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開けゴマは要らない

 プラチナは割とすぐに元の大きさに戻った、持続時間はあんまりないようだ。良かった、永続だったら何かと不便になるところだ。そうなったらそうなったでやりようはあるが、大変だろうからな。手間が減って助かったな。


「願われた性質を持つ血、これをわたくしは『願望血デザイア』と名付けることにしましたわ」

「そんな大げさな、しかも万能ってわけでもないぞ多分」

「良いのですわ、名付けることが大事なのです」


 別に拒む訳じゃないけどさ、そんなに大層なことはできない気がしてんだよな。いちいち流血してたら俺死ぬし。やるなら多分攻撃食らった時のカウンターに使うくらいしかないぞ? 


「つーかどう考えても呪いの影響受けまくりだから、最終的には本当に万能になるかもな」

「そうなったらわたくしの騎士は世界中から狙われますわね、世界を統べるか世界から逃げ続けるかの二択になりますわ」

「怖いこと言うなよ」

「いえいえ、本気ですわよ」


 マジで? 今の段階でも結構あれなのに? 神を倒したとして次は世界征服編が始まるのかよ。続編の話とか聞いたことないぜ。


「あんまり使わないようにする」

「その方が良いでしょうね、切り札中の切り札ですわね」


 切り札切らなくても勝てるように強くならなきゃな、いちいち死にかけてたまるか。そのために必要なのは、そうデバフと呪いの装備だ。


「そろそろ出発の為の準備を始めようか」


 さあ、見せてくれよサバトグラン。お前らがため込んだお宝を根こそぎ俺達の力にさせてもらうぜ、具体的にはレアな装備とか。これは正当な譲与だからな、墓荒らしとかじゃないし。


「流石に初期装備のままじゃキツいよな」


 まともに装備を調える暇も無くこんなことになっちまったからな、もうちょっと計画的に反逆できれば良かったなあ。でもまあここできっちりと地盤を固めれば少しは楽になるだろう。


「むふふふ、とうとうここを解放する時が来たようじゃな。見るが良いこれがサバトグランの誇る最高のお宝じゃ!!」


 ジジイに案内されて宝物庫の扉が開く、巨大金庫みたいな厳重な扉だからさぞかしすげえもんが入ってるんだろうな。ゲーム中だとガチで滅んでたからここに何が入ってるかを俺は知らない、実はすっげえワクワクしてる。


「まぶしっ!?」

「そうじゃろうそうじゃろう、目がくらむほどの輝きじゃろう。この全てをくれてやろうではないか、嬉しいじゃろ?」


 光が溢れすぎてて中が全く見えねえ、何が入ってんだここ。こんなに輝くものなんて知らないぞ、それこそ光属性の最上位装備とかが入ってんじゃないか? いやここは土属性の強い場所だったはずだから土属性強化の装備か?


「また扉じゃねえか」

「おりょ? 二重構造じゃったわ」

「忘れんなよ……早く開けてくれ」

「あー、それがのう。思い出したんじゃが、二個目の扉開けるためには鍵が要るんじゃ」

「鍵ねえ、それはどこにあるんだ?」

「忘れてしもうた」

「て、め、え」

「待つんじゃ、万が一を考えて手動でも開くようにしておる。その代わり難易度は上がるがのう」

「まだ試す気か?」

「なんのことかのう、まあやってみるといい。どちらにせよそれができねばもとより扱えぬものゆえ」


 この野郎、試練大好き人間じゃねえか。良いだろうやってやろうじゃねえかよ、すすっとクリアして度肝ぬいてやるわ。


「このカッコイイ操作盤があるじゃろ、両方のダイヤルとこっちの数字を正しく調整すれば開くはずじゃ。これは魔法では無く純粋な機構じゃから気をつけるんじゃよ。力尽くでやったら二度と開かぬぞ」


 マジで金庫じゃねえか。これ普通に専門技術だよな、鍵開けスキルなんて持ってないしなによりこのパーティにシーフなんていないぞ。しかも二つのダイヤルの目盛りが二十個ずつ、数字は十桁と来た。こんなのクソゲー認定されても仕方ない難易度だぞ。


『精密動作により身体操作疎外・大(反転)の効果が適応されます、命中判定を行うため命中率ダウン・極大(反転)の効果が適応されます、トレジャーハントのため発見力ダウン・大(反転)の効果が適応されます、ヒントのない状態であるため運ダウン・大(反転)が適用されます。以上の補正の結果、成功確率は80%です』


「補正えぐいな、これの成功確率が80%とかもはや意味が分からないレベル。目を瞑ってやっても当たる確率の方が高いじゃねえかこんなの」

「ほう、面白いことを言っておるのう。さあ解いてみるのじゃ」


 とりあえず、ダイヤルを回してみるか。そういや身体操作疎外の反転ってなんだよ、めちゃくちゃスムーズに身体が動くってことなのか?


「カチカチカチっと、ん?」


 なんか違和感があったな、なんか引っかかるような。これが何を意味してるかは分からないが、なんか嘘くさい感触に思う。


「んー、こっちか」


 なんとなく途中で逆回転させてみる、すると手応えが一瞬だけ酷く軽くなった瞬間があった。直感で分かった、これだ。


「もう一個はと、あーなるほど。同じダイヤルに見せかけてこっちは構造が違うんだな」


 なんか回り方が違うような気がする、手に伝わる振動も違うな。これは回転に全部意味が無いな、ただ回ってる感じ。特に噛み合ってないし、引っかかってもいない。


「おっと」


 足場が滑ってダイヤルを引っ張ってしまった。


「ははあ、なるほど。引き出せるようになってたんだな」


 だから最初の状態だとなんの噛み合いもなかったんだ、でも今の状態なら話は別だ。しっかりと伝わってくるぜ。


「これはここだな」


 噛み合ったと確信できる場所でダイヤルを止める、問題は次だ。


「十桁だろ、それが一から九まで。何通りあるかなんて考えたくねえぞこんなの」


 これに関してはどこを押しても特に違いは感じられない、押したときの音が少し違う気もするがそれはなんかダミーのような気がしてならない。間違った規則性を見つけさせることでドツボにはめるっていう性格悪い仕様に違いない。


「うん、分からん。じゃあ適当に打っておくか」


 ポチポチポチと、これで全部か。いや待てよ。まだ一個なんかあるな。なんか違和感を感じる、欠けてる気がする。


「たぶん盤自体が罠だな、ここ以外に注意を向けさせないための罠に違いねえ」


 そうするとだ、盤の外にも注意を向ける必要があるな。そういえば一カ所だけ感触の違う床があるぞ。


「ここだ!!」


 とりあえず踏み込んでみた、これで何か起きるならよし。起こらないならまた探せば良い。


「ビンゴだな」


 床がせり上がってきて、もう一個操作盤が出てきやがった。ここまでするか普通、ゲーム的だと言えばそれまでだがいくらなんでもやりすぎだろこれ。


「これはなんだ、タッチパネル?」


 模様でも描いて見せろってか、これもノーヒントでできるようなもんじゃないぞ。模様、模様か、確か無限回廊に入ったときにもあったな。


「さすがに時間を表す模様が入るわけねえか」


 そういや、玉座にもなんか模様があったな。それこそ無限回廊の模様を組み合わせたような模様だった気がする。


「確か、こうだったか」


 これで多分合ってるな、よしよし。我ながらちょっと気持ち悪いくらいに順調だわ。


「お、開いたな。良かった良かった、なんだ結構簡単だったぜ。あれ? どうしたジジイ、開いた口が塞がってねえぞ」

「ワシの、最高難度がこんなにあっさり……」


 うん、なんかごめん。半分以上勘でしたなんてとても言えねえな。


 




 

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