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試し切りは唐突に

「さてさて……効果の程は……」


 毒に耐性ができたのは分かった……だから次はデバフの効果を確認する番だぜ。どんなものかな……?


【混沌】【あらゆる能力が時間経過でランダムで低下 極小~極大(反転)】

【計り知れぬ深淵の産物】【料理の効果が確率で強化または弱化または狂化する】


「……運ゲーになるけどこりゃすげえな……つうか狂化ってなに?」


 でも良いぜ……これで俺の予定は完遂できそうだ……デバフを俺にかけられる存在になってくれた……ティーアが居れば大丈夫だ……問題は物騒なスキルを開花させまくってるから俺がこの化け物をちゃんと受け止めきれるかってことだが。


「ティーア……責任は取るから」

「……何の?」

「いや……覚悟だけ分かってくれれば良い」


 こんなモンスターにしてしまったからには責任はちゃんと取る……結婚システムはなかったからここでどうなるかは分からないけどな。


「レヒト君……!?」

「ん? どうした」


 そんな切羽詰まった顔して、俺にこの料理の毒は効かねえから大丈夫だぞ?


「後ろ!!」

「うしろ?」


 後ろってお前そんなの壁しか……


「ぐるるるるる……!!」

「うっそだろ……何でお前がいるんだよ。俺に殺されただろうが……」


 なんで部屋の中にあの犬が!?


「がああああああああああああう!!!」

「うおあああああああああああ!?」


 咄嗟に棒きれを握って犬に振り下ろす、なんかいきなり動きが速くなった気もするがそんなことを気にしている場合じゃねえ!!


「は?」

「え?」


 いつもの動きなどとは一比べものにならない速さで振られた棒はなんの抵抗もなく犬を二つに割った。だけでは済まずに棒の先から出た衝撃波が俺の家を半壊に追い込んだ。


「はああああああああああああああああああああああ!!?」

「えええええええええええええええええええええええ!!?」


 やべえよ……やべえって……いくらなんでも威力高すぎるだろ……これがバフの力かよ!?


「犬……二つに……衝撃波……家……!?」

「あわわわ……」


 駄目だ……うまく言葉が出てこない……なんでまた犬が……それに衝撃波で家が……情報量が多すぎて整理が追いつかない……


「まさかこれのせいか……?」


 俺の手にある棒を見る。明らかにその色はよりどす黒く、太く大きくなってるような気がする。


「まさか……な?」


 何がフラグになってるか分からねえ……とりあえず確認だ確認……


『さらに血塗られた木の棒』

― 運命に再度打ち勝った者が使った呪われし棒。死の定めを運ぶものの返り血でさらに深く濃く染まってしまった。もはやこれはありふれたものと言うことはできないだろう、死の定めを二度も乗り越えたこれを人はいつか希望と呼ぶことになる ―


「うわ……うわあ……進化してる……進化? 悪化か? よくわかんねえな……呪いも進化してんじゃねえだろうな……?」


【狂犬の怨念】【犬の殺意・敵対心アップ(反転)】【執念の追跡】【致命傷確率増加 大(反転)】


「……いやこっちもパワーアップしてんなあ」


 ていうか【狂犬の怨念】と【執念の追跡】のどっちかが原因だろあのリターン・ザ・犬は。


『情報開示条件を満たしました。開示しますか?』


「なんか出てきたわ……そりゃ見るだろ」


【狂犬の怨念】

― 定めを背負って生まれた野生の死神の怨念。その恨みの力で一定間隔で復活し牙を剥く、回数を増すごとにその力は強大となりいつか必ず定めの相手を殺す。襲撃回数 2回 ―


【犬の殺意・敵対心アップ】

― 犬の恨みを買ったものに付加される野生の呪い。あらゆる犬種族から忌み嫌われ、殺意を抱かれる。恐ろしいことに効果は獣人にまで及び犬系の獣人と友好を結ぶことはできなくなるだろう ―


【執念の追跡】

― 決して離れることのない魂の楔。この呪いが付与された装備は放っていても呪いの対象のもとへと帰ってくる。それは確実に相手を蝕み呪いを成就させるだけではなく、命を確実に削る。執念深き追跡はただ追うだけでなくあらゆる軌道・方法での追跡を可能にする ―


【致命傷確率増加】

― あらゆる傷が一定確率で致命的な効果をもたらすようになる。傷に区別はなく、生きるうえで負う傷は全て命の危険を伴うようになる ―


「……殺意に溢れすぎだろ。え? あの犬何度も来るの? 野生の死神ってなに!?」


 改めて俺が持ってる棒のやばさを説明されるとなんてものを俺は持ってるんだという気になる。あらゆる犬に殺意をもたれるとか生きるうえで全ての傷が死の危険性を持つとか……犬が殺す前に死ぬだろこんなの。人体なんて常時スクラップ・アンド・ビルドしてるようなもんだからな。


「レヒト君大丈夫?」

「……大丈夫じゃないかもしれないけど、ティーアがいれば大丈夫な気がするよ」


 前よりも強いはずの犬を真っ二つして衝撃波まで出すんだからな……効果にムラはあってもティーアのデバフがあれば俺は大丈夫な気がする。それくらい馬鹿げた攻撃がでたのに俺の身体になんの反動もないことがそれを確信させた。


「そんな……何時までも一緒に居て欲しいだなんて……!!」


 言ってねえけどまあ合ってるから訂正しないでおこう……いや待てよ、今のうちにさっさと関係性を決めてしまった方がいいかもしれないな。責任を取ることは確定してる訳だし。


「ティーア、大事な話が」

「大丈夫レヒト君!?」


 なんか光りながらニケが凄い勢いで来たわ。それお前勇者の力的なアレじゃねえのか。


「なんで光ってんのお前……」

「無事だったんだ……良かったあ……君に何かあったらどうしようかと……良かった……ほんとうに……」


 なんで半泣きなんだ……泣くほど心配されることはない……かと思ったけど家が爆発すればそりゃ心配するか。


「……ん?」


 二つになった犬の残骸が動いてるのか……?


「やっべ!?」


 光が収束するこの感じ……自爆だ……!!


「ティーア!! 俺の後ろに!! ニケもだ!!」

「え?」


 今の俺はバフ状態だ、運ゲーだけど俺なら耐えられる可能性がある。少なくともティーアと今のニケじゃ耐えられないし逃げられない。この2人を失う訳にはいかねえ……かたや主人公、もう片方は俺の相棒になる奴だからな。


「俺の背中から絶対出るなよ!! 爆発するぞ!!」

「う、うん」

「分かった!!」


 良し……間に合った!! 後は俺が耐えるだけだ……!!


「うおおおおおおおおおおおおおおおおお!!?」










 





 





























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