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仕事でうつ病になったら

作者: エドゴン

【1.序章】


宇月さんはIT業界入社1年目の新人です。毎日慣れないプログラミングをしていますが得意ではなく毎日時間に追われ残業をする日々が続いていました。


プログラミングをしている宇月さんですが、なかなか思うようにプログラムが動いてくれずにストレスが日に日に溜まっていました。残業だけでは納期に間に合わず、休日出勤をすることも多いです。


休日出勤をすることで溜まったストレスの解消をすることができずに、宇月さんはストレスを溜め込んでいました。


課長「宇月、終わりそうか?明日が納期だが。」


宇月さん「わかりません。あと一歩なのですが。」


課長「わからないとは困るなぁ。1年目とはいえ仕事だからな。」


宇月さん「すみません。徹夜でもなんでもして終わらせます。」


課長「頼むよ。」


宇月さんは残業をして徹夜まですることになりました。もう会社には宇月さんしかいません。でも仕事に集中して終わらせなければいけません。


宇月さん「わからない。ここがわからない。誰かに聞くこともできないし。納期には間に合いそうにない。どうしよう。」


徹夜明け、課長が出社してきました。


課長「宇月!終わったか?」


宇月さん「すみません。どうしてもわからなくて終わりませんでした。」


課長「なんだと!残業までして終わらせられなかったのか!お客さまに頭を下げるのは私なんだぞ。損害賠償と言われたらどうするつもりだ。お前が払えるのか?」


宇月さんは社会人1年目。損害賠償なんて払えるわけもありませんでした。


【2.損害賠償】


課長「大変申し訳ございません。開発を全力で進めてきたのですが、本日までに完成できませんでした。」


取引先「困るねぇ。今日から新しいシステムが使えると思っていたのに。今回の件はそちら側に全責任があると思うけどどうかね?」


課長「おっしゃる通りで。」


取引先「100万円、100万円でどうかね?100万円安くしてもらえないだろうか?」


課長「はは。社長と相談をして早急にご連絡をいたします。」


課長は自社に戻り宇月さんを呼びつけた。


課長「何をしてくれてんじゃ、ボケェ。100万円の大損害だぞ。宇月、お前が払え。給料もらっているだろ、そこから毎月返済をしていくんだ。」


宇月さん「それはあんまりです。100万円もありません。」


課長「全責任はお前にある。払うしかないだろ。社長にも伝えておく。毎月の給料から天引きだ!」


宇月さんはもう心身ともにボロボロでした。体調の異変を感じました。プログラムを完成させるまでの間、さらに残業や徹夜を繰り返したのです。


【3.心療内科】


そしてお給料日。宇月さんは給料明細を緊張しながら開きました。見てみるとなんと損害賠償として5万円も天引きされていたのです。


宇月さんは青ざめました。これでは生活ができないからです。


課長「ふっはっはっは。給料から天引きされていたか。いくらかは知らんが、しばらくは辛抱するんだな。」


宇月さんは落胆しました。仕事は手につかず、なんとか1日をやり過ごしました。


そして土曜日。宇月さんはもう限界だったので思い切って心療内科を受診することにしました。


宇月さんは会社でのことを主治医に伝えました。


主治医「それは大変でしたね。仕事がうまく進められなかったのは良くありませんが、上司や先輩も教える立場なのになんの手助けもしていなかったのは問題ですね。まずは会社を休職し、ゆっくり休むことが先決です。嫌なことから時には抜け出すことも必要なのですよ。3ヶ月間の休職をしましょう。診断書は書いておきます。」


宇月さんは心が解放されたように感じました。診断名はうつ病でした。


【4.診断書を会社に提出】


宇月さんは最後の力を振り絞り、会社に出社をして直接課長に診断書を提出しました。


宇月さん「課長。これをお願いします。」


課長「なんだこれは?・・・診断書ではないか?一体どうしたんだ?」


宇月さん「あ、あの。心療内科に行きまして、休職をさせていただきたく思います。」


課長「休職なんかしたら今お前がやっている仕事は誰がやるんだ?納期に間に合わなかったのはお前のせいだろ。こんな状態で休むのか?おかしいだろ!」


宇月さん「すみません、決めたことなので。今日はこれで失礼します。3ヶ月間お休みをいただきます。」


宇月さんは勇気を振り絞って言いました。


課長「おかしい。俺が怒られるんだぞ。なんていう身勝手なやつだ。考えられん。自分の仕事には責任持てよ。」


宇月さん「それでは失礼します。」


宇月さんは心療内科を受診したことで、会社の仕事よりも自分の体の方が大事であるということがようやく理解できました。


残業続きで心身ともにボロボロになっていた宇月さんにはちょうど良い休暇となりました。


相変わらず給料(休職手当)から損害賠償の5万円が天引きされていたので生活はきつかったです。休職手当はお給料の6割が支給されました。


【5.休職後】


宇月さんは3ヶ月の休職期間中に考えていたことがありました。それは転職をすることです。残業の多さや休日出勤をしなければいけないほどの忙しさであり、誰も仕事を助けてくれない風潮に嫌気が差していました。完全なブラック企業ですね。


宇月さんは何もわからない新人だったため、会社のコマになっていたことに気づけなかったんですね。まるで奴隷のような扱いでした。


休職期間中に体調が回復した宇月さん。休職明け、宇月さんは課長に辞表を提出しました。


課長「お前、借金があることを忘れたか!働いて返済するんだろ?」


宇月さん「借金はありません。今まで天引きしていたお金も、労働基準監督署に行って返還を求めます。」


宇月さんはとても頼もしくなりましたね。残業続きで疲れ切って、正常な判断ができていなかった時とは大きく変わりました。宇月さんはその後、ホワイト企業に転職できたそうです。

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