この鐘を鳴らすのは誰だ?
『番の呪鐘』
ー 時たまひとりでに鳴る鐘、死を収集する者の残した遺品にしてはあまりにも異質。鐘には血らしき文字でこう記されている「おいでやおいで、愛しい人よ。あなたの御霊が導かれ、此処に来るまで私は鐘を鳴らしましょう」ー
「……捨てようかな」
【愛の追跡】
ー 愛しいあなた、あなたが会いに来るその日まで私の標はあなたとともに ー
「はい捨てられませーん……」
「どうしたサー・レヒト、やはりその鐘は危ないものなのでは……」
「いえ、呪いよりもタチの悪いものに引っかかったようです」
幸い持ち運びできるサイズだったからの良いものの……これのもう一個の持ち主なんて想像も……あ、もしかしてあれか?
「伽藍城イヴか……あそこに幽閉されてたユーホが四六時中鐘を鳴らしてたはずだ……」
でもなんで掃除屋があいつの鐘なんて持ってんだ? たしかにあいつもいずれ仲間にするつもりだったけど流石に伽藍城に行くには時期が悪い……だって今内戦中でしょあそこ。
「伽藍城? そんなものはないぞ。イヴというのは要塞城イヴのことではないのか?」
「へ? そんな名前なんですか?」
内戦でぶっ壊れるまではそんな名前だったのか……俺が知ってるイヴとはかなり違うんだな。
「まあ良いです、とりあえず村のみんなが戻ってくるのを待ちましょう」
良い感じに掃除屋が魂持っていったおかげでだいぶ死体も減ったしもういいだろ。
「分かった、どれくらいで戻ってくるんだ?」
「長くても三日ほどでしょうね」
たぶん、それくらいで戻ってきたはずだ。それで村の復興を始める流れだからな。俺がそれをスキップしたからだいぶニケの訓練が捗るはずだ。
「お、戻って来たな」
ぞろぞろと見覚えのある顔が歩いてくるのが見える、よしよし驚いてるな……まさか俺が救ったとは思わないだろうな。
「危ない!!」
「え?」
ちょっ!? 矢が飛んで来たんですけど!?
「待て待て待って!! 俺だよ!? レヒトだよ!? あとこっちは仲間のサー・ビクテロとプラチナだから攻撃するな!!」
「うるさい……レヒトは死んだ!! お前は偽物だ!! 姿を表せモンスター!!」
いやいや確かに人に化けるモンスターもいるけど!? ここら辺には絶対でないでしょうが!?
「くっ……なんて正確な矢だ」
「気をつけてくださいね、全く同じ軌道の矢が三発まで飛んで来ますから」
射って来てるのはティーアの親父だ、あの人は確か影撃ち三連までできたはず……マジで凄腕すぎて怖いな……本当にただの狩人かよ。
「どうやったら信じてもらえる!!」
「くそっ……それなら娘の料理を食べてみろ。それで何ともないのならお前がレヒトだと認めてやろう」
あー、そういう判別方法か。それなら話が早い。
「なんでも持ってきて良い、早く誤解を解きたい」
数分後、出て来たのはサンドイッチだった。だがこれはひどいな食べるまでもない。
「これはティーアの作ったものじゃない、ティーアの料理はこんなもんじゃない」
流石に分かるわ、これくらい。
「分かるのか……? 」
「分かるよおじさん。俺がどれだけティーアの料理を食べてきたと思ってるの?」
実際肉体改造されるくらいには毒入り料理食ってるからね? これで経験値足りないとか言われたりしないだろ。
「娘が本物ならこれを食べられると言って作ったものがこれだ……こんなものを人間が食べられるとは思えないが」
「ああ、これだよこれ」
俺が作り上げた究極のデバフ飯だ。このオーラがなければティーアのメシとは言えねえよな。
『思い出のトキシックランチ』
ー 失ったはずの思い出に残る料理、もしもう一度この料理を食べられる少年に会えたなら……そう思って作った料理である。希望が潰えたならばこの料理は二度と世界には現れないー
「ああ、久しぶりに見た。いただきます」
ああ……美味いな……やっぱこれだよな……これが俺が求め続けて作り出した傑作だ。
「ぷはぁ、美味かった」
「レヒト、なんだな?」
「最初からそう言ってるよ」
「皆に伝えてこよう」
ふう、これで良いな。これでようやく里帰りができそうだ。
「うおお!?」
なんか砲弾が直撃したような音がしたんだが!?
「レヒト君!!」
「久しぶりだなティーア」
涙ぐんで近づいてきた、砲弾が飛んで来た時には驚いたけど変わってないようで安心した。
「レヒト君……」
「ん?」
あれ? 待って、なんか違うな、感動の再会って感じじゃないな!?
「……」
「あれ怒ってらっしゃる?」
こんな険しい顔見たことないんだけど!?
「レヒト君の馬鹿!!」
「あぶねっ!?」
待って待って、俺じゃなきゃ見逃しちゃうレベルの手刀が降ってきたんだけど!?
「なんで置いていったの!!」
「いや置いていったわけじゃなくて!!」
「言い訳は聞きたくない!! 二人も女の子連れてきて!!」
ステが底上げされてるからなんとかなってるが、今のティーアはヒーラーにあるまじき攻撃力を発揮してるぞ!? 効果が切れたら普通に殺されるんじゃないか!?
「そんなに私が嫌いならもう戻って来なければよかったのに!!」
「そんなわけあるか!! 俺はティーアを迎えに来たんだ!!」
「え……?」
「良いから話を聞け」
「う、うん」
なんとか話をしてもらえる状況になったな……マジで危なかった……久しぶりに過ぎてバフの波に対応できなかったからな……
「俺が飛ばされたところから話をしよう」




