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神と敵対すると大変なことになるので気をつけてね?

「はいどーも、予想通りです。こんにちわ罪人さん」


 先回りだと……なんでもういるんだ、特に場所も指定してない移動だぞ。先回りできるはずもないのに。


「不思議そうな顔してるね君、なんでだと思う?」

「お見通しってことか」

「そう、その通り。何を敵に回したか分かってるよね、どこで何をしようが僕たち聖人が君を見失うことはないんだよ。だから早めに観念した方が良いと思うなあ」

「準備時間すら与えないってか、用意周到なことだな」

「はは、全知全能だからね。当たり前だよ。じゃあそろそろ名乗ろうか、我が神名は聖水オリ・アグア。神の御心のままに預言を実行するよ」


 おいおいおいおい、聖人が来るって言われてからまだ三十分も経ってないぞ。神と敵対するって決めてから殺しにくるまでが早すぎる。これが神の力か。


「とりあえずあなたは敵ということで、逃げても無駄なら倒すしかない。それが聖人であっても」

「ああ、君もそうだね。神に弓引く罪人だ。最重要じゃなくても殺しておこうか」


 ユーホで勝てるか、相手は聖人だぞ。ゲーム中では戦うことは無かったがその力はムービーの中で振るわれていた。地平線を埋め尽くすモンスターを一掃する化け物集団だ。だが、ユーホ(本物)の能力も未知数だぞ。あの蛇を一方的に殺した力は本物だ。


「死になさい」

「救ってあげるよ」


 2人の中心で何かがぶつかった、魔法か? 余波で身体が吹き飛びそうだ。


「あなたは離れていなさい、負傷した身体で巻き込まれて死んでも知らないから」

「はは、逃がすと思うのかい?」


 水の槍が飛んできた、水使いの聖人となると十三聖人の十番目か。確か十番目の設定に使える物があったはずだ。


「お前、十番目だな。欠けた聖人として満ち足りた気分はどうだ?」

「罪人、お前何を知ってる?」

「あら、よそ見をしているなんて舐められたものね。爆ぜなさい」


 意図はしてなかったがユーホの攻撃のタイミングを作り出すことに成功したらしい、十番目の上半身が爆発した。


「やったか」

「爆発なんて効かないよ、僕は神の水だからね」


 はい無理でした、身体が液体とかまずもってチートじゃねえか。


「で、欠けた聖人なんていう言葉をどこで知ったのかな」

「お前は聖人としてあるべき物がないんだろ?」

「君は個人的にも殺しておかないといけないみたいだね」


 はい地雷を踏みました、というか自分から踏みにいったんだけど。これで少しでも正常な判断力を失って欲しい。


「やっぱり君から殺そう」

「やっぱそうなるかー」


 こいつはここで倒さないといけない、だからまあどれだけヘイトを稼いでも良いんだけど。本気で殺されるとなると逃げ切れる自身はねえぞ。


「俺一人ならな、プラチナ!!」

「コン!!」

「オリハル狐を手なずけている、流石に神の敵になるだけはあるということか」


 水の攻撃をプラチナが弾く、ダメージが通るはずもない。


「ティーア、手持ちはあるか!?」

「あるよ、あんまり量はないから最後だけど」

「十分だ」


 今だけでも能力を上げる必要がある、少なくとも殺されないために。


「なんか、変だな」


 感覚がおかしい、いつもとは違う。同じデバフのはずなのに。


「炎が駄目なら氷よ」

「うっとうしいなあ、氷も意味ないよ」

「氷も駄目か」


 どうやってダメージを通したら良いんだ、魔法も物理も無理っぽいぞ。


「一応殴ってみるか」

「無駄だよ、諦めな。苦しんで死ぬより楽にあっさりと死んだほうが良いと思うなあ。でも、君は苦しめて殺すけどね」

「随分と恨みを買ったようだな」


 水の身体か、厄介すぎる奴が最初に来てしまったみたいだ。こうなるともう精神攻撃しかないんじゃないか、そんな攻撃方法があった覚えは全くないんだが。


「恨み? そんなものないよ。僕はただ言われたから殺すのさ」


 攻撃自体はまだ避けられる範囲だ、今のうちに通じる攻撃を考えないと。今できることはあと一つくらいしかないな。


「物質化、か」


 飲み込んだ球の能力にそんなものがあった、神の創造物は呪いの刃では傷つかないってなってるがこいつはどういう扱いなんだ。およそ生物の枠内から外れてるような気はするが、試してみるしかないか。


「形を与えるとあったが、どういう形になるんだ」


 あの球は確か蛾の呪いだった、蛾の形になるのか?


「物質化!!」


 なんかぞわぞわするぞ!?


「うおおおおおおおおおおおおお!?」

「なんておぞましい……」


 身体の内側から何かが這いだしてくる感覚がする。それこそ胸の中心から次々と卵が孵っていくかのような……


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!?」

「これは、呪いですか、全く以て愚かです、呪いもまた無駄です」


 大量の蛾が十番目に襲いかかる、それでも水の身体は揺るぎもしない。待って、俺の身体から蛾が大量に湧きだしてくる絵がエグすぎる。


「うぐっ!? なん、だ、痛み?」

「あ、効いてる」

「呪い、呪いじゃない? これは願い? 願いの物質化!? そんなの神の業じゃないか!? ありえない、ありえないいいいいいいい!!!!」

「そんなことしてたのか俺」


 蛾に食われる人間の図とかグロいとかそんなもんじゃないぞ、でも水の身体だからそうでもないな。


「そ、んな、馬鹿な」


 もう動かないか、あんなに景気よく食われたのに身体が残ってるのは不思議だな。


「すー、すー、すー」

「寝てる? 死んでないのか」


 じゃあいったい何を食ったんだ?


『十番目の聖痕』

ー 嫌だった、動かない身体が嫌だった、だから神に願った、どうか私に自由に動く身体をくださいと。手に入れた言葉は「神の為に動く身体で尽くすが良い」念願の身体は何も感じない水の身体。熱くもなければ寒くもない、痛くもなければ触ってるかも分からない。手に入れた自由は籠の鳥。ああ、僕は何のために生きているんだろう。ああ、神の為に生きているんだ。僕は聖水、人ではない。願ったのは僕なのだから誰も悪くはないんだろう。それでも、それでも願わくば、神様僕の人生を返してください、こんな身体要りません、特別な力も、聖人の肩書きも要りません、だから僕を、人に戻してください ー


「重いよ……」












 






 




 

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