金剛isダイヤモンド
「ああそうだ、ワシの一部をお主に入れ込んだから有効に使うんじゃよ?」
「え? なにキモいこと言ってんの?」
「茶化すな、呪いになるかとは思うがきっと役に立つはずじゃ」
呪いか、それなら弾になるしありがてえ。できればデバフまでついてれば完璧だが。
【大いなる呪い・金剛】
ー 志半ばで散った黄金郷の王、その一部である。かつて隆盛を誇ったサバトグランの金剛王はあるとき暗闇の中で金色の輝きを見たという。それは人の輝き、真なる人、神ならざる人のあり方だ ー
【侵されざるもの】
ー 最も硬く、最も堅く、最も固く、最も難い、そのような物質がかつて存在した。それは名高きオリハル狐に迫る人の業の残り香。一時ではあるが手に触れた物の表面を覆うそれはきっと黄金郷からの最後の贈り物だろう ー
【所持可能重量増加、衝撃力強化(反転)】
「バフかぁ」
「な? 役に立つじゃろ?」
「お、おう」
流石にここで逆効果だよとは言えねえよな。2つ目の効果だけでもきっと有用なはずだ。
「使ってみるか」
そこらに落ちてる小石をつまむ、きっと念じれば使える類の能力だろうし。侵されざるものか、きっと見たこともない金属に違いない。
「ダイヤモンドだこれ」
詳しいことは全然分からないが、たぶんこれダイヤモンド。てことはなんでもダイヤコーティング能力って事だな。かなり使える能力じゃないか?
「おかしいな、そんな風に気軽に使えるものじゃなかった気がするんじゃが」
「なんか違うのか?」
「ちょっと触ってみてくれるか」
「幽霊に触れと」
「ものは試しじゃから」
そんなに言うなら触れてみるけど、触れるわけないんだよな。干渉はできても実態はないやつだろ幽霊って。
「はい」
「うーむ、なるほど無差別かつ自動的になっとるな。一応時間制限はあるようじゃが」
ジジイの手がダイヤに!? いやいや触れた感じはしないのにジジイの身体に影響あるってどういうことだ。実態が無くても作用するとかもはや概念攻撃の類なんだが。
「よし、お主にはこれが必要じゃな」
「これは……?」
金色の手袋?
「別に金である必要はないんじゃが、常に手に何かをはめておいたほうが事故を減らせるじゃろう」
「そりゃそうだな、ありがとう」
素手でものに触れなくなったってことか、なんでもかんでもダイヤで覆っちまうのは確かに困るな、せめてオンオフ可能なら良かったんだが。
「お、もすぎないか、この手袋」
「そんなことはないじゃろう、せいぜい一割ほどしか変わらんはずじゃ」
「そういや身体全体だるいと思ったら、服が重いのか」
ここで重量バフの害が出るのかよ、蛾の呪いが残ってればなんとかなったのかも知れないけどもうないしなあ。どうにかして重量問題解決しないとちょっと動きにくいぞ。なんか軽い装備を用意しないと。
「おかしなことを言うのじゃなあ。そろそろセフィロトじゃぞ」
「分かった、ふぅ」
重量オーバーのせいでスタミナが多く消費される状態になったな、おかげで歩くだけでも疲れるようになったか。まずいぞ、ここまで動きにくいなら戦闘なんてもってのほかだ。ここのセフィロトには特になにも居なかったから危険もないのがせめてもの救いだが。
「まずはセフィロトだ」
「それで、これを折ると言ったがどうやってやる」
「それはグリンの担当だ」
あいつがなんとかできる風だったからな。
「折るとって言っても本当に真っ二つにするわけじゃないけどね? 乗っ取るというのが正しいかな。そのためにはセフィロトにアクセスしないといけないからちょっと待ってね」
グリンの手が光り始めた、それをセフィロトの根っこに突き刺した!? アクセスってそんな物理的にやるのか。もっとこう光がぱぁってなって接続するんじゃないのかよ。
「うーん? なんかおかしいねえ。空洞って言うか、このセフィロトには何も入っていない? そんなことはないはずなんだけど……なんでこんな……」
「空洞ってなんだ、中身のないセフィロトとかあんのか」
セフィロトの中身って言っても、そんなの変な空間とジンみたいな奴がいるくらいしか俺の情報はないぞ。その他になんかあるってことなのか。
「管理者がいないのかな?」
「ネエ、ナニヤッテルノ? オニイサンダカオネエサンダカワカラナイヒト」
なんかいるううううううううううう!? 半透明のブリキのロボットみたいな奴がグリンの頭の上に!?
あれ敵か? 攻撃した方が良いのか?
「あ、居た」
「ネエネエ、アナタハセイジンデショウ? ナノニ、セフィロトニナンノヨウガアルノ」
「実はちょっと事情があってね、君には消えてもらわないといけないんだ」
「エ?」
「じゃあね」
あれが管理者? ジンとは似ても似つかないな。ん? ジン?
「あいつ消されたらジンとの約束を破ったことになるのか」
ジンとの約束破ったら加護ぶち込まれるんだよな、これ以上枷増えるのはしんどいぞ。でも守ってくれとは言われてないし、会えばいいだけならもう会ってるしなあ。
「ちょおっと待ってくれるか、そいつと話がしたい」
「え? だって邪魔なだけだよそいつ」
「俺にも色々あってな、ちょっと混みいってるんだ」
「ナニナニ? ジンノニオイノスルヒト」
「お前を助けないとたぶんジンに怒られる、だからお前を消さない方向でいきたいだが協力してくれるか?」
「イイヨ」
「良いの!? もうちょっと渋れよ、お前は神サイドだろ?」
「ベツニソウイウノナイヨ、アクマデシゼンハ『オノズカラシカルベキヨウニナル』ダケダヨ。ダカライマハキョウリョクシテアゲル」
え? 中立ってこと?




