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守り竜と盗賊王


「嘘だろ……」


おかしいぞ……いくらなんでもグレンデルがこんなところにいるわけねえ。宝石守がなんでこんな枯れた場所にいるんだよ!?


「ギュオオオオオオオ!!!」

「まったく嫌になるぜ……今度はこれを倒せば更なる力をくれるってのか……神様ってのは試練が好きだなまったく!!」


神様? 神嫌いだったはずのステフが神の名を言う? そんなことあるか?


「死ねぇ!!」


ステフの短刀がグレンデルの喉を裂く、本当ならこれで戦闘終了だが……


「そう簡単には行かねえよなあ?」

「ギュオオオオオオオ!!!」


すぐに傷が塞がってグレンデルは元気に吼える、治癒力が尋常じゃねえぞ……どうにかして全身消しとばすくらいじゃねえと駄目みたいだな。


「小僧!! 離れてろ!! 死ぬぞ!!」


グレンデルのラッシュを避けながらこっちを見る余裕まであるのか……本当に規格外だなステフ……こんな奴が仲間だったらどんなに楽か……いやいや俺の冒険は俺がやらなきゃ意味ねえだろ……


「ですがこのままだと勝負がつきません!!」

「は、 一丁前に心配してんのか? 要らねえよそんなもん!! こちとら元聖人だ、殺しきる術は持ってる!!」

「え?」

「あ、今のなしだ」

「いやいやいや!!?」


たしかに十三聖人の中に空席があったけど!? お前かよ!? 確か三番目が空席になってた筈だ。確かその二つ名は……


聖十字(グランドクロス)……」

「クッソ!! バレたか!? じゃあ隠す必要もねえな」


聖十字は確かに聖人の業だ。記録を読むことしかできなかったけどな……曰く聖なる十字は神敵を悉く滅ぼすとかなんとか。


「だが今は少し違う、少しばかり折り合いが悪くなってな……聖十字は形を変えた」


形が……? 十字の形が変わったら意味がないんじゃ……


「俺の祈りを見せてやるよ」


ステフが取り出した瓶がグレンデルにぶつかる、中身は液体だったらしく割れたのちにグレンデルの体を濡らした。


聖一文字(グランド・ソロ)

「ギュオオオオオオオ!!?」


グレンデルに黒焦げの杭みたいなのが刺さった!? 腹に真横に刺さってるけどそれじゃグレンデルを殺せないんじゃ……


「焼けろ」


グレンデルが燃え上がった!? さっきかけてたのは油か!!


「そして爆ぜろ!!」


爆発しやがった……え? 油って爆発するの?


「これが今の俺の十字だぜ」


爆発が連続して起こっている、その爆発は縦に連鎖を続け一本の火柱を作った。


「確かに十字だ……力技だけど……」

「ちなみに名前は爆裂十字(バスタークロス)だ」

「うわっ、びっくりした!?」

「悪いな、癖で気配を消しちまうんだ」


ここまでやったらもうグレンデルも死んだだろう、

爆破され続けて死なねえわけねえからな。


「っ!? あぶねえ!?」

「え?」


突き飛ばされた先で見たのは焦げた肉の塊がステフを貫いた姿だった。


「がはっ……ちくしょう……まだ動きやがるか……あれで死なねえとはしぶとい奴だ……」

「ギュゴォオオオゴ……」


違う……あれはもう死んでる。


「紫色のオーラに、赤く光る目、それに朽ちた身体……ドラゴンゾンビ化したのか!?」

「ドラゴンゾンビだぁ? あれはもっと時間がかかるもんだ……死んですぐに動く奴は別だ……もともとあいつの身体は別の奴が動かしてたんだろうよ」

「別の奴……?」

「きっとそいつは肉の奥深くに入り込んでやがったんだ……それが今見えるぞ」

「ゴォオオオオオオオ……」


朽ちた身体の奥に見えるのは青い複眼、それはつまり中身が虫であることを意味していた。


「寄生虫だな……俺はもう爆発十字は撃てねえし……そのうえ相手は散らばった肉を使って四方八方から殴ってくるわけか」

「お腹の穴は大丈夫ですか……」

「 大丈夫だ、聖人はそんな簡単には死ねねえようにできてるからな」


そう、これは危機的状況なんだ。なのになんでだ、相手が虫だと分かった瞬間に全く脅威を感じなくなった……どういうことだ?


「あの、試していいですか」

「なんでもやってみろ、少なくとも何もしないよりは良いだろ」

「分かりました」


ゆっくりとボウガンに矢をセットする。撃つのはもちろんプラチナの矢に毒を塗ったやつだ。


「よく狙え、たぶんあの複眼が急所だ」

「はい」


まあ……目が弱点じゃない生き物なんていないと思うけどな……


「すぅ……はぁ」


息を整えて狙いを定める、不思議と手の震えはなかった。


「行けっ!!」


発射された矢は真っ直ぐに飛び、そしてグレンデルの亡骸に刺さった。


「……外しました」

「下手くそじゃねえか!!」

「初めて撃ったもので……」

「くそっ!! 少しでも期待した俺が馬鹿だったか!」


そこまで言わなくても……


「ゴオオオォ!?」


「なんか苦しんでますね」

「嘘だろ……なんでだ」

「もしかしてグレンデルの亡骸から毒にかかったんですかね、あれ毒矢ですし」

「効くんなら話は別だ、じゃんじゃん撃てえ!!」

「了解!!」


装填だけは練習してきたから早いぞ!!


「うおおおおおおおおお!!!」


次々とグレンデルの亡骸に矢が刺さっていく、それに伴って中身の虫も悶える。


「これいけるんじゃないですか!?」

「ああ、なんとかなりそうだ!!」


「ゴオオオオ!!!」


虫が飛んできた!? キモいな!?


「あぶねっ」

「ゴッ!?」


咄嗟に振ったボウガンに当たった虫が吹っ飛んだ?


「ステフさん何かしました?」

「いや、何も」

「じゃあ虫を吹っ飛ばしたのは……」

「お前だな」

「そんなことあるわけ……」

「ん」


ステフが指を指したのは俺のボウガン


「うわあ青い液でデロデロ……」

「それ以上の証拠があるか?」

「マジかよ……」

















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