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無双ゲームができたら良いな

「予定より早いがブレインの当選が決まったか、まあそれを発揮する前に聖騎士共を殲滅することになっちまったが」


 確認は終わった、それじゃあ後は三万五千の聖騎士をぶっつぶすだけの話だ。あーあ、本当なら後はブレインにぶん投げるだけで終わってた筈なんだけどな。ビクテロの言うことに納得しちまったのが運の尽きだなこりゃ。


「え~っとグレーゴリがあっちだから……その通り道に罠を仕掛けるか」

「なんでもするぞサー・レヒト」


 頼もしい限りだぜまったく、でもまだ決行には移せねえな。なんせ俺が聖騎士を相手取ることをプラチナにもユーホにも言ってねえから説得するところからやらにゃならん。あれ? 待てよ、ユーホの説得とか不可能じゃね?


「あのですね、その、聖騎士を倒そうと思うんですけど協力してもらえますでしょうか」

「何を言っているのか分からないわね、なんの、ために、ここまで来たのかもう一回言ってもらえる?」

「ですよねー、えっと魔王軍に聖騎士軍団を倒してもらうためです」

「うんそうよね、じゃあ、さっきの提案をもう一度」

「聖騎士倒したいんですけど」

「なんで?」

「えっと、その、今更なんですけど、俺の都合で戦争起こすのはちょっと駄目かなって」

「死ぬ覚悟はできてるかしら?」

「待て待て!! 俺がおかしいこと言ってるのは分かってる!! ビクテロから聞いたんだが聖騎士の連中は機械みたいなもんらしいんだ、それなら大量殺人にはならねえだろ。だから今まで使えなかった手も使えるんだって!!」

「はぁ、それでもグレーゴリがあなたを大量殺人者だと言うことは可能でしょう?」

「うん、まあだから災害に見せかけてやろうかと」

「災害、とうとう頭がおかしくなったようね。そんなことどうやって起こすって言うのかしら」

「こうやって」


 プラチナとビクテロを指差す、プラチナは金属操作で地割れでもなんでもいけるし、ビクテロに至っては歩く災害っぷりに磨きがかかってた。まあなんとかなるだろ。相手は一騎当千の化け物じゃなくて全騎凡庸の雑兵どもだから。


「あなたは何をするのかしら? ただ仲間を危険な目に合わせて悦に入るのかしら」

「俺はもちろん囮だよ、それくらいしかねえだろ?」

「あなたが傷つくと使いものにならなくなる人が居るのは分かって言っているの? それとも自分の命の価値をまだ分かっていない阿保なの」

「無傷で囮をやりきるさ、そのための策がある」

「信じられないわね、あなたがそういう顔をする時は大体酷いことになる」

「辛辣なことで……それじゃあ俺も切り札を出そうか。実は俺が聖騎士を掃討するのには隠された意味がある」


 考えろ、わずかな時間で捻り出せ。納得させられる言い訳を。


「隠された意味ねえ、何かしらそれは」

「き」

「き?」

「騎士としての箔が付く」

「箔? そんなものあったからどうなると言うの」

「箔が付いた俺を従えるユーイーはさらに上ということになる。つまりはユーイーの格が上がるんだ」

「な、なな……」


 駄目か、何を馬鹿なことを言っているんだとここで言われてしまったら俺はもうユーホからの協力を得られねえ。


「なんて主君思いの騎士になったんでしょう」


 やりいいいいい!! やっぱユーイー絡むとユーホちょろいわ!!


「とでも言うと思ったのかしらね」

「へ?」

「イー姉様の格なんてものはとうに天を突き抜けています、あなたが聖騎士を蹴散らした程度で上がるものではありません」

「くっ、侮りすぎたか」

「ですからあなたはこう言えば良いのです。麗しのユーイー様の騎士たる下僕にどうかお力をお貸しください。とね」


 ん? 復唱すればいいのか?


「……麗しのユーイー様の騎士たる下僕にどうかお力をお貸しください」

「よろしい。イー姉様の騎士からの頼みとあれば無下にはできませんね」

「良いのか?」

「ええ、あなたの苦しげな表情だけで溜飲が下がりましたから」

「ありがとうなユーホ」

「礼はイー姉様にしてください」


 今までのは茶番だったってわけか、いやそれでも良い。ユーホが動いてくれるならなんの憂いもなく作戦を実行できる。


「これでやれるぞ、無双ゲームの始まりだ。三万五千のガラクタを積み上げてやらあ」


 さて、最初にやることは。


「囮としての位置を決めなきゃな、せっかくだからオリハル狐の山にでも登っておいてやろうか」


 山目掛けて走ってくるならどうとでもできる、土砂崩れなりなんなりで一掃もいける。


「サー・レヒト、良い知らせと悪い知らせがある。どっちから聞きたい」

「いきなりだな、とりあえず良い知らせから」

「三万五千の兵と戦う必要はなくなったみたいだぞ」

「どういうことだ」

「そっちが悪い知らせだ、今巨人と言って差し支えないサイズの鎧がこちらに向かって進軍している。その数およそ三十五」

「えっと、え? 巨大兵士三十五で三万五千人分ってことか? あと早くない? 巻きで来たの?」

「分からない、だが、あれをただの兵士がどうこうできるとは思えない。今、ここでやらなければ終わりだ。オレ達のいた場所が順番に破壊されていくだけになる」

「そうやって逃げ場を潰すってことかよ、本当性格悪いなあいつ。倒せそうか?」

「それも分からない、あんなの初めて見る」

「ユーホ、みんなを連れてこられるか。総力戦になるぞ」

「っ!? 無理みたい。よく分からないけど移動できないわ」

「逃げまで封じて来るか、用意周到なこったな!!」


 マジで性格悪いな神の野郎、絶対デバフかけてぶん殴ってやる。


「ちくしょう、やるぞ!!」






 





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