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首輪とリードが必要(ただし付けれるとは言ってない)


「で? 世迷い言を言った責任は取るんだろうな?」

「いや……もう大分……ボコっただろ……ぐふっ……」


 案の定キレて俺に襲いかかって来やがった……速攻でマウント取って攻撃した辺り割と本気だったような気がするが幸い致命傷になるようなものはない。浅い傷はわんさか作られたがな……痛え。


「あのですね……ウンターさん、一端俺の配下になってくれないとですね。元に戻すための儀式がですね、できないんですよ」

「む……だとしてもだ、我を飼い犬になどできると思うな……我はお前を殺すものだ。それは絶対に変わらない、良いか? それを努々忘れるなよ」

「はい……すみませんでした……」


 首を甘噛みされながら言われた……外側見ればそんな危ないようには見えないだろうが、実際やられてみると背筋が凍る。やっぱりこいつは俺を殺すためのものなんだな……


「まあ良い……それで? お前の飼い犬になるというのは具体的にどういうことだ」

「えっとですね……俺がウンターさんにですね、肉を差し出しますのでそれを食べていただければと……」

「なんだ、そんなことで良いのか。本来ならば内臓が最も美味いのだが、この際贅沢は言わん。お前にそんなことで死なれても困るからな。さあ好きなところを言うが良い、痛みもなく食いちぎってやろうではないか」

「あのう、尻尾を全力で振られてるところ悪いんですが。俺の取ってきた肉を食べてもらうわけで俺を食べてもらうわけじゃないんですが」


 そんなにぴっこぴこ尻尾を振られるとは思ってなかった、どんだけ俺を食いたいんだこいつ……


「っ!? わ、分かっていたぞそんなことは!! 早く肉を持ってこい!! 今すぐにだ!!」

「じゃあどいてもらえます?」

「くっ……!!」


 これで解放されたぞ……とりあえずはここらのモンスターの肉でも取ってくるか……


「おらあ!!」

「グガァ!?」


 まあ、普通の鳥とほとんど変わらないモンスターなら流石に棒で一撃だな。これをウンターに渡してそれを食ったらそれでテイム完了ってことになる。


「取ってきたぞ、これを食え」

「ん? あまり上等な肉ではないな。可食部位もそこまで多くない、だが内臓を傷つけずに頭だけを砕いたのは良い判断だ。一番美味いのは内臓だからな」

「お褒めにあずかり光栄だ」


 ざっくりと切って俺の手の上に肉を乗せる、棒がトゲトゲしたおかげでこういうことができるようになったのは良かったな。


「むう……まさか我が罪人から肉を食わされることになろうとはな……」

「まあ、期間限定だから我慢してくれ」

「あぐっ……んぐっ」


 あー、そのまま口つけて食べるのね……そこら辺やっぱり犬っぽいんだな。舌の感触がくすぐったい、しかし口の周りが血濡れの子どもってのはなかなか猟奇的だな。


「ぷはぁ……うむ、悪くない。血と内臓が最高の味を生むのだ」


『巨人食いの人狼ウンターが仲間になりそうだ。仲間にしますか?』


 うーん、こういうところはゲームのまんまだからどこまでゲームと一緒なのかがよく分からなくて困るな……


『このモンスターは特殊個体です、何かの理由で牙を剥く可能性があります。それでも仲間にしますか?』


 そんなことはもう分かってるから別に良い。


『ウンターが仲間になります』


「ん? なんだこれは?」

「その印があれば儀式ができる、ただそれだけの意味だ」

「そうか」


 支配下にある証なんて言ったらまたボコられるところだ、とりあえず良い感じにぼかして伝えるくらいが良いだろうな。


「それで次は何をするのだ……」

「次はある場所に行く必要がある、でもそこに行くためにはだいぶ手間がかかるんだ」

「手間? そんなものは我には関係ない。早くしろ」

「そんなこと言われてもなあ、物理的にも権利的にもそこに入るのは難しいんだよ」

「ぶつり? けんり? 何を言っている」


 だってなあ……テイムしたモンスターの進化とか強化とか行うのはだいたい中盤くらいからで、今の場所からは大分どころか遙かに離れた場所にあるし。それにそこに入る為にはある程度以上に偉いやつから通行手形をもらうか、金を稼いで買うかの二択なんだよな……もしかしたら第三の手段があるかもしれないけどそれは未知数だしなあ


「一応念のために聞くけど……研究学園都市パラケルススってどこにあるか知ってる?」

「けんきゅうがくえんとし? ぱらけるすす? なんだその呪文は」

「あ、はーい。うんうん知ってた」


 そうだよなあ、本来俺を殺して一緒に死ぬはずのウンターが知ってるはずないもんなあ。聞いた俺も期待してなかったから良い。


「とりあえずすっごく遠くてすっごく難しいってこと」

「ん? それはお前ではできないということか?」


 おっとギラリと牙が覗いたな。言い訳しねえと……


「できる、できるが……時間が欲しい」

「できるならば良い、だが少しでも回り道をしようものなら……分かっているな?」

「最短最速で向かいます!!」

「よろしい」


 これじゃあどっちが主人か分かったもんじゃねえな……


「まずはビクテロを担いで最寄りの村に行くか……記憶が正しければあっちの方だしな」

「ん? 寄り道か?」

「違いまあす!!」


 はあ……パラケルススに行くにはどうしたら良いかなあ……






















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