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勘違いの結果

「いいえ皆まで言いますまい、重要なのは資格があるということ。どうかこれをお持ちになってください」

「え? これなに?」

「資格を示すメダルでございます、来たるべき時が来たらそれが道を示すでしょう」


駄目だ、俺の知らないイベントだこれ。企画段階で没になったイベントか!?


「セフィロトの管理者に会うための方法を探していたところでまさかこのような出会いがあろうとは。あなた様ならば方法を知っていても何も不思議ではありません。私はほかのセフィロトの開け方を調べに行きます。それでは」

「……行きやがった」

「サー・レヒト……本当に魔王の血族なのか?」

「いや全然違います、アームズが勝手に勘違いしてメダル渡してきただけですよ」

「……オレはお前を信じよう、何があっても同士は裏切らない」

「ありがとうございます」


ビクテロもなんか自分の中で答えを出してくれたようだ。それに裏切らないっていう言質もとれた、アームズが出てきたときはどうなるかと思ったがなんとかなってよかったな。


「それじゃ行きましょう、セフィロトの中へ」

「ああ……」


よーし、セフィロトの中の異空間に行くぞー。資格もあるし入れてくれるだろ。


「ああ……こういう感じなのか」


セフィロトの中は祭壇のようになっている、その祭壇の一番上には管理者のジンがいる筈なんだけど……


「いない……?」


まあそもそものところでジンは会う前に死んでる管理者だからどんな奴かは分からないからな、まさか最初からいなかったなんていうかオチじゃないだろうな。


「よこせ……それ……よこせ……」

「うおっ!? なんだ!?」


足元から声がした!?


「よこせええええええ!!!」

「むぐっ!?」

「え、ちょ、そんなハレンチなこと許さないぞ!!」


目の前が薄緑で覆われる、なんだ、なんか口に吸い付いてきてるが……まさかキスされてるのか……!?


「んぐっ……んぐっ……ぷはあ」

「……吸精か」

「ん? 知ってんのかお前、美味かったぞごちそうさん」


精霊種の常套手段の一つだ、こっちの体力と魔力を吸いながらジワジワ削ってくるのは本当にウザかった。


「弟になんてことするんだ!!」

「……似てないけどあれ本当のお姉さん?」

「違います、自称です」


ジンの姿は初めて見たが肌が薄緑なこと以外は幼いアラブ系ダンサーみたいな感じだな。すとーんぺたーんだから見られるが出るとこ出たやつが着たら相当エロい格好だぞ。


「あなたはジンですね?」

「へー、あたしのこと知ってるんだあ。じゃあ偶然ここに迷い込んだってわけじゃないんだね?」

「あなたを助けに来ました、あなたは2年以内に木ごと死にます」

「ん? それなら今解決したけど」

「だから……は?」

「今解決したってば、死ぬほど眠ってて起きたら死にそうになってたから危なかったけど今はもうお腹いっぱいだから」


え?ジンってそんな理由で死んだの? 魔王の配下に殺されるとかじゃなくて? 寝すぎて? 腹減って死ぬ?


「……アホなの?」

「アホとはなんだアホとは!! 言っとくけどあたしは偉いんだからな!!」

「知ってるよ、精霊種の王の一人でセフィロトの管理者のジン。 そんな最高クラスの存在が寝過ごして死にかけてるとは思わないだろ普通」

「最高クラス……ふふん、分かってるじゃない。 あと言っとくけどあたしだってそんなに寝る気は無かったけど眠っちゃったんだから仕方ないでしょう!?」

「普通に寝坊か……」


待てよ……意図的に眠らされていたっていう可能性はないか? そんなことができるやつ……心当たりはあるようなないような……


「寝る前に誰かと合わなかったか」

「会ってないわよう、そもそも意図的にあたしに会いに来た人間なんて久しぶりすぎて忘れるわけないから絶対に会ってない」

「……そうか」


しかも遠隔で干渉か、そうなるとほぼほぼ絞られるけど動機がまるで分からない。だってそれ仲間キャラの一人だぞ?


「じゃあここに来ただけで俺の目的は果たされたってことになるのか……普通ならジンが負けるはずもないし……帰るかな」

「待って待って、流石に急ぎすぎじゃない? あたしが命を救われたのは変わんないんだからお礼の一つでもさせてちょうだいな」

「え……いらない」


こいつのお礼ってあれだろ、ジンの加護とかそういうやつだろ。永続バフの類なんていらねえよ。俺にとっちゃ毒にしかならないし。


「……本気でいらないって思ってる顔ね。良いの? 今よりもずっと強くなれるかもしれないのに」

「いらない、俺にやるくらいならいつか来るニケって奴にやってくれよ。その方がこの世界のためになるだろうし」


主人公を強化しておかないと途中で詰むかもしれないしな。


「へえ……他人のためにあたしの加護を蹴るんだ。あたしがどういう存在か分かった上で……ふーん」

「そういうことだから、俺はもう帰る。死なないでくれよジン。さ、行きましょうサー・ビクテロ」

「お、おう」


まあこれで少しはニケの旅は楽になるだろう、俺はデバフ役を増やせたしウィンウィンって奴だな。


「……待ちなさい」

「なんだ?」

「かぷっ」

「痛え!?」


噛まれた!? なんでだ!?


「ふがふがふが!!」

「痛えし何を言ってるか分からねえし!!」

「ぷはあっ……ふふん、これはマーキングよ、あたしの加護を受け取らない限り弱くなるんだから。あたしはニケなんていう知りもしない相手じゃなくてあなたに加護をあげたいの」


なんて言った今、加護を受け取らない限り弱くなる?


「まさか……」


【ジンの呪い(反転)】


「やりぃ!! ありがとうジン!! じゃあな!!」





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