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料理は練習したら上手くなるらしい

なんてこった……全くの想定外だ。まさかいくら頑張ってもデバフ効果が出るはずのティーアの料理がまともになるなんて……


「どう? 上手くできたと思うんだけど」

「うん、すげえ美味い」


なんの効果もない美味いメシを作るようになるとはな……俺は全力でメシマズになるように誘導してたはずなのに……なぜだ!?


「えへへ……嬉しい、頑張ったかいがあったよ」


はにかんでるのすげえ可愛いんだけど……俺が求めてるのはそうじゃねえんだ……地獄のようなメシが欲しかったのにどうして……


「やっぱり人の事を考えて作ると上手くできるね」

「んん?」

「な、なんでもないの!!」


誤算だった……ここがゲームだと思って舐めてた……そりゃ練習したら料理は上手くなるに決まってる……ゲームには搭載されてない要素がある事を全くもって忘れていた……


「難しい顔してる……やっぱり美味しくなかった?」

「ううん、すごく美味しいんだ。それが残念で」

「え?」


しまった、本音が出た!?


「どういう事? 私の料理が上手くなるとレヒト君は困るの?」

「えっと……味見役が要らなくなっちゃうからさ。寂しいなあ……なんて」


頼む、誤魔化されてくれ。こいつはドジ属性持ちだし人の言うことは真に受ける質だが馬鹿ってわけじゃない。気づくなよ……俺がメシマズに誘導してたことに……


「何言ってるの? 私の料理はレヒト君にしか食べさせないよ?」

「え? なんで?」

「だって、他の人は2度と食べてくれないのにレヒト君だけはずっと食べてくれるから……だから決めたの。レヒト君のためにしか料理しないって」


あれ? ティーアってこんな感じだったっけ? もっとこうふわっとしてたような?


「だからレヒト君も私の料理だけを食べて欲しいなあ」


あれ? こんなずっしりくるタイプのキャラだっけ?


「ねえ、良いでしょう?」


なんか怖いぞ……!! 待てよ……確かティーアの裏設定ってたしかこう書いてあったような……「本編中では発露しないが甘えられる相手を見つけると全力で寄りかかってくるような危うさがある」だっけ……いやこっちか?「案としては隠しパラメータの好感度を上げると覚醒するというものがあった」の方か!?


「ごめん……ちょっと待って……」

「待たない、レヒト君の答えが聞きたいな」


くそっ!? 予想外に予想外が重なってわけがわからない!?


「ねえ……」

「ごめんくださーい!!」


良し!! ちょうどいいところに訪問客が来た。


「チッ……今行きまーす」


今舌打ちした? ティーアが? 嘘だろ……俺はいったいティーアの何を呼びさましてしまったんだ……でも今はこの場を脱するのが先だな。


「よっと……」


窓を乗り越えて下へ……早く対策を考えないと……ってあれ? なんか表示があるな……


「なんだこれ……!?」


ステータス欄に……【愛の宣告(反転)】って書いてあるんだけど……聞いたことないよこれ……知らないデバフが反転してるんだけど……こわっ


「反転してるってことは今は特に害はないはず……ティーアの料理の効果か?」


知らねえデバフを発動させるとは……やっぱりあいつはメシマズだった……良かった……まだ希望はあるぞ……問題はあの感じで迫られると非常に困るってことだ……


「どうしたらいい……ヤンデレ化する前に食い止めねえと」


流石に命の危機を感じながらの旅をする気はない……どうにかしてバランスを取らないと……俺への信頼を落とすか?


「とりあえずかっこ悪いところ見せてやれば良いか」


好感度で今の状態が引き起こされたとするならばそれを無理にでも下げてやれば良い。リカバリーは大変だろうが仕方ない……


「決行は明日かな……」


そして翌日。【愛の宣告】は消えていたから永続デバフなんていうか化け物デバフではなかったようだ。


「とりあえずはアドーのところに行っていい感じにボコボコにされれば良いかな」


アドーはガキ大将的な役割を持っているキャラだからな、わざとぶつかったくらいでいい感じにに喧嘩をふっかけてくるだろう。そこでなす術なくやられる姿を見せれば評価も落ちるに違いない。


「お、居たな」


さっそくぶつかりにって……あれ? 俺露骨に避けられてないか?


「……アドー?」

「な、なんだよレヒト。こっちに来るんじゃねえ……!!」

「なんでそんなに俺を避けるんだよ」


俺はまだ何もしてないのに……なんかイベントでも起こったかな? いやそんなイベントなかっただろ……まだ初めての冒険も起こってないのに……


「アドー、何かあったのか?」

「う、うるせえ!! お前に関わるとろくなことにならねえんだよこの忌子が!! 神から見放されたお前に近づくと俺まで見放されちまうだろうが!!」


え?


「気づいてねえのかよ……じゃあ教えてやる。お前は神に愛されてないんだ、だから加護を得られないんだ!!」

「あ、そういう感じなんだ。どうりで……」


村で暮らしてて感じた違和感はそれか、偶に憐れみの視線を感じると思ったらそれが原因だったんだ。


「お前がいるだけで村に不幸が来るんだよ!! さっさと冒険にでも出て死ねばいいんだ!!」


あー、なるほど。【反転体質】は他の人にもバレるし迫害の対象にもなるんだ。


「そうか……教えてくれてありがとうなアドー」

「分かったらさっさとどっか行けよ!! 俺に呪いが憑く前にな!!」


こりゃ思った以上にハードモードだぞ。


「ん? 待てよ? 忌子……呪い?」


もしかしたらもしかするかもしれないぞ……試す価値はあるな……




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