6.本気モード
タブレットを開き、すとぷりのジェル君を調べる。
貞子は、いい年して、こんなアニメが好きなのか……
そう思いながら、よく見て絵を写した。
サラサラサラ~
テレビがコマーシャルに入ったので、貞子が顔を向けてイラストを見た。
「きゃあ! うまーい!」
「HAHAHA! 本気を出せばこんなもんよ」
てか、摸写だからうまく見えるのは、当たり前田のクラッカーなのだ。
「やれば出来る子じゃん!」
いちいち上から目線である。
「じゃあ、これをデジ絵にしてよ」
「なんで? このままでいいだろ」
「いいでしょ」
「やるなら自分でやれよ。スマホがあるならカメラで写して、アプリで画像変換するだけだろ」
「出来ないの! やり方分かんないし。ね、いいでしょ! お願い! 色も塗って!」
「めんどくさい。やだね」
「おねがーい。ビール一本買ってあげるから」
チーズと言いビールと言い、報酬が安すぎる。
「日本酒くらい買えよ」
「わたし未成年だから、日本酒は買えませーん」
今、ビール買うって言ってただろ。
「じゃあ、ビールで決まりね」
「勝手に決めるな」
デジ絵を描くのは面倒くさい。
パソコンの調子が悪いのである。
ユーチューブを見ればすぐに固まってシャットダウンしてしまう。画像を編集して保存しようとすると、三回に二回は「申し訳ありません。保存できませんでした」と表示される。
だが、これ以上ゴネたら、逆ギレされるオソレがあると思った。
やると返事はしなかったが、彼女は期待して帰って行き、伽椰子はちょこんとお辞儀をしてから、貞子について行った。
わたしはラウンジに一人残された。
デジ絵か……、はあ……
ま、とりあえず、明日考えるとするか。
次回は「7.プライド」