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謁見までの道

 滅んだ都で機械しかいない偽りの繁栄か、俺にはそうには見えないな。だって。


「めっちゃ見えるんだよな、人が」


 普通に町の中歩いてるし、なんならこっち見てるんだが。これは他の奴には見えてないってのか、こんなにはっきり見えるのに?


「皆はどう見えてる?」

「なにも、ただちらほらと金色が見えるだけだよ?」

「ご主人様には何か見えている?」


 ティーアとプラチナは見えていないか。


「わたくしにも何も見えませんわね」

「イー姉様に見えないなら私にも見えない」


 ユー姉妹も駄目か。


「グリン、も駄目そうだな」

「なんでさ!! 駄目元でも聞いてよ!!」

「じゃあなんか見えるのか?」

「見えないけど」

「やっぱりか」


 となるとアレだな、俺が飲まされた球の効果だなこれは。目で見てるわけじゃなくて能力で見てるから見えてるわけか。しっかし普通の人間と変わらねえぞあれじゃあ、もしかして話すところまでいけるか?


「お客人、勝手な行動はいけません。完璧な観光プランに支障が出ます」

「少しだけ待ってくれ、試したいことがあるんだ」


 グレダの静止を振り切ってこっちを恐る恐る見てる奴に近づいていく。少しでも情報が欲しい、できれば話せると良いんだが。


「なあ、聞こえてるか?」

「ひぃっ、話しかけてきた」


 怯えてるな、そんな風に怯えなくても良いのに。特に怖がる要素なんてないと思うが。


「なんでお前は見えてるんだよ!?」

「正確には見てないが、まあ分かるってことだ。で、ここの情報が欲しい何か知っていることはないか」

「し、知らないよ何も。何かを知りたいなら王様にでも会ってみるんだね!!」


 あっ、走って逃げやがった。幽霊みたいな存在のくせに速いな。


「お客人、お疲れのようですね。今日はプランをキャンセルして早めのお休みにしましょう」

「独り言じゃないからな、別に頭おかしくなったわけじゃない。なあ皆」


 あれ、おかしいな。全く賛同が飛んでこない。もしや世界から音が消えたのでは。ちょっと声を出して確認してみよう。


「あーーーーー!!」

「お客人、重症のようです。病院へとお連れいたしましょう」

「だぁから、おかしくなったわけじゃねえって!」


 あれ、何そのドン引きした顔。俺が蛾を出した時より酷くない。あれ以上に今の俺は異常者だってことか。オーケー、落ち着こう。


「分かった。一から説明しよう、聞いてくれ」


 そんで幽霊らしき存在が見えることを説明したら皆全力でありえないって否定しやがった。なんでも死んだら速攻で世界の輪に入って循環するそうだ。意識だけ残るとかありえないらしい。


「あーりーえーまーせーん!! 神に弓引くと言っても理に喧嘩を売るわけではないの」

「でも見えるし」

「それは幻覚でしょう」


 一番強く否定したのはユーホだった。魔法とかいうスピリチュアルでワンダーな力使っといてなんで幽霊は頑に信じねえんだよ。


「魔法は不思議でもなんでもない、理論と、知力で、まとまった学問なの!」


 さいですか。魔法が使えねえ俺にはただの不思議パワーにしか見えないもんで。


「イー姉様からも言ってやってください」

「うーん、ごめんなさいねユーちゃん。わたくしはちょっとその幽霊とやらに心あたりがあるのです。だから否定できないの」

「そ、そんな。イー姉様が、私を」

「ち、違うのよ。ユーちゃんを蔑ろにするわけではなくて!?」

「ぐすっ、認める。幽霊はいる。イー姉様に嫌われるくらいなら認める」

「ユーちゃん……」


 ユーホがここで屈服したので俺の疑いは晴れた。ことにしよう。


「あのキノコなら幻覚を中和できるかな……?」

「あてが頭を一度がぶりとすれば治るかも」


 晴れたことにしよう!!


「そんで何かを知りたかったら王様の所に行けって言われたんだ。だから今からあの宮殿に行こうと思う、何か異論はあるか?」

「罠の可能性はないかな?」

「罠?」


 幽霊が俺を罠にはめる意味なんてあるのか?


「死者がそうなるとしたら仲間を増やそうとしてもおかしくないと思わない?」

「だとしたら王様に会えなんて言わずに、その場で殺さないか? 俺はともかく他の奴らは見えてもいないわけだし」

「確かに、それを考えると危害を加える可能性は低いかな。僕の考えすぎだったみたいだ」


 王が戦闘狂の脳味噌筋肉でもない限り危ない目には合わないだろう。


「グレダ、王様に謁見したい。案内してくれるか?」

「承りました、王の謁見の間へとご案内いたします。道中足元にお気をつけて」


 これで案内してもらえるはずだ。グレダがいてくれて助かった。もしかしたら宮殿内で迷う可能性もあったからな。


「こちらです」


 しばらく歩くと宮殿の入り口まで案内された。しかしそこでグレダは止まってしまった。故障か?


「ここから先に立ち入る権限を持ち合わせていません。どうかここから先はお客人の足で進まれますようお願いします」

「なるほど、こっから先はブラックボックスってわけか」


 思惑は外れたけど仕方ない、自分で見つけるしかないってことだな。


 












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