表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/11

3.すとぷり?

 貞子が「ねえ、すとぷりの絵を描いてよ」と言った。


「やだよ、めんどくさい。自分で描けよ」

「だって絵、描けないもん。ねえ、お願い」

「てか、すとぷりって何だよ」

「すとぶりも知らないの!? うそ、信じらんない」


 なんだ、その馬鹿にしたような言い草は。


「なら、ヒプマイでもいいから」


 ヒプマイなら知ってる。ヒプノーシスマイクである。歌を聴いたことがあるが、結構かっこよかった。名前は知らないが、ジャイアンの声優は上手かった。


「知らん。てか、絵なんか描いてどうすんだよ」

「インスタにアップする」

「なんで?」

「〈いいね〉が欲しいからに決まってるでしょ」


 分からん。


「自分が描いたって言って自慢したいから」

「じゃあ、自分で描けよ」

「わたし下手だからさあ。お願い。夢学ちゃん(無論これも仮名)、絵、上手いでしょ。それだけは認めてあげてるから」


 なんで、こいつはこんなに偉そうなんだ。


 わたしの方が年上なのに。


「あのなあ、キャラクターを描いてインターネット上で公開すると著作権法に引っかかるんだよ。知らないのか?」

「いいんだよ。すとぷりは許可されてるの。みんなやってるし。初音ミクと一緒」


 へえ、そうなんだ……。


 そういう同人文化を大切にする会社っていいと思う。それなら、すとぷりは、とっても好感が持てる。


 ただし、今だけは面倒くさいと思う。


 絵を描きたくはないが、もし描くなら一枚、五万円はとりたい。


 わたしはプロではないが、絵の安売りはしない。絵を描くにはそれなりの技術と、何より時間がかかるのである。その時間、仕事をすれば、そのぶん稼げる。


 ちなみに、うちの会社は残業代は出ない。


「いい、分かった? じゃあ、ヨロシクね。これあげるから」


 貞子は、さけるチーズを一本テーブルにおいて、去って行こうとした。


「おい! ちょっと待てよ! 引き受けてない! おいったら!」

「頼んだからねー」


 彼女は手を振ってラウンジを出て行った。


 テーブルの上には、さけるチーズ。スモーク味。嫌いではない。


 だが、ちょっと、安すぎだろ。


次回は「4.製作開始」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 3.すとぷり? まで拝読しました。 突っ込みどころが多くて面白い仕上がりですね! お代はさけるチーズなんですね。*\(^o^)/*
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ