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ビクトリアの目覚め2

「ひゃあ!? 誰だオレをそんな風に呼ぶのは!!?」

「おはようございます。サー・ビクトリア」

「サー・レヒト!? 何でその名前を知っている!?」


黒歴史を知られるのは恥ずかしかろう!! ふはははは!! 狼狽えた顔が見れて満足だ、これくらいで許してやろうかな。一応でなくて本当に命の恩人だったりするからな。


「オレの本名をなんで知ってるんだ!? しかも家名まで!!」

「うん?」

「誰にも教えてはならないと言われてきたのに!! どこで知った!!?」

「ちょっと待ってな……本名?」

「ああそうだ」

「サバトグラン?」

「そうだと言っているだろう?」

「オーケー、少し時間をくれ」


……マジなの? 本気でこいつはサバトグランの系譜なの? うっそだろ……裏設定とかそんなレベルじゃねえぞ。


「うん、この事は無かったことにしよう」

「……は?」

「俺は何も知りません、サー・ビクテロは何も聞いてません。オーケー?」

「いや流石に無理が……「お願いします!!」サー・レヒトがそこまで言うなら……」


これ以上厄ネタ背負いこんでたまるか!! 今はウンターの分だけで手一杯だっつの!!


「それでは気をとりなおして……サー・ビクテロ、パラケルススへの行き方は分かりますか?」

「あの賢人の都への行き方? 一応手段は3つあるが……どうしてそんなことを?」

「その手段を教えてもらえますか?」

「あ、ああ。まずは通行手形を買う方法、次に権力者に認められて入る権利をもらう方法、最後に賢人の試練を突破して入学する方法がある」


まさかとは思っていたが……本当に三つ目の手段が存在するとは思ってなかったな……入学か……確かあそこには学校もあったんだったか……


「どれも非常に難しい課題だ、少なくとも今のサー・レヒトには無理だと思うが……」

「それは分かっていますが……どうしてもフラメル教授に会わなければならなくて……」

「それはフラメル・フォン・ブレーメンか……?」

「ええそうですけど……ご存知でしたか?」

「そのお方ならパラケルススにはいないと思うが……放浪の研究者で有名だからな」

「え?」


ゲームではパラケルススにしっかりいたはずだけど……それも2年後の話って事なのか……本当なら確実に会うために2年後のパラケルススに行きたいところだが……


「何だその顔は、早くそのフラフラとかいうのを探し出せ」

「フラフラじゃなくてフラメルな、それと2年後じゃ駄目?」

「駄目だ」

「ですよねー」


ビクテロがその居場所を知っていれば良いんだけど……そんなの知らないだろうしなあ……なんか人を探す手段は……


「フラメル教授の居場所を掴みたいんですけど、何か良い案はないですか」

「あるぞ?」

「そうですよねー、ってあるんですか?」

「フラメル氏はモンスター研究の大家だから、オレ達で珍しいモンスターを倒して競売にでも賭けたら飛びつくさ」

「……珍しいモンスター?」

「そうだ、オレに心当たりがある」

「サー・ビクテロ、あなたは何て頼りになるお人なんでしょう」


正直解決策を持ってくるとは思わなかった。


「で、珍しいモンスターっていうのは?」

「フウ鉱山のオリハルコンだ」

「オリハルコン……」


あー……オリハルコンは確かにレアモンスターだけどなー、でもなー、あれはなー、


「倒せますか……?」

「やれるさ、オレとサー・レヒトなら」

「オリハルコンって推奨レベル30くらいなんですけど……」


この世界でレベルがどのように表記されるかはちょっと分からないが今のビクテロに30もない事は流石に分かる。


「逆十字があればなんとかなる、さあ栄光の旅路へと赴こうではないか!!」

「お、おー……」


ちょっと待てよ……なんか忘れてるような……あ、そうだ移動手段!?


「サー・ビクテロ!! 馬を買いましょう!! それが目的でここにきたんですよ!!」

「馬? ここに馬なんているのか?」

「あれ? 居ないんですか?」


おかしいな、ここで手に入ったはずなのに……確か掲示板に……掲示板ねえじゃん。


「徒歩でフウ鉱山まで行くのは大変ですから移動手段が必要だと思うのですが……」

「それもそうだな……探してみようか。まだサー・レヒトが小さいことを忘れていた」

「……ちなみにサー・ビクテロはいくつなんです?」

「こらこら、女性に歳を聞くものじゃないぞ?」


女だってことを隠すわけじゃないんだな……じゃあ別に女扱いは地雷じゃないと。


「ちなみに身体に変わりはありませんか? サー・ビクテロに人狼の血を入れましたから。もしかしたらおかしいところがあるかもしれません」

「なんだって!? それは本当か!?」

「本当だぞ女、お前の身体には我の血が入った。どうだ光栄だろう?」

「……なにも変わった感じがないんだが」

「なにぃ!? 我が血がお前ごときになんの変化も与えないなんて事はあるまい!! もっとちゃんと見ろ!!」

「あ!」

「見つけたようだな……さあ言ってみろ」

「歯が尖ってる」

「うわ地味……」

「おのれ!! かくなる上は溺れるほどに飲ませてお前も人狼にしてやろうか!!」

「はいはーいお肉でーす」

「なんだと!? それを早く言え!!」


うん、やっぱりこいつは肉で操作できるわ。


「なあ、あんたら馬を探しているんだろう? それなら良い話があるんだが……」


お、大声を出して馬と言った甲斐があったかな?



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