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先代魔王の復活

「良いか、まともに戦おうと思うな。ある攻撃を引き出してそれの影響を受けたら速攻で逃げる。良いな?」

「そんなに強い存在がここにいるとは思えませんが」

「言っとくけどな、先代魔王ナックルはこの世界の誰よりも強いと思え」

「はぁ、わかりました。イー姉様の為ですから全力で逃げましょう」

「それで良い、それ以外に生き残る道はないと思えよ」

「はいはい」


この野郎、どんだけ危険な橋を渡ろうとしてるかまるで分かってねえぞ。


「この封印に触れたら強制的に戦闘が始まる。準備はいいな?」

「いつでもどうぞ?」


祠の奥の隠し扉にある宝玉、それに触るのがトリガーだ。


「行くのは俺とユーホとユーイーだけだ、人数は少ない方がいい」

「様付けは?」

「ユーイー様」

「よろしい」


宝玉に触れた、するとすぐに宝玉から黒い煙が湧き出してくる。


「我が眠りを妨げたな、死ぬ覚悟はできておろう」


来たな、先代魔王ナックル。青い肌のイケメンから繰り出される一撃は細身にもかかわらず即死級の威力を誇る化け物だ。


「唯一のバフ無効化攻撃をしてくる理不尽の化身がよ」


バフが命のゲームでバフをホイホイ消してくるんだからマジで勘弁してほしいレベルの敵だった。今はそれを利用させてもらうが。


「さあ、偽りの加護を剥がしてやろう。その身のみで戦う事はできるか」


来た、確定の1回目のバフ剥がしだ。


「うおっ!?」

「きゃっ!?」


突風が吹き荒れるのと同時にバフが剥がされるんだろう。俺にはかかっていないから別になんの効果もないが。


「ユーイーには効いただろ」


ユーイーの状態を確認する。


「よし剥がれた。逃げるぞユーホ!!」

「言われずとも!!」


すぐさまユーホに捕まる、すぐに移動が始まるはずだ。


「馬鹿め、余から逃げられると思ったか」

「う、そでしょ、移動できない」

「まさか、大魔王からは逃げられないってか!?」


逃げられないとか完全に予想外だぞ、どうする、勝てるのか、ナックルに?


「無理だ、絶対に勝てない」


余りにも力の差がありすぎる、余りにも、俺は弱すぎる。


「くそっ」


一か八か毒毛糸を投げる。


「なんだこれは、球遊びではないか」

「うぐぉ!?」


蹴り返され、た?


「弱い、弱すぎる、余にたどり着いたにしてはあまりにも。お前はなんだ、何をしにきたのだ。自殺ならもっと簡単な方法があろう」

「おま、えじゃないと、とけない、のろいが、あったんでな」

「余でなければ解けぬ? ふむ、それは神の呪いだな。なぜお前ごときが神の呪いを受けるのだ。その身にある負の流れのせいか」

「のろいを、うけ、たのは、おれじゃない」

「なるほど、そっちの女の片割れか。それにしても神に刃向かうとはなかなかやるではないか」

「でき、れば、かえらせてほしいんだが」

「ならぬ、余の眠りを妨げたものは極刑である。余の法律に書いてある」


くそっ、なんかないか、気を引けるものは、思いがけず話せる状況になったんだ、見逃される要素は、ないか考えろ。


「かみ、をたおしたい」

「ほう、その体たらくでどうやって?」

「いまは、むりでも、おれはせいちょうする、ぜったいに、かみをたおす」

「無理だな、あれは余でも倒せなんだ。余にも勝てぬお前が倒せるとは思えん」

「なっくる、でも、たおせない?」

「呼び捨ては不敬だが、今は不問とする。そうだ余は偽りを剥がし真実の世界を求め神を名乗る者と戦った。だが結果は見ての通りだ、余は封印され肉体を失い神は依然として世界を管理している。これを敗北と言わず何と言うのか」


ナックルが神と戦っていた? そんなの知らない、そんな事をがあっていいのか、そんな設定微塵もないはずだ。それに偽りを剥がすってなんだよ!?


「いつ、わり?」

「そう、偽りだ。この世界は偽りに溢れている。神の思いのままに世界は回る、そこに一切の誤謬は許されぬ。逆らったものは消され違うものが同じ役割を継ぐ。誰も自分の意思など持ち合わせていないのだ」

「おまえは?」

「重ねて不敬だな、だが許そう。久々の話だからな。気付く者がいるのだよ、ごく稀にな。余もその一人だったのだ」


嘘だろ、そんなことって。だけど、それなら道がある。


「余は同じく気付いた者を集め、神に戦いを挑んだ。だが相手にもならなかった。仲間も同じように封印されてしまった。これが全てだ、それでお前がどうやってあの神を倒すと言うのだ?」

「ちからを、かしてくれ。にかいめはまけない」

「お前が? 余の力を欲するというのか? 身の程知らずにも程があるわ」

「それでも、ふういんされつづけるよりはいい。おれのからだをつかえ」

「なるほど、身体をあけわたすと言うのか。だが駄目だな。お前の身体は器が小さすぎる、もっと大きな器でなければ」

「なんとか、ならないのか」

「そうさな、他の封印者を皆取り込めるほどになればあるいはと言ったところか」

「とりこんで、みせる、だから」

「見逃せと言うのだろう? 分かっているぞ、だがそれで逃げられても面白くない。これは契約だ、お前には何かを失ってもらう」

「なんだ?」


失う、何をだ? 寿命とかか?


「どれにしようかな、と決めたぞ。お前の目をもらおう監視にも丁度いい」






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