五獣の塔は樹だった
【大いなる呪い・隻腕】
ー 大義のために自分をなげうった隻腕のサムライの一部。それは嘘を暴く戦い、しかしその中でいつの間にかサムライは仲間と愛する者を背にしていた。自分は幾らでも捨てられようが愛する娘だけは捨てられぬ、修羅になりきれぬ人の性ゆえにサムライは自ら命を絶ったのだ ー
【武芸十八般・異】
ー サムライが習得すべき十八の戦闘技術、なのだがトモエは通常の十八般とは関係ないものまで取り入れて十八般とした為その内容はサムライの模範とは言い難い。ただし、実戦においてその特異性は柔軟性となりあらゆる局面に対応した。一人で大軍に匹敵する戦果を上げることからトモエは個軍と恐れられた ー
「あ、うん。これはまあ予想通り」
二回目だからね。どうせ二個目の奴が消えるのも知ってるから別に良い。もったいない気もするけどな。
「うんうん、やっぱりれひとはんは良い器やなあ」
「褒められてんのかそれ」
「褒めとるって、それじゃ次行こうねえ」
「次ってなんだ?」
まさか二本目が飛んでくるんじゃねえだろうな、さすがに連続は負荷がでかいぞ?
「もちろん次はこの五獣の塔や」
「ああ、確かこれはセフィロトなんだったか」
じゃあ管理者呼び出して、お話しないとどうにもならないじゃねえか。
「じゃあ管理者を呼ぶ方法を考えねえと」
今はグリンもいないからな、そもそも樹じゃないセフィロトにどうやってアクセスしろって言うんだ。手を突っ込むような真似もできないし。
「それならここにおりますやろ」
「え?」
トモエが後ろの獣を指差す。
「おいおい、五獣がそれぞれ管理者だったとか言うのかよ?」
「察しがいいんやねえ」
「まーじかー、倒しちゃってるけどここ大丈夫だったのか?」
「問題ないなあ、あくまでれひとはんと戦ったのは影法師。本体はこっちやさかい」
心なしか柔らかい雰囲気になった五獣が俺の方を見ている。どことなく感謝の意が伝わってくるような気さえする。ていうか召喚獣扱いだよね今、そっちが本体なんだ。
「れひとはん手伝ってあげて」
五獣が一気に俺のところに殺到する、思わず目を瞑るが特に攻撃をされるということもなく、ただ囲まれただけだった。
「触れってのか」
リチョウが無言で頭を差し出してきたのでそれを触ってみる。
「ふわっふわやあ」
おおっと、思わず声が漏れてしまった。あんな化け物じみた強さなのになんでこんなモフモフのふわふわなんだ。
「うおおおお!?」
なんか一気に情報が流れ込んできやがった。これを操作しろっていうのか。頭パンクするわこんなん。
『アクセスを確認いたしました、それではご用件をお伺いいたします』
便利機能あんのかよ、まあいいや好都合だし。それじゃあサクッとこれをクリフォトに変えてくれよ。
『承知いたしました、有資格者であることを確認。セフィロト【エル】をクリフォト【アスタロト】へと変更します』
さっさとやっちまってくれ、ちなみに内部にいる奴に変な影響とかないだろうな。
『ありません』
ならよし。
『ではクリフォト【アスタロト】解放の特典をお受け取りください』
①啓蒙の数珠
② 聖骨
③守り竜アディシェス
はいこれも二回目なんで分かってまーす、これで悩むと勝手に決められるんだろ? じゃあもういいよ、説明とか読まないから。前回は使い魔で痛い目見たから今度は大丈夫そうな奴をいこうか。
『お決まりですか?』
数珠でいいわ、数珠で。骨とかもう嫌な予感しかしないし。
『承知いたしました。啓蒙の数珠を譲渡いたします』
『啓蒙の数珠』
ー 見えぬものを見る、暗がりにある中で光を見出す、見えぬ道を見つけだす。そのような生温いものなどではない。これは真理を見るためのものだ、この世界の外にある御方と繋がるためのものだ。いあ、いあ、くとるー、るるいえ、いあ、いあ、はーすたぁ、唱えれば聞こえてくるだろう、深海の呼び声が、深淵の咆哮が ー
いーらーねーえー!! まさかまさかの外宇宙交信用の数珠かよ!! 予想できるわけねえだろこんなの、このゲームに悪ふざけ的にクトゥルフ要素があるのは知ってるけどここで来るのかよ!?
『同時にセフィロトの種を生成します』
あ? 良いよもう俺に組み込んじゃって。どうせこれで聖痕と呪いとセフィロトのクリフォトが揃うんだ。二つ目の冠になるんだろ?
『承知いたしました』
何かが内側に入る感覚、これでセフィロトの分も飲み込んだってわけだな。
『条件の達成を確認しました、聖痕、大いなる呪い、セフィロト、クリフォトの統合を開始いたします』
もしかしてまたわけの分からん詠唱聞かされんのかな。
『願いは歪められたり。箱庭に生くるは家畜の生、真なる生はいまだ遥か遠く』
あれ、言ってること違くね?
『人なれば獣にあらず、人なれば奴隷にあらず、されど真の星は隠された』
もしかしてこれってかなりの重要情報だったりするの?
『神は人なくして神ならず、神は奇跡なれども軌跡にならず、ただ座して檻を眺めし者なり』
やっべ、普通に聞き流してた。全然覚えてねえぞこれ。
『資格なりし十の冠、その弍をここに』
もう冠降ってきやがった、ちゃんと聞いときゃよかったなあ!!
『弍の冠 ー揺らぎー』
ー 揺らぐことは常である、それはあらゆるものに課せられた運命。それを否定し君臨し続ける者がいるとしたらそれは存在そのものが歪み、あるいは呪いだろう。神がそうだとしたら皮肉なものだ ー
【願いの澱】
【翼の残滓】
【隻腕の残滓】
【アスタロトの残滓】
【エルの残滓】
ん? なんだ、詳細が表示されねえぞ?
『呪いのストック数が上限を超えました呪いの玉座による統合を開始します』
ストック数の上限とかあんの!?




