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すり寄ってくるものを殺せるのは人でなしか英雄か


「な、なんでオリハル狐が!?」

「コーン!!」

「いて、いてて!!? 硬いから痛い!!」

「コーン……」


 え? なんでいきなりオリハル狐が現れたんだ……しかもなんでこんなに友好的に……え? 意味が分からない……でもなんかこの感じ見たことがあるような……


「懐いてきた村の犬に似てるな……あ、狐って犬の仲間なのか?」

「コーン!」

「だから痛えって……すり寄ってくるな!?」

「コーン……」


 鉱石と融合してるから毛が硬いんだ、わりとザックザク刺さってくる。


「今ならどうとでもできるが……」

「すぅ……すぅ……」

「いや寝るなよ……ここまで無防備になられると攻撃して良いものか非常に判断に困るな……でも攻撃してもダメージ入らねえんだよな」


 オリハル狐の防御力は馬鹿みたいに高い、その上獣特有の素早さも相まって非常に倒しにくいが体力は低いっていうモンスターだ。見つけたら逆十字でどうにかしようと思ってたが……これは想定外が過ぎるな……


「どーっすかな……これはちょっと困ったぞ……なんならテイムできる勢いだ」


 オリハル狐のテイムとかそんなの天文学的数字でしか成功しない、プレイヤーなら一回は試みるけどすぐに諦めるような難易度なんだけど……


「コー……ン」

「気持ちよさそうに寝やがって……俺はお前を倒しに来たんだぞ?」


 硬い毛並みを撫でる、毛の流れに逆らわなければ痛くはないな。


「はぁ……試してみるか」


 こいつの主食は鉱石だ、そこらのモンスターを殺して取れば良い。


「小粒でも構わないな」


 地面を這っていたトカゲを棒で叩く、このサイズなら別に一撃でいける。


「すげーちっちゃいルビーだな……まあこれで勘弁してくれよ」

「コン?」

「食うか?」

「コン!!」


 『ホワイトフェイス・ゴールドレザー種のオリハル狐が仲間になりそうだ』


「は? おま……ダッキか?」

「コン?」


 ホワイトフェイス・ゴールドレザー種ってのはオリハル狐の中でも特別中の特別、隠しボスの一体だ。そのボスの名前がダッキだった。その性能はえげつないの一言、オリハル狐の特性はそのままに攻撃能力と体力がボス級になったっていう最難関ボスの一角だ。


「……え? お前二年であんな化けもんになるの?」

「コン!」

「いやコンじゃなくて……マジかよ」


 ダッキを倒さずに済むならその方が良い、でもダッキがいないことでどんな影響があるのか俺には分からない。ジンを救った件でもちょっとまずいかなと思ってるのに……良いのか?


「……お前はどうしたい?」

「コンコン!!」

「うーん……ああ~……仕方ないよな……ダッキになられた方がまずいしな……」


『ホワイトフェイス・ゴールドレザー種のオリハル狐が仲間になりました』


「あーあ、やっちゃったか……」

「コーン!!」

「うんうん、嬉しいか。俺は複雑だよ」


『名前をつけてください』


「あ? 名前か……そうだなあ……」


 狐……オリハルコン……鉱石……白……金……


「白金……プラチナかな」

「コン!!」


『承諾を得ました、プラチナと命名されました』


「よろしくなプラチナ」

「コン!!」


 でもなあ……これをどうやって説明したら良いかな……困ったぞ……ビクテロとウンターになんて言ったもんかな。


「首尾はどうだ同士」

「げっ!?」

「……それはなんだサー・レヒト」

「えっと……オリハル狐です」

「どういう状態だ?」

「仲間に……なりました」

「はぁ!? オリハル狐が人に懐くなど聞いたことがないぞ!!」

「ですよねえ……」


 俺も驚くと思うわ、見つけることすら難しいのに仲間にするなんてあり得ないよな……


「そんな珍しい個体ならばフラメル氏の興味を引くには十分だ。しかしサー・レヒトにはいつも驚かされるな」

「え?」

「素晴らしい功績だ、競売にはかけられないがそれとなく噂を流すだけでもフラメル氏ならば食いついてくるだろう」

「サー・ビクテロ……ありがとうございます」

「ん? 礼を言われることなどないぞ」


 ぶっちゃけビクテロが全力でプラチナを倒しに来たら守り切れないところだ、理解のある奴で本当に良かった……


「見つけたぞ狐!!」

「お前はそうなるよなウンター!!」

「我の復活の糧になるがいい!!」


 ウンターはもっと止められない……どうにかかばえるか……?


「コン!!」

「ぬ……? まさかお前は……いや……あなたは……」

「コンコン!!」

「ほうほう……なるほど……ふうむ……」

「コンコン!!」

「なんと……そのような事とはつゆ知らず無礼を働きました……お許しいただきたい」

「コン!」

「おお、なんと寛大な。我も執行者としての使命がありますゆえその気持ちは分かります。しばしの借宿として罪人をお使いください」

「コン」

「は、そのように致しましょう」


 ……なんか丸く収まったな……プラチナの言葉が分からないからなんとも言えねえが……これでひとまず良いのか? ていうかプラチナの方が上なの?


「おい罪人……くれぐれもその方に粗相を働いてはならんぞ」

「あ、ああ……」

「コン!!」


 

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