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#8 / 乙女にとっては生理的に無理らしい?


「何で貴方がここにいるのよ。」

「適当に歩いていたら偶然会っただけだよ。」

後日、適当に商店街を歩いていたら九条恵と会った。

「彼女いるんじゃなかったの?」

「部長に捕まってて、今日はデートできないって言われたからな。」

「ふーん。それは残念ね。だからって何で私と一緒にいるのか理解できないけど。」

「試しに真里奈という子に会ってみようとしたけど。どこにも居なかったら会えなかったよ。」

「・・・じゃぁ、妹さんと付き合えば?」

「いや。その妹と会いたくないからこうして外で無駄に時間を潰しているんだけどね。」

「妹と喧嘩したの?」

「いや。その逆。あいつ、もう少し友達と会話できれば良いんだけど。コミュ障のせいで、話し相手が僕以外いないんだよ。」

特に中学生になってからは、友達が居ないままの状態になっている。

小学生の頃は多少は一緒に他人と遊べていただろうけど、今となってはコミュニケーションが難しいとか。

「僕が甘やかしすぎたわけでもないのにな。」

「そうね。妹の出来が悪いだけで、貴方には落ち度はなさそうだし。」

「美亜が思春期に入ってから、少々厄介だからな。」

「残念な子だというのはわかったけど。あまりその相談には乗れないわね。」

「ふむ。九条には、兄弟とかいるのか?」

「いないわ。一人っ子だけれど、そういう意味では貴方は羨ましいわね。」

「他人には分からない苦しみだな・・。」

「それで。雨宮梓さんの彼氏さんは、私なんかと付き合ってどうするつもり?」

「えぇと。」

「・・・まぁ良いけど。お金は持っているんでしょうね。」

「え?」

その後、僕は九条恵と一緒にゲームセンターまで行った。

そこで色々遊ぶことになったが、恵にとっては梓と遊びたいと思うのだろうか。


「一応ぬいぐるみは手に入れたし。今日はこれぐらいにしようかしら。」

「なぁ。九条は、好きな人とかいるのか?」

「いきなり何よ。」

「いや、梓や妹とかに色々言われて。他の子もどういう感じか気になって。」

「そんなの知らないわよ。貴方みたいに、すぐに女の子から来てくれるのとは違うし。」

「えぇと。もしかして恋愛とかは苦手なタイプなのか?」

「さぁ。恋愛なんて結局、性欲を綺麗に言っているだけでしょう?」

「・・・・。」

ひねくれているのか、それとも本当に言っているのかは分からない。ただ、彼女がそこまで興味なさそうなのは分かるけれど。

「別に、梓みたいな事をしなくても良いんだよ。」

「そうね。何であんな事したのか、本当に理解不能。貴方に誑かされたとしか思えないわ。」

「僕は何もしていない。」

「本当に?彼女の弱みを握って、梓からエッチな事を要求したんじゃないでしょうね。」

「そんな事できるわけないって。」

「・・・。」

「えっと、やっぱり今も気持ち悪いとか思っているのか?」

「そうね。でも実の妹が主人公に突然キスするよりはマシかしら。」

「・・・・。」

確かに、そういう気持ち悪い事をしてしまったキャラクターはいるけど。

「一体何を考えたらあのタイミングでキスしたりするのかしら。」

「そういう世界なんだろ。」

「でも、もしかしたら梓はそういうのに影響されてしまって。あんな事をしでかしたのかしら。」

「まさか。」

多分、そんな事はないだろうけど。

「というか。女の子同士のキスだったら良いのか?」

「さぁ。現実に見たらおそらく、誰であっても私は逃げるわね。」

「逃げるのか。」

「逃げて吐くわ。」

「吐くのか。」

それではゲロインになってしまうが。

「生理的に性欲は受け付けない感じか。」

「いや。口の中にもし、今日食べた物の残りカスが入っているのかと思うとね。」

「・・・・。」

やっぱり潔癖症ではないか。

「梓とキスした時はそんな事考えていなかったけど。」

「今思い出しただけでもゾッとするわね。」

「お前、梓の事好きじゃなかったのか?」

「好きよ。でも、それを超越した何かっていうか。もし、貴方の妹が無理やり男子生徒に押し倒されているところを見たら。私以上に憎悪感を抱くわ。」

「あぁ・・つまり。」

九条恵は梓の事を姉みたいに思っていただけなのか?

「ん?じゃぁ、九条が誰かとキスをするのは別に良いのか?」

「え?何で?」

「えぇと。え?」

「何で私がキスをするの?」

まるで自分が登場人物に入ってないかの台詞だった。

「えぇと。だから、もし梓みたいに誰かとそういう風にしたいとか。思ったことはないのか?」

「私が?考えたことなかったわね。」

「・・・・。」

何で僕が九条恵にそこまで性教育みたいな事をしないといけないのだろうか。

「分からないわね。電車で痴漢にも会ったことないのに。」

「ないのか。」

それは良いことなのか。それとも凄いことなのか。

「現実に、エロい事をしている人なんて見たくないだけかもしれないわね。私の夢が壊れるっていうか、本来なら神聖であるべきだもの。」

「神聖?」

「だから私はとりあえず、貴方が梓とどんな事をしていても何も知らないから。好きにすると良いわ。」

「えぇと。とりあえず、自分はそういう事をされたいと思ったことはないと。」

「そういうのとは違うんだけど。私だって別にそういうことは考えたことあるわ。小説のヒロインに同調することぐらい。」

「えっと・・?」

「でも、アニメや映画で他人がキスしているところを見るのと。現実に誰かがキスをしているところを見るのとは違うのよ。血糖値とか自律神経がおかしくなって、相手に対する憎悪感が半端ないんだから。」

「それってつまり嫉妬なのか?」

「嫉妬なわけないでしょう?何で貴方に嫉妬しなくちゃいけないわけ?」

「それはそれで意味がわからないんだが。」

「だから。そうね。おそらく他人であっても嫌なんだから。」

「・・・もしだけど。仮に僕と梓が変な事をしているところをまた君が見たら、その時は同じ反応するのか?」

「・・・知らないわよそんなの。次やったら教師にちくるわよ。」

「やめろ。」

「せんせーい。また教室で男子が女子と変な事してまーす。」

「そんな事をされたら退学になる。」

「そうね。とりあえず停学程度になるように罪の減量ぐらいは測ってあげるわ。」

「そんなに僕と梓がキスしているところを見るのが嫌だったのかお前・・。」

ある意味、振られるよりも傷つく拒否感情だった。


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