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第3話 男の魂

ピピピ♪ピピピ♪


 リズムよく鳴る目覚ましに意識を徐々に覚醒させると、頭上の時計が目に入る。


 6時‥か、俺がかけたものではないから恐らく

和真の目覚ましだろうな。


 そんな和真はというと。


「スピー、スピー」

 

目覚ましをかけてといて気持ちよく寝てやがる.


「自分がかけた目覚ましで他人に起きられてちゃ

世話ねぇな」


 とりあえずゆっくりベッドから降りた。


「さてと、学校がいつ始まるかすら知らねぇしまた遅れて説教喰らうのも勘弁だ。学校が開くとしたら‥早くて7時くらいか」


 とりあえず朝する最低限のことをして早々にここを出ようと思ったその時。


 グーーーー。とアニメの効果音にでも出てきそうな音が俺の腹の中から響いた。


「あ」


 そういえばここにきて一食もしてないな。腹減ったー。


「まぁ、最悪こいつに昼は何か奢らせて今日1日は

それで凌ぐとするか」


 相変わらずクズだなと自負しながら俺は部屋を出た。ここの寮はかなりの大所帯らしく、5階建てで

ロビー、浴場、食堂付きという金に恵まれた学校なのだと昨日寮の案内図を見たときに思った。


 下の階に降りる階段を見つけては段々と降りていくすると人が少しづつ増えてきた。主に動きやすそうな服装の生徒がちらほら見かける。恐らく部活に行くか、朝のマラソンにでもしに行くのだろう。


 なぜか俺の方を見ては軽蔑するような眼差しで見てくる生徒が何人かいたがなんだ?不愉快極まりないんだが。




 登校中であろう生徒の集団に混じりながら道中の坂を登りつつどんな学校生活が待っているのかと胸を躍らすのは、多分蝉の声が飛び交うこの時期では俺くらいだろう。


 じきに校門を潜り、自分のクラスの前で多少なり

緊張をしながらドアを開ける。


 そんな俺に待ち受けていたのは—————


「へ?誰も、いない」


時刻は6.45。すでに空いている学校ですら珍しいというのに、教室にクラスメイトがいっぱいにいるなんて考えればあり得なかった。


「仕方ない。スマホでも見て時間潰してるか」


そう思いスマホを鞄から出そうとしたその時、一人の女子生徒が入ってきた。


 スタイルはーいい、顔もーってか普通に美少女の

枠に入ってておかしくないレベルじゃねぇか!?

こんな可愛い子がクラスメイトだったのか!整った顔立ちに清楚な感じを漂わせる長い黒髪。腰もしまっておりそれがかえって胸の大きさを強調させている!異世界でも可愛い子は多かったけどこれは凄いな。現実でもこんな子がいるのかとつい、じっと見つめてしまった。


「あ、あの。何かついてます?」


「いや、すまない。つい見惚れて‥」


「え?」


「へ?」


何を血迷ったのかつい思ったことをそのまんま言ってしまった。


「あ、いや、そのーー」


 俺が何を言えばいいか困っていたところに男子の集団が勢いよくドアを開けてきた


「うっーーす。、って!りあちゃーーん!おはよーー!」


「小林君!おはよっ!」


「いつも俺らが部活に来る時よりも早く来てるよねー!委員会?」


「うん!そうだよ!」



「学級委員長は大変だな!頑張れよ!」


「ありがとね!橋本君!」


「小林!橋本!りあちゃんに見惚れてねぇで俺たち今日準備当番なんだから早く行くぞ!」


「あ、ちょ待てよ!神橋!じゃあね!」


「3人とも頑張ってねー!」


 見えていなかったのか俺のことは一切触れずに会話は風の如く過ぎていった。あの3人組は部活か?俺もなんかやってるのだろうか?


「三矢君」


「ん?」


いつのまにか隣の席には超絶美少女が座っていた


「へ?あ、あの、ここの席なのですか?」


 と日本語の原型が崩壊しながらも突っこまらずにはいられなかったので言ってしまった。


「へ?うん、そうだけど、っていうか昨日もおとといもずっーーとこの席だったけど?」


「へ、へぇー、そ、そうなんだぁーーー」


 よくやった席替えした時の俺!と褒めて遣わしてやった。経緯がどうであれ美少女が隣というのは眼福にもなるし何より、どこぞの汗臭い男共よりは一億倍いい。それにそれが超がつく美少女だ。なお嬉しい。


「それよりも三矢君。昨日は夕食にいなかったけどどこにいたの?」


「へ!?あ、それはー」


 寮とはわからず路頭に迷っていたとは流石に言えない。ここは適当に回避しておこう。


「いやぁー、少し鍛えたくなってさ!ランニングに行ってきたんだよ。そしたら門限の事忘れちゃって

さー。あははは」


 やばい。すこしキツかったか?


「そうだったんだぁ!でもダメだよ!いくら能力調査が近いからって門限まで破っちゃ!退学にでもなったら本末転倒だよ?」


「そ、そうだよな。これからは気をつけるよ‥ん?能力調査?」


「あれ?知らないの?てっきり三矢君は本校昇格を

狙って特訓してるのだと思ったけど」


「本校?え?どういう事?」


「え、三矢くん」


「りーあ!」


「わっ」


 これまた金髪のギャル系女子がりあさんの後ろから抱きついた。この子も可愛いな。美少女は美少女を呼ぶってことか。ただ、うるさそうであまり好みじゃないな。


「三矢とそんなに話し込んでどうした?もしかして付き合ってんのぉ?」


「もーそれはないよぉ」


 完全に本音だな‥‥まぁ、それよりもいろいろ調べることができたな。黒髪美少女りあさんから出てきたキーワードは主に2つだ。本校、能力調査だ。


 能力調査に関しては学力調査と体力測定を併合

させたものだと予想がつく。だが本校に関しては

謎すぎる。ただ本校昇格と言っていたことから

ここは本校よりも下。「分校」ということになる。


「ってかさりあ!あたし!こいつがうざくてたまらないんだけど!」


 まぁ可哀想にこういう女に目をつけられるほど生きにくいスクールライフはないな。


と、このギャルに恨まれたやつに同情の念を送ると。


「おい、聞いてんの三矢」


「え!?俺!?」


 まさかの俺かよ。やだなぁ。こういうギャルタイプは本当に苦手なんだよ。


「あのさぁ!あんたのせいで毎回こっちが迷惑してんの!そこんとこ分かってる?」


 超絶黒髪美少女りあさんの机に座りながら腕を組み、足を組んで俺に物申している。


「それは、すまん。」


「マジ勘弁なんですけど。そのせいでうちらが本校の連中に笑われるだからね!」


 来た。本校というキーワード。早くこの学校の仕組みに慣れる必要がある以上、手っ取り早く理解しておかないとな。


 だがその前に俺というどうしようもないクソキャラの信頼を回復させておくか。


「本当に悪いと思ってる!もう二度と俺はお前に、

クラスメイトに迷惑かけないと誓う!絶対だ!」


「三矢くん」


 りあが驚いてこちらを見ているのが頭を下げている俺でもわかる。


「へぇー。言うじゃん。そういうのはあたし嫌いじゃないよ。」


「じゃあ!」


「でーも三矢。あんたには前科がある。ってか!ありすぎる!」


 確かに和真の話を聞く限り、俺のしてきた悪行の

数は多く、ましてや常習犯の俺の言葉など安すぎるだろうな。


「今度」


「ん?」


「今度もしあたしらに迷惑かけたら、三矢お前キンタマ切り落とせよ?」


「あぁありがと—————はあ!?」

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