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高らかに歌い上げよ、我が身は焔、太陽の化身である


「最初から焼けているとは手間が省けて良いですねご主人様」

「その思考ができるのがプラチナの良いところだな」

「もう、褒めすぎです」


 特に褒めちゃいないんだけどな、あの状態になったヤタがさっきまでと同じように分身能力があるのかは分からないが普通に使ってくるような気もする。


「カァアアアアアアアア!!」

「おいでなさったぞ、プラチナもう一度壁いけるか?」

「おおせのままにご主人様」


 さあ、同じ戦法が通じれば苦労は無いんだがな、どうなるか。


「クゥアァアアアアアアアアア!!」

「やっぱ駄目かー!! 逃げるぞプラチナ!!」

「はいっ!!」


 流石に空中で召還した金属じゃそこまでの強度はないか、炎で溶かされた。もっと強い金属を作るか、それとも俺が撃ち抜くか。


「矢も焼かれそうな気がしてならないんだよな、無駄うちだけは絶対に避けたい」

「如何しましょう、矢を作り出しましょうか?」

「できるのか?」

「今の姿ならばなんとかできそうです」


 それは僥倖だぞ、できるならやってもらわない理由はない。これなら無駄うちの心配もねえ。


「これです」

「……なるほど、一回射ってみようか」


 あー、そうか、全部金属になっちゃうんだな。想像通りとはいえ総金属性の矢がまともに飛ぶのか? いや、射ってみれば分かる。


「いくぞ、反動の吸収と支えは任せた」

「ええ、支えて見せます」


 弓を引きしぼる、ギリギリという音がなる、矢が軋む音がする、


「いけるか……?」

「ご主人様、来ます!!」


 やるしかねえ、ヤタに届くかは分からねえ、それでも射らなきゃならねえ。


「うおおおおおおおおおおおおおお!!!」

「うぐっ!?」


 クソッ、駄目だ。射った瞬間に矢が砕けた。この矢は弓に耐えられない。


「真横に避けろ!!」

「はっ!」


 すぐ隣をヤタが通過する、直撃しなくても分かるこの熱量。まともに当たったら間違いなく俺は蒸発する。プラチナは助かるかもしれないのがせめてもの救いだが。


「すん、上です!!」

「なにいいい!?」


 さっきのが分身!? だとしたら分身に当たっただけで終わりか!? いや、今は上から狙ってくる本体の対応が先だ!!


「くそがあああああああああああああああ!!」


 虎の子の矢をつがえた、今射たなきゃ焼かれて落ちる。ここで死ぬくらいなら札を切る。


「当たりやがれ!!」

「ケエエ!?」


 届いた!! 空中からの強襲が止まった。これで命はつながった!!


「だが、矢は無くなったか。これで俺に攻撃の手段はねえ……プラチナ、任せても良いか」

「ご主人様が、あてに?」


 なんでそんな驚いた顔をされるんだ、俺はいつだって皆に頼ってきたような気がするが。


「いえ、なんでもありません。ただ、少しだけ、嬉しくて」

「そんなにか?」

「ええ」


 なんか髪の毛がざわざわしてるぞ、なんだプラチナに第二形態とかあったっけか。巨大化ぐらいしか思い当たらないけど。


「だから、ちょっとだけ、ズルをします」

「ズルってお前……」

「あてが、()()至る場所をこじ開けるのです。しばし首輪を外すことをお許しください」

「プラ、チナ?」


 わらわだなんて、そんな一人称、まるでダッキみたいじゃないか、お前はそうならない筈だろう、そうならないルートのはずだろう、なんでそんな風に自分を呼ぶんだ。


「狐約魔法・狐の婿入り」


 それは大規模な魔法を使うためのやつだろ、なんで今。


「昇華・彼岸の瞬き」


 なんだ、身体が光って、


「コォオオオオオオオオオオオオオオオオオオン」


 遠吠えと一緒に一気に姿に変化が現れた、まず髪が足先まで伸びそして尻尾が五つに増えた。体つきに関してはそこまで変化はないが瞳が金色に輝く。これがダッキの人間態……!?


「嗚呼、嘆かわしい、かつての妾の弱さがこのような事態を招く、妾は妾になどなりたくはなかったというのに。主人より賜りし名前を捨て、ただの獣に成り下がるのはとてもとても悲しいことじゃというのに」


 プラチナ、じゃないなこれは、今は本当にダッキなのか。


「じゃが、今はそのことを喜ぼう。こうしてまた会うことができたのじゃから。なんと芳しい香り、なんと愛おしきかんばせ、もう二度と手は届かない幻だとしても今はその力になれることをただ享受するのみ」


 なんかすげえ不穏なことを言ってるんだけど、これ聞かなかったことにした方が良い奴かな? それともちゃんと問いただした方が良いのか?


「あれが今回の敵か、ああ下品な光じゃ。あんなものでご主人様を照らすなど到底許されることではない。刮目せよ、これが照らすに足る光というものじゃ」


 なんだ、プラチナが照らされてる? 太陽は別にあるはずなのに、まるで自分が光の中心だとでも言うかのように光を放っている。


「弓を拝借」


 弓を手に取るプラチナの姿はとても様になっていて、弓使いだと言われても納得できるほどだった。それほど堂に入った構えだった。


「天道の光は全てを貫く、お前も例外ではないぞ?」


 静かな一射だった、だがそれだけで終わりだと確信できた。まっすぐに放たれた光はそのままヤタを貫いて霧散させたのだ。


「落とすならばもっと美しい鳥がいいのじゃがのう」

「プラチナ、お前……」

「妾を……そう呼んでくださるのですね、それだけで十分です、それだけで妾は救われます、愛しき御方、どうか妾をよろしくお願いいたします」


 何故か涙を流しながらプラチナは狐の姿に戻った、意識も失っているようだ。


「プラチナにいったい何があったらああなるんだ……」


 でも今の問題はプラチナが飛ばないと俺と一緒に落ちてしまうってことなんだよな。


「うおおおおおおおおおおお落ちるうううううううううううううう!!?」






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