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フラメル教授のワクワク動物実験

 オリハル狐のプラチナをテイムしたので、とりあえず最寄りの大きな街に向かうことにした。目的地は序盤で一番栄えている街のサランモードだ。


「あー、やっぱりUMAは良いですね。移動速度が段違いですよ」

「ああ、この馬は最高だ!! 乗り慣れてないオレの意思をくみ取ってくれているかのようだ!!」


 あーうん、だってこのUMAは人間の言葉分かるし。それに一度従順になったら忠誠心も高いから裏切ってくることもない。


「げひひん!!」

「鳴き声はうるさいですけどね」

「それは仕方ない。これも個性というものだ」


 そんでもって何故かシルバータンカーもビクテロの攻撃の巻き添えにも慣れたようで別に疲弊した感じもなくなってきた。こいつの一番すごい能力はこの適応力なのかもしれないな。


「ん? あそこにモンスターが集っているようだが……誰かいるのか?」

「助けましょうか」

「もちろんだ、これを見過ごしたとなれば冒険者の名折れだからな」


 なんかビクテロすげえ良い奴だな……ゲーム中だと中二病の言動が大部分だったけど根っこはきっちり英雄だって事を分からせてくるから驚く。


「あ、襲われてる人がいるかもしれないので生贄賛歌は駄目ですよ?」

「分かっている、逆十字で直接叩くさ」


 身体に力が力が漲る、逆十字状態のデバフがかかった証拠だ。


「それじゃあお先に!!」

「む? その武器は便利だな」


 先にUMAから降りて棒を投げる、集っているハーピー系の魔物目掛けて一直線だ。


「クケエエエエエ!!」

「ははっ!! 避けられるかよ!!」


 飛んで躱した奴に追撃をお見舞いする。


「よっし!! 落ちた奴はお願いしますね」

「承った!!」


 体勢を崩して地面の上でバタバタしているハーピーにビクテロが十字架を叩きつけていく、流石の逆十字状態だな一撃でハーピーが消えていく。


「こんなもんですかね」

「ああ、あらかた片付け終わったな」


 うーん楽勝だったな、ビクテロが居てくれて本当に良かったぜ……これが俺だけだったら勝てないな。


「さて、中心にいる者は無事か?」

「あ、大丈夫そうです。なんか土のドームみたいなものがありますからその中ですかね」


 土のドームに籠もれるなら土魔法みたいなのでハーピー倒せなかったのか? 中身は魔法を使える奴だとは思うが……なんで逃げの一手しかしなかったんだろうな。


「もう大丈夫だぞ、オレ達がモンスターを倒したからな」


 ビクテロがドームを叩く、するとドームの表面が崩れ中身が見えてきた。


「うん? なんだこれは?」

「空洞……ですね」


 これは下に続いてる奴だな……即席の地下室か?


「う……なんだこの匂いは……」

「臭いです……腐ったような……薬のような」


 猛烈な異臭……地下室と異臭のコンボなんてやらかすのはもう一人しかいねえぞ……確かにあいつならいきなり道ばたで即席実験室を作って作業に没頭するのも不思議じゃねえ……


「サー・ビクテロ、手間が省けました」

「なんの手間だ?」

「この中にいるのはフラメル教授です」

「え?」

「聞いたことがあります、フラメル教授は思い立った場所で即席実験室を作って平気で数日間実験を続けるということがあるそうです」

「これがそうなのか?」

「恐らくそうでしょう」


 恐らくというか確定だけどな、こんなことする奴が他にいてたまるか。


「フラメル教授!! フラメル教授!!」

「んぁ……うるさいな……早く閉めろ……日光で変質したらどうしてくれる……向こう百年の発展が遅れたら責任を取れるのか?」


 この物言い……俺の知ってるフラメルと一緒だ。


「実はオリハル狐をテイムしたんですが」

「ふん、そんな嘘で僕を騙せると思っているのか?とんだ馬鹿だと思われているようだが、オリハル狐が人に懐くことなどあり得ないぞ……もっと現実味のある嘘を考えてこい」

「プラチナ」

「コン!!」

「……は?」


 食いついたな……?


「待て、そこを動くな、今から行く」

「はい、待ちますよ」


 土がモコモコと動いてずるりと人が出てくる、長身で痩せた白衣風のローブを着た眼鏡の男だ。ああ、確かにフラメルだ。あの万年寝不足の不機嫌顔を見るのも久しぶりだな……


「初めましてフラメル教授、私はレヒトと申します」

「うるさい、お前に興味はない。早くそこのオリハル狐を見せろ」

「いえいえ、そういう訳にはいきません」

「は? なんだ? 取引がしたいのか?」

「ええ、その通りです」

「言え、オリハル狐の研究ができるならなんでもしてやろうじゃないか。何が欲しい、薬か? 技術か? 魔法か?」

「あそこの人狼を狼に戻して欲しいんですが」

「ん? 戻す? なんでだ? 人狼の方が高等だろう?」

「いいえ、ウンターは狼としての誇りを持っています。人狼の状態を酷く嫌っているんです」

「ふむ……理解しがたいが……それをすればお前のオリハル狐を好きにして良いんだな?」

「……ちなみにプラチナに何をするつもりですか?」

「は? そんなの決まってるだろう。投薬、実験、解剖、魔法、やることなんていくらでもある」

「プラチナに傷をつけることは許しませんが、それ以外なら私が同席した状態でやるなら構いません」

「ちっ……そんなの何もできないのと一緒じゃないか、それでは人狼を退化させることなどできないぞ?」


 まあこうなるよな、だったらこっちも手札を切るまでだ。


「フラメル教授、勝負をしましょう。それで私が勝ったら要求を飲んでいただきたい」

「なんだいきなり、だが良いだろう。僕が勝ったらオリハル狐を好きにさせてもらうぞ小僧。種目は何だ? 言っておくが僕が運動ができないと思ったら大間違いだぞ?」


 知ってるよ、お前のステータスは高い水準でまとまってるからな。それでも俺はお前に知識で挑む。


「知恵比べをしましょう、出す問題はフラメル教授が決めて構いません。私が答えられたら私の勝ちです」

「ほおう……この僕にそんな勝負を挑むとは……よっぽど負けたいと見えるな。良いだろう、それなら問題は既に決まっている」

「それの答えは『臨界時における一瞬においてクロノス反応を示して時間の軛から解き放たれるが、その後に矛盾状態を世界が許容できず崩壊する。ただし極度に親和性が高い個体・条件が揃えば持続可能である。完成した個体をもう一度通常の位階に引き戻す場合は血縁もしくは本体の一部を用いて祭具を作成しウラヌス現象を誘発し対消滅を図ること』です。確か生物時空固定フェイタルストップ理論ですよね?」

「な……!? お前……なんでそんなことを知っている……!? まだ発表されていない理論だぞ!! それに僕が問題を言う前になぜ答えを言える!?」


 お前が出してくる問題は予習済みなんだよ!! もう暗記してるわ!!








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