第3話 いざっ!冒険へ出掛けよう!
◇◇◇
スライム襲撃事件の後、リリアとロルフは正式につき合うこととなった。ロルフの快挙、ぶっちゃけ粘り勝ちである。あーとかうーとか言ってるリリアに、
「今から俺なしではいられなくなるほど、俺の愛を教えてやってもいいんだが?」
と、なにやら不穏な言葉を吐いているので、思わずコクコクと頷いてしまった。目がマジだった。ヤバかった。アイツはやる!そういう目をしていた。
とは言っても、なんだかんだリリアもロルフのことが好きなのだ。一度意識してしまえば、ストンと納得してしまった。一緒にいて一番楽で、それでいて、楽しい。イケメンで、強くて、頼りになる恋人。最高ではないか。ただ、恋人同士のおつきあいというのがイマイチぴんとこない。まぁ、ロルフとならなんとかなるだろう。そう考えていた。
ロルフの愛はリリアが考えるよりもはるかに重たいのだが。
◇◇◇
今日は二人で、冒険者殺しの森に来ている。実はここ最近、冒険者殺しの森で活動するのが二人の日課だ。目的はただひとつ。リリアの従魔を探すため。
リリアはテイマーの基本魔法である「テイム」しか使えないため、従魔がいないと冒険者を続けることができない。現在ギルドでアルバイトをして生計を担っているが、せっかくロルフとパーティーを組んだのだ!冒険者として一緒に活躍できるように頑張りたい。
っていうか、このままではリリアが足手纏い過ぎて、ロルフが活躍できなくなってしまう。それだけは避けたい。
ロルフにそう言うと、別にそんなこと気にしていないと言われたが。なんなら冒険者を辞めてもいいとまで言われたのだが。
◇◇◇
「俺は甲斐性なしじゃねーからな。リリアが冒険者辞めたって別に……お前に一生苦労させねーよ……」
赤い顔でボソボソ呟くロルフ。
「でもさ、私が冒険者辞めちゃったら、ロルフが国外で活動するときとか、留守番だよ?また、長い間離れ離れになっちゃうよね」
「リリアは、俺の帰りを待っててくれないのか?」
ロルフが棄てられた子猫のように悲しそうな目をする。なにしろリリアは前科持ちである。誤解が溶けたとはいえ、ロルフにとっては軽くトラウマだ。
「そんな訳ないよ!でも、その、ロルフがいないと私が寂しいの!」
リリアが真っ赤な顔でプイッと横を向くと、ロルフは胸を押さえてしゃがみ込んだ。私が寂しい。わたしが!
ロルフは思わずリリアを抱き締めた。
「お前は俺を殺す気か?殺す気なんだな?」
「へっ?なんで?」
キョトンとするリリアを抱き締めて、なんならそのまま押し倒したくなるが、全力で我慢した。まだだ、まだ早い!でもキスぐらいなら?
「ちょっ!ロルフ!近い!」
焦るリリアの声にふと気がつくといつの間にか押し倒していた。無意識って怖いな。でもせっかくなので首筋に軽くキスをしておく。
「んなっ!」
顔を真っ赤にしながら口をパクパクしているのがほんとに可愛くてたまらない。
ニヤリと笑うロルフに、リリアはヒシヒシと身の危険を感じていた。やはり早めに従魔を見つけなければ……
◇◇◇
というわけで、ロルフ立ち会いのもと、従魔となる魔物を探しているのだった。
「ねぇロルフ、どんな従魔がいいと思う?」
「そうだな。取りあえず、ある程度意志の疎通がとれる魔物であることが大切だ。レベルの低い魔物だと、慣れるまで主人を攻撃することもある。俺がそばにいるときならいいが、リリアひとりのとき攻撃されたら悲惨だしな。」
意志の疎通ができる魔物。それは上位種を意味する。
「でも、上位種なんてどうやって仲間にしたらいいの?」
「まず俺がボコボコの瀕死状態にするから、その状態でリリアがテイムしろ」
「ええっ!嫌だよ!」
「なんで?」
「そんなことしたら、ロルフがそのこに嫌われるでしょ?」
「別に嫌われないんじゃないか?でも俺がテイムするわけじゃねーからな。この場合はどうなんだろうな?」
うーんと頭を捻る二人。何しろ一度もテイムに成功したことがないため、リリアのテイマーとしてのスタイルが分からない。テイマーは、弱らせて瀕死状態になったところをテイムするスタイルが一般的とされており、強い魔物を圧倒的な実力差によって服従させるテイマーが多い。
「そもそもリリアにテイマーの素質があったことが驚きなんだが」
「ひっひどっ!」
「いや、お前、自分の従魔が戦って傷つくのとかいやそうじゃん?そこは割り切れるのか?」
「か、考えたことなかった……猫ちゃんを迎えに行くことしか考えてなかったし」
「ま、取りあえず数をこなして自分のスタイルを探すしかないな」
「うん!頑張る!」
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