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堪忍してな、後でなんとかするさかい

「あのアクロオウを一撃かよってありゃ?」


 身体がいつもどおりになったような……融合状態が解けたのか?


「ああ、お嬢さんらは帰ってもろたよ。この子らがおかしなことになってたようやから助太刀として呼んだんやけど一階毎に別の子しか連れ込めんかったんよねえ」


 お前の仕業だったのか、まあそのおかげで五獣の塔の攻略が終わったわけだから結果オーライってやつだろうな。


「で、なんでこんなところに俺とシラヌイを連れ込んだんだ?」

「れひとはんに渡さなならんものがあるんやわ、でもただ渡すにもこの子らが封印の楔になっとってできひんからちょっと倒してもらったったんよ」

「げ、マジかよ」


 トモエの後ろにはさっき倒したはずのリチョウとクダンを含めた五獣が全て勢揃いして頭を垂れていた。おいおい冗談じゃねえぞ、トモエはこいつら全員従えて同時に戦えるってわけか。


「途中で変になっとったやろこの子ら、それが神さんの封印の核の効果や。だから一回それを壊してもらってこの通り。自分は自由の身になれたんよ、感謝してもしたりないわぁ」


 最後は自分で持っていったけどな、つーかお供いなくても十分過ぎるほど強えじゃねえか。お供いるのかよ。


「ほほ、顔にでとるなあ。仲間なんていらないんじゃないかって思ってはるやろ?」

「そんなに分かりやすいか……?」

「まあなあ、これでも剣の聖にまではたどり着いてるからなぁ。それでも神さんには手も足も出なかったんよ。見ての通り腕を失って、なんとか逃げたけどなあ」


 こんなデタラメな強さを持ってても駄目なのか、ちょっと神を過小評価してたかもしてねえぞ。なんとなく勝てるような気はしてたが、それもちょっと考え直さねえと。


「とはいえ逃してもらえるはずもなくてな、最期には自害まで持っていかれてしもうたんよねえ」

「じ、じがい?」

「そうやよ、操られて娘のこと斬るまえに自分でこの首叩き落としたんや。悟空には万が一を考えて介錯を頼んだんやけどうまくいったみたいで良かったわあ」


 この婆さんなんでもないように言ってるけど相当酷い目に遭ってるぞ。なんでこんなちょっと世間話みたいな感じで話してんの。後ろのお供見てみろよ、おもっくそトラウマなせいでみんな少し泣きそうになってんじゃねえか。


「そしたら驚き桃の木、いつの間にやらこの五獣の塔に封印されとったんやなあ」


 ゴールのジジイと同じパターンか? 


「トモエがこの五獣の塔を作ったって聞いたんだが?」

「そんなわけないやろ、これはもともと大樹だったはずやし、そもそも建築なんて畑違いもいいところや」


 もともと大樹だった? 五獣の塔が?


「確かせふぃろととか言ってた気がするなあ」

「セフィロト!?」


 ここが!?


「ほほ、いい反応やけど。もう時間みたいやねえ」

「時間?」


 一体なんの時間がきたって言うんだ。


「最後の試練を受けるのはれひとはんやのうて、自分の末裔なんよ」

「つまり、シラヌイってことか?」

「察しが良くて助かるわあ、じゃあ準備しよか」


 準備?


「ごめんなあ」


 待て、俺は何も見ていないぞ、何もされてないぞ、なのになんでトモエの刀が抜かれてる、なんで刀が血に濡れてる、なんで俺の腹が熱いんだ、これは、つまり、


「声は出さん方が良いと思うなあ、傷口開いてまうよ。せっかく綺麗に斬ったんやから」



 なんでだ、なんで攻撃された、俺を攻撃する意味があったか、さっきまで普通に話してたじゃねえか、くそっ、忘れてたこれがサムライだったぜ。


「ん、へぇ。甘露やねえ」


 刀についた血を舐めやがった、俺の血をだ。俺の血には良く分からん力がある、トモエには一体どんな効果が出るかは分からねえ。


「あはぁ、良いわあ。これ変若水やないの」


 若返った!? なんだそれ、そんな効果まで出るのかよ俺の血。そして俺の十倍驚いてるお供達にも気付いてあげて。


「これからすこうしだけ痛くするわ、できれば死んだふりまでしてくれればありがたいなあ」


 死んだふりとかする前に普通に殺されそうな気がするんだが!? 


「三つ数えるからなあ、動かんといてな」


「ひとつ」


「ふたつ」


「みっつ」


 軽い衝撃すらもなく、俺の身体を刀が貫いた。驚くべきことに本気で少ししか痛くない。それが逆に怖いけど今は従うしかなねえ。


「ほうら、おいでなさったわぁ」

「レヒト様!?」


 シラヌイの声がする、今ここに到達したのか。だいぶ時間差があって塔を登り始めたらしいな。


「あの子の全力を見たい老骨の芝居に付き合ってな」

「そういうことか、分かったよ」


 子孫の腕が見たいってことらしい。まあ技術は確かだから俺に致命傷が入るってこともねえだろう。好きにやってもらうしかねえな。


「遅い、遅過ぎるわあ。そのせいであんさんの良い人はこうなってしもうたよ?」

「はなれろ、いますぐ、そのひとから」


 やべえもうカタコトになってんじゃん、ブチ切れてんじゃねえのこれ。


「嫌やわ、それにまだ途中やし」


 え?


「そうらっ」


 ちょっ!? 刺さった刀振り抜きやがった!? 俺死ぬぞこれ!? 逆になんで痛みないのこれ、血溜まりできてるけど!?


「さあ、死合おうやないの」


 ねえ!!これ本当に大丈夫なやつ!?



 






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