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墜ちよ浮沈艦、我は死を運ぶ執行者なり


『どういうことだ? 我が一度抜かれれば追いつけぬと言うのか!!』

「そういうことじゃねえ!! ルールなんだ!! そういうルールで奴に勝たなきゃならないんだよ!!」

『……? 何を言っている?』


 ああ……説明が難しいな……とりあえず納得してもらう他ない。


「良いから!! 説明は後だ!!」

「げひひひ~ん!!」

「くそっ……やっぱり速いな……」


 シルバータンカー……UMAの中で最速とは言わねえが速い……ウンターでも少し劣るか……?


『馬如きの分際で……我の前を走ろうとするか……!!』

「げひひひひ……!!」


 攻撃で妨害することはできねえ……そんなことすればシルバータンカーはすぐに逃げるだろうしな……


『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!』

「ぬおおおう!!?」


 なんか俺の下のウンターが膨らんでる気がするんだけど!?


「アオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!!」

「ちょ……おま……!?」


 なんか野生解放みたいなことされても困るぞ!?


「待て待て待て待て!!?」

「グルルルゥ!!」


 言葉失っているんだけど……これ指示出しても通じない奴だよな……ウンターお前……そこまで負けたくなかったのか……


「げひひひ!!」

「ガァルル!!」


 でもまあ……スピードはこれで足りた……速さと揺れにも慣れてきた……浮沈艦を沈める手段を俺は知っている……実行できるかどうかは……


「やるしかねえか……ウンターが頑張ってくれてるもんな……」

「げひひひひ~ん!!!」

「お前のアホ面を見るのも何回目だって感じだけどなシルバータンカー、お前を沈めさせてもらうぞ」


 速さで拮抗できるなら後は俺の腕次第だ


「おらっ!!」

「げひっ!?」

「大人しくしやがれ!!」


 シルバータンカーに飛び移るのには成功した……たてがみが長くて助かった、だけど……


「こんの……暴れUMAが……!!」

「げひひん!!」


 こいつを沈める方法……それはこいつが足を止めるまで耐える。それだけだ……HPは無尽蔵でもスタミナまではそうじゃねえ……動けなくなるまで暴れさせてやるよ……!!


「ぐっ、うおっ!?」

「げひひひひひ!!!」


 まずいな……思った以上に俺の身体のスペックが低い……掴まってるだけで精一杯なのはもちろんだが、普通に握力が足りなくてはじき飛ばされそうだ……


「ここに……来て……スペックの低さを呪うことになるとはな……!!」

「げひん!!」

「しまっ!?」


 手が……離れ……!? 


「くそっ!?」

「げひひひひひひ」


 まずい……この速さで落馬したら……死ぬ……!?


「まだだ……!!」


 当てないように……引っかけるだけだ……ダメージを与えければ……こいつは逃げない……


「おおおおおおおおおおおおおお!!!」

「げひ?」


 よし……棒をたてがみに引っかけることに成功した……まだだ……まだ落ちねえぞ……


「はぁっ……はぁっ……もう少し付き合えよ……」

「げひ……!?」


 なんだ……ようやく俺を敵と認めたのか? 


「げひひひひひひひひひん!!!」

「なんだ……!?」


 ただの鳴き声じゃない……!? なんかの攻撃か!?


「……」


 力が入りやすくなったな……それに息も楽になった。ああ……そういやお前って戦闘用のスキルはなくても妨害用のスキルは持ってたんだったな。


「お前運がなかったな……俺がただの冒険者だったらこれで終わりだった」


 【銀艦馬の嘶き】だったか……筋力とスタミナを減少させる効果は俺にとっちゃただの手助けにしかならねえよ。


「これで……なんとかなったな」

「げひ……げひ……」


 疲れてきやがったな、そりゃそうだ。走ることは得意でも上にいる奴を落とすのは得意じゃねえもんな。


「ふう……よしよし……大人しくなりやがったな」

「げひぃ……ぶるるる……」


『野生の名馬シルバータンカーが大人しくなりました』


「よっしゃ!!」


『シルバータンカーを騎乗馬に設定しますか?』


「オッケーオッケー、オッケーだよ。こいつを逃したら今までの苦労は全部無駄になっちまうからな……」

「げひひひ!!」


『シルバータンカーが騎乗馬になりました』


「はぁ……なんとかなったな」

「終わったようだな、うまく御したではないか」

「ウンター……ありがとうな……」


 まさかあそこまで協力してくれるとは思ってなかった、ここでシルバータンカーをゲットできたのは本当にでかい。UMAは普通に強えから道中でモンスターに襲われる可能性が減るっていう効果も期待できるからな。


「礼は肉でしろ、とびきりのやつだ」

「分かった、今回ばかりは本気で最高の肉を用意する」

「ふふ、走った甲斐があったというものだな」





















 

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