表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元・聖女と魔王の契約戦線~契約婚のはずが溺愛されてます?  作者: 枢 呂紅
8.楽しいハプニングもあるかもです?

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/85

9.


「違うよ、ライラさん。俺が頭を悩ませたのは、アルフォンスをどう説得するかだ」


「へ?」


 ぱちくりと瞬きするライラに、ユーシスは考え込むように長い指を顔の前で絡めた。


「さっきアルフォンスに呼ばれたときに、言われたんだ。サーシャは王家を乗っ取るつもりだ。なにがあろうと、西の砦の好きにさせることだけは、あってはならないと」


 ユーシスによれば、ユーシスを呼び出したアルフォンス王子の目的は、ユーシスに釘を刺すことだったらしい。


 御前会議でのサーシャの発言を、アルフォンス王子は完全に、メディエール家から現王家への宣戦布告と受け取った。だからこそ彼は、王位継承における最大の脅威であるユーシスを呼び出してまで、「サーシャと手を組むことだけは許さない」と警告した。


 そのことに、ユーシスは頭を悩ませているという。


「ウォーレンが言うことが本当なら、アルフォンスもあそこまで頑なな態度は取らないだろう。だけど、サーシャ自身がそれを証明しないと、アルフォンスは耳を貸さないだろうな。というか、耳を貸したところで、それを信じるかが一番の問題なわけだけど……」


「ま、待ってください。ユーシス様は? いいんですか? ユーシス様だって、王位継承を争っているひとりなのに!」


「俺? 俺はかまわないよ。サーシャがどういうつもりであろうと、西の砦とは手を組むつもりだった。ウィルフレドたちを納得させる材料を用意してから、北の砦のみなには話そうと思っていたけどね」


 なんてことのないように肩を竦めるユーシスに、ライラはぽかんと口を開ける。それを見たユーシスは、困ったように微笑んだ。


「俺たちが最優先すべきは、イフリートの企みを砕き、今度こそ完全に倒すことだ。ほかのことは、平和を取り戻したあとでどうとでもなる。おかしいな。ライラさんは、俺と同じ考えだと思っていたんだけど」


「!」


 その言葉に、ライラははっと息を呑んでしまった。


(ユーシス様は、やっぱり私と同じだったんだ!)


 ぶわりと胸の中を喜びが駆け巡る。そうすると、あんなに色々と悩んでいたことが、全部おかしく感じてくる。ライラがじたばたと喜びに悶えていると、ユーシスが不思議そうに瞬きした。


「どうしたの? さっきまで深刻そうな顔をしていたのに、今度はすごく嬉しそうだね」


「ふふ、すみません。なんか、あれこれ考えていたのが馬鹿みたいだなって」


「ふうん……?」


「けど、それ以上に思ったんです。ユーシス様が、私のパートナーでよかったって!」


 ライラがそう言うと、ユーシスが切れ長の目を丸くした。ホッとして脱力したライラは、それに気が付かない。ちょうどカップが空になったこともあって、ライラは立ち上がった。


「夜遅くにすみませんでした。私、そろそろ戻ります。あ、けど。その前に、カップは洗ってきちゃいますね。ほかにも、ハーブティーを淹れた道具があれば……」


「待って、ライラさん」


 きょろきょろと魔道具を探しながら歩きかけたライラの手を、ユーシスが掴んだ。振り返ると、ユーシスが真面目な顔でこちらを見上げていた。


「話はそれだけ? ウォーレンとは、ほかに何も話さなかったの?」


「えっと……?」


 ユーシスの質問の意図がわからず、ライラは首を傾げた。たしかに軽口を叩き合ったりもしたが、それだけだ。特に重大なことは話していない。


 するとユーシスは、どこか不服そうに目を細めた。


「……俺には、彼がライラさんを口説いているように見えたよ?」


「あ、ああ! あれは冗談ですよ」


 笑いながら、ライラは首を振った。おそらくユーシスは、ウォーレンがライラをダンスに誘ったところだけ、目に飛び込んできたのだ。だからバルコニーに現れた時、ユーシスは慌てていた。誤解は解けたと思っていたのに、まだ疑っていたなんて。


 じとりと見つめるユーシスに、ライラはあっけらかんと手を振った。


「直前に、サーシャさんをとっても大事に思ってるってことを、ウォーレンさんが話してたんです。だから、あれは茶化しというか、照れ隠しみたいなものですよ。冗談ついでに、ダンスに誘われただけです」


「本当に? 二人は、前よりもずっと親しくなったみたいだったけど」


「それは、意外に共通点があるのがわかったからといいますか……。とにかく、ウォーレンさんとは何もなかったですよ。って、契約の婚約者に言い訳されても、ユーシス様も困ってしまいますよね」


 笑い話のつもりでライラは付け足したのに、ユーシスはますます不服そうな顔をした。それに気づかず、ライラは明るく続ける。


「けど、おかしなユーシス様。だって、私ですよ? 前世の私だったらあれですけど、いまの私が、大して知らないひとに口説かれるわけないじゃないですか」


「そんなことない」


 思いのほか強く否定されて、ライラは瞬きする。そんなライラに、ユーシスは真摯に告げた。


「ライラさんは綺麗だ。――まっすぐで、まぶしくて、強くて。俺が進むべき道を、いつも明るく照らしてくれる。そんな君が、魅力的じゃないだなんて、絶対にありえない」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ