さらにそこで卒業すれば紅桜高校卒業っていう肩書きだけでどこの企業も大学もとってくれんだぜ?んなもん行くっきゃねぇだろ」
なるほどな。大体理解できた。
「編入するって言ってもこのクラスは総勢どれくらいいるんだ?」
「はぁ?んなもんも把握してねぇのかどれだけ無関心だお前‥‥‥30人だ」
「30人か。大人数とは言わないがそんなに紅桜高校に編入できる枠があるのか?」
「へぇー。馬鹿に見えて意外と頭回んのな。確かにお前のいう通り30人も気前よく編入させてくれねぇよ」
バカは余計だ。バカは。その金髪ポニテ引きちぎるぞ。
「じゃあ一体どうやって」
「それはだな。」
「これから行われる能力調査。そして体育祭。この二つで決まると言っても過言じゃない」
そう言って入ってきたのは俺の同室相手である桐坂和真だった。
「お、和真!おは!」
「おはよう。あやめさん。」
「呼び捨てでいいってのに」
小林はため息を吐きながら和真を睨みつけた。
「女性にはさん付けの方が呼びやすいんだ、すまない」
「ま、別に構わないけど」
二人は友達なのか‥‥いやこのあやめという女は
顔が広そうだし、そういう関係でもおかしくないか。
「それで和真。さっきの続きを教えてくれないか」
「うん。能力調査と体育祭はその人の身体能力と学力、スキル。これらの総合的な能力で競われる。つまりはこの二つで分校から本校の昇格転入。本校から分校に落第転入。これらが頻繁に起こる可能性を秘めているのが能力調査と体育祭なんだ。」
「なるほどな。それにしても学力と身体能力はわかる。スキル?身体能力と同じじゃないのか?」
「へ?」
「涼太くん。本当に言ってるの?」
俺が和真達と話している間、ノートを開いて自習をしていた李亜さんが目を見開いてこちらを見ていた。
「え‥‥?いや!スキル!そうか、スキルか!あーそうだったな。もうーまったく怠惰楽な生活を送りすぎて忘れてたわ!」
「ところであやめさん?」
「呼び捨てでいい」
そのフレンドリーな性格好きだぞ、小林!
「あやめはどんなスキルなんだ?」
「ん?あたし?見たことないっけ?あたしのは
空気振動だけど?」
ん?なになに?空気振動?それが趣味?特技?
何言ってるんだこいつは?そんなの異世界とかでいう魔法じゃねぇか!
「体験してもらった方が早いか」
「え、たいけ—————が
「せりゃ!」
そう、それは本当に一瞬の出来事だった。空気の壁に体が押し付けられるように跳ね飛ばされるように。それはもう俺は綺麗に放物線を描いて吹き飛んだ。