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#7 / 美亜は思春期だから仕方がないとしか言えない


校内デートという意味不明なイベントの後、とりあえず僕はすぐに帰宅した。

別にそこまで目立つことをしたく無いからだが。しかし家の中にいてもさほどやることはなかった。

「お兄ちゃん。私どうしたらいい?」

妹の美亜からも意味不明な事を言われている気がした。

暇なので妹の面倒をみるしか無いのが一番の問題だった。

「何がどうしたらって?」

「これからのことだよ。」

「知らない。」

「育児放棄。」

「僕は君の兄で、別に父親じゃ無いんだが・・。」

というか、人生相談ができるほど僕は有能というわけでも無い。

逃げ道を用意するくらいしか、明らかに僕は考えていないのだ。

「もし私がどうなってもいいっていうの?」

「スキルでも磨けば・・?」

「何の?」

「好きな事を。」

「ふむ。それが分からないから困ってるの。」

梓からの受け売りだが、トライ&エラーを繰り返せば大抵の人間はスキルを得られるらしい。

こいつは無能のままなんじゃ無いかと思っている人間であっても、ある程度修練を積めば無能から凡人にランクアップする程度だが。

問題は、そのトライ&エラーを長期間達成できるほどの環境を持っているかどうかだ。

心を折らせない覚悟も必要だが、しかし人間はちょっとした事で努力する事をやめてしまうこともある。

無駄だ、これは意味がないと思わせないための努力も必要で。ある意味そこが一番面倒くさいらしいのだが。

「ん・・。」

梓に、そんな努力が本当にしたとしても能力が伸びないやつとか居るんじゃないかと言った。

彼女にとってはその疑問は大したことがないらしい。何せ、自分には無理だと思っていた高難易度ゲームをクリアするような人がいる限りは。

結局はその人間がどこまでスキルを得られるか、それがゲームだとしても似たような理屈は通る。

「雨宮梓さんという人の彼女になったお兄ちゃんは、別に努力してその恋を達成しているわけじゃないのにね。」

「確かにそうだけど。恋愛の場合は・・。」

恋愛もまた、何度も繰り返して研磨すれば更にモテたりするんだろうか。

「・・・。」

恋愛を繰り返すなどという行為をすれば、最終的に殺害されそうな気がするが。

しかし、美亜の言い方から考えると。明らかに恋愛も努力せずに行うのは難しい。

例えば、突然女子寮の管理人になって。その住人たち全員と仲良くできるようなことはあっても。

実際にそれが出来るのかどうかは別の話である。

「美亜にとっては、努力した方がいいのか?恋愛とかも。」

「さぁ。男はともかく女は無理じゃない?」

「どういう意味?」

「練習したらダメだから。そういう意味では、本来男の方が動くべきなのかな。」

「・・・。」

「でも、今時誰とでも仲良くできそうにないのかな。エロいことしたら、すぐにツイッターとかで・・。」

「やめろ。そういう生々しい想像をするな。」

「うーん。やっぱり悪いことはするものじゃないよね。」

「悪いこと?」

「だから、不特定多数の異性に声をかけて仲良くしようとする生き物は社会的に不幸になりやすいんじゃないかな。今の方が、むしろ良い子でいないといけないっていうか。もしクラスメイトの女子とエッチなことをしてしまったら、普通に晒されちゃうんじゃない?」

「でも少子化自体は昔からあるだろ。」

強引に妹の言っている事を回避しようとしたが、20年前から少子化してまーすと言っても負け惜しみでしかない。

「良い子で居たいからっていうこともあるんだけど。そういう同調圧力、仲良しじゃないと怒られるから。結果的にみんな恋愛しにくいのかな。」

「妹の割には上出来な考えだな。」

「お兄ちゃんみたいに、幸運にも女の子がバカになって抱きついちゃうみたいなことなんてそうないと思うし。」

「・・・・。」

ダサいTシャツを着ている我が妹に、バカという評価をつけられた梓はどうしたらいいのか。

「恋愛自体は悪いことじゃないだろ。」

「そうかな。」

「え?」

「もし、友達が付き合っている彼氏、もしくは彼女に興味本位でキスしたらダメでしょう?」

「当たり前だろ・・。」

「良い子でいなければいけないのだから、もし好きな人がいたとしても良い子として振る舞わなければいけないんだから。必然的には、恋愛は難しくなると思うし。良い子である限り、恋愛が性欲とワンセットである事を認めないと思うけど。」

確かに、九条恵みたいな女子生徒は嫌悪感を隠し切れていないけど。彼女も結局良い子である事を守っていたからこそ、その性欲に憎悪感を持っていたのかもしれない。

良い子である限り、性欲が悪い事になってしまうのなら。そもそも恋愛なんてまともに出来るはずがないのだ。

金銭的、あるいは外見の問題を無視して考えたとして。今の人間にとって恋愛に負い目を感じているのは、社会が怖いからだろうか。

「美亜としてはエッチがしたいのに。」

「そのセリフがなかったらお前の評価は爆上がりだったんだがな。」

「格好つけても無駄よ。貴方は目の前の席に座っている女子に興奮しているのを私はわかっているんだから。」

「そんな事をクラスの目の前でいうからお前は男子に嫌われるんじゃないか?」

「別にー。可愛い子をいじめたくなる心理ってあるじゃない?」

「最低だ・・・。」

「クラスで一番かっこいい男の子がどういう女の子が好きかを考えると。その女の子の対象を汚したくなるじゃない?」

「何で僕の身の回りの女子はそういう獣が多いんだ?」

下手をすると、この子の将来は悲惨なものになりかねない。

「全く。もう少し知的になって欲しいんだが・・。」

「良い子でいる限り恋愛できないのなら、いっそ突撃してしまえば良い・・!」

「それで純真な奴はどうすれば良いんだ?」

「処女とエッチするのと非処女とエッチするのどっちが気持ちいかなんて私は知らないんだから、そういうのはお兄ちゃんが実践してよね。」

「いきなりなんて無茶を言う・・?」

「童貞が処女を好きになるのは良いけど。私ではどっちが良いかなんて分からないじゃない?」

「うーん。」

「下半身に血がついていないと興奮しないみたいな猟奇的な嗜好なのかな。」

「・・・・・・。」

妹の美亜は、中二病ではないが若干悪趣味なところがある。

「生理痛で苦しんでいる女の子に興奮する男性だっているはず。」

「何言ってんだお前・・!?」

「・・・・。」

「そしていきなり黙るなよ。」

「いや、お兄ちゃんって。初めてみた裸の女性の人って誰なのかなって。」

「・・・・。」

「いや、家族以外のだからね。カウントしないでよ気持ち悪い。」

「妹がバカでよかったよ。」

面倒くさいが、しかし家族以外で初めてみた異性の体が誰なのかはわりと教材になるのかもしれない。

「はっきり言おう。」

「うん。」

「分からない。」

「何でよ!!!」

怒鳴られた。

仕方がないだろう、初めてみた家族以外の女性の体なんて覚えていないんだから。

「あぁ。きっと3、4歳の頃に温泉に連れてってもらったんだそうに違いない。」

「・・・・・。」

「そうね。そう言う経緯があったからお兄ちゃんは。後で更に成長して、男風呂で女の子の裸を見て興奮するような人に・・。」

「いやいや。僕をそんなロリコンだと思うなよ。確かに女の子の裸をリアルで見たことはあったけどそんなのいつまでも覚えているわけないし。」

「そうよね。裸だけ見たら妹とそう大差ないもの。」

「そうそう。」

「・・・・そう言う意味では、混浴した先でJKと会っていたらヤバかったんじゃない?」

「・・・・・・。」

この妹はからかっているんだろうけど、しかし男としてそれは由々しき事態だ。

下手をすれば裁判になるかもしれない。

「その無反応を見る限り、若干その頃の事を覚えているようね。」

「うるさい。大体、入ったと言っても一度だけじゃないか?」

「そうね。親戚に女の子がいて一緒に入ってくれた方が案外良いかもしれないけど。」

「・・・。」

本当のところ、自分の目の前で5、6歳ぐらいの女の子が風呂の中を歩いていくのはどうかと思っていたのだが。

いくらロリコンではあっても、僕は社会性の方が大切なので自重して欲しいとは思っていた。

「お兄ちゃんが一番最初に見た他人の裸は幼女なのは分かったわ。」

「後ろめたい事を言うな!大体思春期入ってないだろ!!」

「じゃぁ何よ。14歳ぐらいに、裸を見てしまって耐えられないみたいな事はあったの?」

「んー。」

「二次元ぐらいでしょうね。」

「ん?いや、ネットで画像拾えるぐらいには・・。」

と言うか。冷静に考えたら画像に絞って考えた場合、いくらでも異性の体を見る機会はあったりするんだよな。

「どんな子だったのかしら。」

「お前、何でそんな興味津々なんだ?」

「お兄ちゃんみたいに、他の男子が気にしている女の子がどう言う子なのか確かめたいだけよ。」

「無慈悲すぎるんじゃないか・・?エロい事考えているとバカになるぞ。」

「この国の性教育は歪んでるわ」

「歪んでいるのはお前の性欲だ。」

「それで。お兄ちゃんにとって初めて性的な感情を持ったキャラクターは誰なのかな?」

「家族にそんな事を教えなくちゃいけないなんて酷すぎるな。」

「なんて。別に言わなくても良いけど。でも、今時女の子のキャラクター数は多いからなぁ。」

「お前、一体何がしたいんだ?」

「男子が好きなキャラクターの声を真似して変な事言ったら面白そうじゃない?」

「鬼畜すぎる・・・。」

本当にそれを実践して彼女は本当に大丈夫なんだろうか。心配になってきた。


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