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五獣の塔、犬と俺とRTA

 「ここから三歩、はい終わり!!」


 犬の間のシステムは単純だ、ここほれワンワンをやるだけで済む。戦闘をこなしながら地面を調べていくっていう作業が超難易度っていうことなんだが。


「どこに何があるかは知ってんだよ」


 だだっ広い空間の中で目印がないのは面倒だったが歩数で大体の位置は特定できる。時間経過で敵が増えていくギミックだから速攻で終わらせてしまえば戦闘すら起こらない。


「鍵ゲットだ」


 もたつくと袋叩きにあって即死するからな、もともと時間をかける気はなかった。今はドーピングまでかかってるからすげえ早かったな。最速を名乗ってもいいくらいだ。


「さあ次いくぞ、次」


 効果が切れる前に次の階に行きたいところだが、なんか嫌な予感がしやがるな。こういう時の勘は大体当たる、翼の聖人の時もそうだった。


「ぐるるるる……!!」

「やっぱ来たか、ジロー」


 犬の間のボス、時間経過で出てくる犬型モンスターを百匹殺すと現れる本当の試練。それがジローだ、白い中型犬くらいの大きさで日本昔話に出てくるような感じ。一匹たりとも犬は殺しちゃいないが、それは仕様変更ってところだな。


「犬だから敵対しない、っていうわけにはいかないよなあ」


 俺が犬から好かれてたのはウンターの呪いが原因だし、その呪いはもうない。だから俺はここで選ぶ必要がある。こいつと戦うか、それとも一目散に逃げるか。


「はー、逃げたいのは山々なんだけどな」


 五獣の塔のいやらしいところは、各階のボスを倒すと100%呪われるってところにある。上るほどに枷が増えてキツくなるってことだな、受ける呪いによっては致命傷になる可能性もある。でもボスを倒さずにクリアするとスコアが低いから特典もしょぼくなるっていうジレンマがあった。


「この弓を呪ってくれるんなら、それは願ったり叶ったりなんだよ。今はステータスも上がってるからな、勝算は十分にある」

「わんっ!!」


 弓を構えるのとジローが突っ込んでくるのは同時だった、突進自体はこいつの基本攻撃の一つだから別に驚くこともない。


「食らいやがれ」

「きゃう!?」


 躱しながら矢を放つ、普通ならこんな崩れた姿勢で射っても当たりゃしない。しかも相手は中型犬くらいの大きさしかないし動いている最中だ。でもそんなことは関係ない、まるで吸い込まれるように俺の矢はジローに向かって飛んだ。


「ばっちり片目をつぶさせてもらったぜ」

「がるるる……!!」


 怒ってるな、ものすごい形相で睨み付けてきやがる。だがな、俺は怯みもしないし焦りもしない。お前が怒り状態になるも俺は知っている。


「そしてもう一匹出てくるってこともな」

「がうっ!!」

「知らなきゃ初見殺しが過ぎるよな」


 もう一匹の黒い犬、名前はタロー。こいつが出てくると戦闘の難易度が爆上がりする、攻撃回数も密度もダメージも倍になるからな。ジロー相手に割と余裕こいて戦ってるとこいつに後ろからかみ殺されるって寸法よ。


「だからすぐに倒させてもらうぞ、体力はジローよりも低いからな。出現時の確定行動の噛みつきからの吠えを狙う」

「ばうっ!!」


 ここだ、大口を開けて吠えた瞬間は完全な無防備。口の中から貫いてやる。


「はっ!!」

「ば……!?」


 仕留めた、一射で終わるとは思わなかったがこれはリアル路線ということで。普通口から貫いて頭まで行ったらそりゃ死ぬわ。


「さあジロー、あとはお前と殴りあうだけだぜ」

「わおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんん!!!」

「なんだっ!?」


 うっさ、拘束されるほどの吠えなんてやってこないはずなのに。こっからは俺の知らないジローになるってことか!?


「おいおいおい、巨大化して灰色になるとか。融合モンスター、ジロタローにでもなったのかよ」

「ばああああああああああああう!!!」

「うっさいし、危ない」


 吠えながら噛みついてくんな!! 動きにくいし、攻撃範囲がデカい!!


「くっそ、速くもなってやがる」

「ぐるぁ!!」


 犬パンチまでしてきやがった、お前四足獣なら牙で戦えよ。手を使う時も拘束するときくらいだろうが!! 直接殴ってくんじゃねえ!!


「おらっ!!」

「ばうっ!!」


 毛皮硬すぎだろ、矢が刺さらねえ。んでもって学習してやがるな、矢が急所狙って飛んできてることが分かってやがる。防御が硬くなったのもキツいな。


「がぁ!!」

「尻尾まで武器かよ!!」


 毛が逆立って刃みたいになってやがんな、リーチが長いうえにしなって軌道が読みにくいとか厄介すぎるぞ。


「でも、そうだな。こいつと戦ってると、ウンターを思い出す。あいつはもっと強かったな」

「がああああああああああ!!!」


 だって動きが見えるもんな、じゃあ終わりにしよう。ジロタローに恨みはねえが、精々俺を呪ってくれ。それが俺の糧になる。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


 全力で引き絞った弓で矢を放つ、ミシミシとか嫌な音がしてるけど気にしない。半端な威力じゃ弾かれて終わる。


「いけえええええええええええええええ!!」


 正面からジロタローを捉えた矢はそのままジロタローを消し飛ばした。そして、俺の弓の弦が切れ持ち手が砕けた。


「マジか……武器がここで無くなるとか。ん?」


 黒い弓に灰色の模様が入っていく、ジロタローの呪いか。でももう撃てない弓に呪いがかかったところで意味は。


「え、変形? え、え?」


 呪いって武器が変形するんだっけ……あ、でも棒も変形してたな。


 





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