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あての名は

「人になれるのか……!?」

「ご主人様に名付けてもらったからなれるようになったの」

「そんなデタラメな……それだったら俺がテイムしたモンスター全部人になるじゃねえか……」

「そういうことじゃなくて、あてが特別だからそうなっただけ」

「プラチナはそりゃ特別だがな……」


 そりゃボスの一角の幼体みたいなもんだし……人型になったぐらいで驚くことじゃないのか……? ウンターも人狼になったしプラチナが人狐になったのもおかしくない……?


「いやおかしいだろ……ウンターは巨人を捕食したからああなったわけで……」

「あてのもう一つの名前はクズノハ、それは狐の名前なの。ご主人様からは人間の名前をもらったの」

「名は体を表すってか……」

「むつかしい言葉はよく分からないけどたぶんそう」

「今まで狐だったのはなんでだ?」

「それが必要じゃなかったからだよ? 狐の姿の方が疲れないし」


 あくまで人狐の姿は仮の姿ってことか……


「あ、そうだご主人様。はいこれ」

「……よく触れるなそれ」

「なんで?」


 体液に濡れて虫の体液のボールと化した球を俺の目の前に持ってくる。


「すげえ力だ……俺はそれを持つこともできないのにな」

「軽いよ?」

「はは、まさかそんな」

「ほら見て、浮いてる」

「マジかよ……」


 なんかドロドロの球が浮いてるんだけど……どうなってんだ、そういう材質の球になってると考えた方が良いんだろうが……なんか形変わってるな?


「この体液とれそうか?」

「うーん、ちょっと頑張ってみる」


 プラチナの周りを粉のような者が舞い始めた、小さな粒が球に殺到したと思ったらその後には磨かれたようにピカピカの球が残されていた。


「できた!!」

「おお!! すごいぞプラチナ!!」

「こん!!」

「え?」

「あ……癖でつい……」


 人型になってもコンって言うんだな……撫でてやろう。


「んふ~」

「満足そうで何より」


 髪の毛の手触りが狐のときと一緒だな、そういうところは変わんないようだ。てことはつまりこの髪は鉄壁の防御力があるってことか……すげえな……鎧でも作ったら恐ろしいことになるぞ……


「ほんで……浮いてる球はどんな感じかな?」


『揺らぎの球』

ー 球である。ただそれだけであったが虐殺によってそのあり方は歪みはじめている、揺り籠であった存在はいつしか運び手になるだろう。それが呪いであろうと祝福であろうと運び手はそれを判断しない、ただ運ぶのみである ー


【呪いの卵】

ー 大いなる呪いは気づいた時には手遅れである、全てが終わってからようやく顔を出すものなのだ。全ては気づかぬうちに。唯一の幸運は気づいた時は終わりが間近であるということだ ー


【毒蚕帝の呪い】【常に毒状態】【毒ダメージ倍加】【虐殺の烙印・虫(反転)】


「……毒効かなくて良かったわ」


 よく分からないけど浮いてるのは虐殺の烙印のせいなのか? 今回はステータスに関わる部分がなくて残念だな……


「持ち運びやすくはなったが……そんなに強くはならなかったなあ」

「呪われてるね、でもご主人様には効かないんだよね」

「効かないわけじゃないんだ、マイナスが反転するだけでそれ以外の呪いは普通に効くぞ」

「そうなの?」

「そうなんだ。特別な事情で毒が効かないからなんともないけどな」


 これはティーアに感謝だな、この毒耐性がなかったらこれを持った時点で死んでたかもしれん。


「しかし……浮いてるとなると風船みたいになっちまって攻撃には使えないな……せめて糸か毒かどっちかを持ってくれればどうにかなったかもしれないのに……」

「え? これって毒の糸の塊だよね?」

「は?」

「ほら見て」


 プラチナが球をむんずと掴むとぐっと力を入れて伸ばした。


「うわあ……紫色の毒液っぽいのが滴ってるわ……しかも繊維質の塊っぽいな……」


 言わば毒がたっぷり含まれた毛糸玉……物理攻撃力はなくなったけど全く使い道がないわけじゃないみたいだな……


「……それで材質が固定されたってことか」

「今のところは他のに変わるような気配はないよ?」

「毒玉か……プラチナは触って大丈夫なのか」

「大丈夫、あては石がそういうのなかったことにするから」

「さすがはオリハル狐……絶対的な防御性能に穴はないんだな」

「すごいでしょー!! えっへん!!」


 胸を張る幼女はかわいいなあ……ロリコンじゃないけど愛でる気持ちが溢れ出るな……


「これをどう使ったら良いと思う?」

「ご主人様が好きに使ったらいいと思うけど……あてなら投げるか解いてばらまくけど……」

「投げるか解くか……どっちも俺にはまともに使えそうにもないな……」


 どちらにしても身体能力に劣る俺ではまともな攻撃手段にはなり得ないか……早さも強さも俺には足りてないところだからな……


「ご主人様があてと同じくらい早ければ良いんだけど……」

「俺が……?」


 デバフ役がいないとまともに戦えないからな……別のところから早さとか強さとかを手に入れるしかないんだ。


「別の所か……じゃあもともと早い武器を使えば良かったんだな……すっかり忘れてたわ……ボウガン」


 プレイヤーの時と同じ感覚だったからサブ武器にもならなかったボウガンっていう選択肢を考えもしなかった……毒糸つけて飛ばせば簡単に毒矢が量産できるし便利だわ。


「それじゃあそろそろぶっ倒れてるフラメル起こすかな」


 人狐のプラチナ見て人のものとは思えない声にならない声上げて倒れやがったからな。























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