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劇物を口に含めば他のと一緒に吐き出される

「無茶を言わないで欲しいわ、あんな動く城壁みたいなの相手にどうやってそんなダメージを与えろっていうのかしらね」

「ダメージはなくても衝撃を与えて吐き出させるのならいけるだろたぶん」

「それじゃあ試してみましょうか、風の塊よ」


 強烈な上昇気流のようなものがダッキの腹に直撃する、よしよしこれならダッキといえどもビクテロをゲロってくれるだろ。


「グォン」

「効果なしよ」

「うーわマジか」


 びくともしねえ、というか衝撃まで通らねえとかまじで鉄壁だな。味方だったから頼もしかったが敵に回るとここまで厄介かオリハル狐。まあ厄介なのは知ってたけどさ。


「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」

「特大の咆哮、前傾姿勢、突進来るぞ。さっきのとは別の技だから気張って避けろ!!」

「あの身体でそこまで避けるのに難儀する突進というのもないと思いますが?」

「違う、ただの突進じゃねえんだ。土の槍が降るんだよ」

「は? 何を」

「良いから避けろ!!」


 一瞬の溜めの後に一気に加速、確かに図体から考えると驚くほど速いが飛んでるユーホをたたき落とせるほどじゃない。問題はその後なんだ。


「で? 土の槍がなんとか」

「コォオオオオオオン!!」

「一際高い遠吠えだ、来るぞ。対空対地連続ミサイルが」

「みさいる?」

「地面から金属の槍がびっくりするほど出てくるぞ、そしてそれが重力に従って落ちてくる。それを一発でも食らえば致命傷になりうるからな」

「そんな空間制圧魔法存在するわけ……」

「だから来てるって!?」

「くっ!?」


 いやー、ゲームで見たときからえげつねえ魔法だと思ってたけど実際に感じるともう何をどう避ければ良いか分からないレベルの弾幕と化してるなこりゃ。ゲームのジャンルが変わっちまうぞ、RPGから弾幕シューティングゲームに。


「はぁああああああ!!? なんですかこれ!!」

「さっき言ったろ、それと悪い知らせをもう一つ。この中でも普通にダッキは動くから」

「え?」


 本当にやばいのはこれなんだよな。なんでこんな回避に専念するべき状況で相手が普通に攻撃してくるのか。鬼畜すぎてびっくりするぜまったく。一応攻撃パターンはそこまで多くなかったし避けれるような攻撃しかしてこないんだが。


「でもそれはこっちじゃ通用しないんだよな」

「グォン!!」

「なんでそんなに暢気なんですかね!! 何かサポートとかできないんですか!!」

「うーん、ダッキに有効打を与える攻撃は現状存在しないんだよな。それに下手に呪いを破壊されると俺が死ぬ。だから頑張れユーホ」

「この役立たず!!」


 いやー、普通にたたき落としに来てるな。自分の攻撃でも全然効かないっていうのは自爆攻撃がノーダメージってことだからそりゃあ攻撃に参加してくるよなあ。


「あっ」

「うん?」


 なんか身体が、ふわっと浮いてるような気がしてるんだけど。まさかとは思うが俺って今空中に投げ出される? まさかまさか。


「ちょっ、手、つかんで!!」

「うえええええ!? どこに手があるんだ!?」


 駄目だ、手がどこにあるかまでは分からねえ。どこに手を伸ばせば良いかは、今の俺には分からない。クソが……


「グォオオオオオオオ」

「ユーホ、後は頼んだ」


 あーあ、俺も喰われるのか。まあでもユーホならなんとかできるだろ。あいつは優秀だし、魔法も強いしな。ちょっと待てば大丈夫だろ。


「グォン」


 うわ、なんか湿ってるな口の中。そりゃそうか。しかしこのまま胃袋に直行するのはなんか嫌だなあ。胃液でデロデロになって出てくるはめになるぞ。


「グォオオオオオオ!?」


 なんだなんだ、すげえ悲鳴だな。なんでそんなに苦しんでんだ。お前に効く攻撃なんてほとんど存在しないだろうに。


「(なんだ、今妾は何を口に入れた、何を、している、何を討ち滅ぼそうとしている、妾は、なにを)」


 うわ、なんかすげえ声が聞こえる。これはプラチナの声だから。別に意識ゼロで動いてるわけじゃないんだな。それならもうすぐでこの状態も終わりを告げると見た。それなら悲観することもねえな、もう少しだけユーホが時間稼いで終わりだ。


「グォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!?」


 喉裂けるんじゃねえのこれ、いくらなんでも叫びすぎだろ。


「(ああああああああああああああああああああああ!!? ご主人様を喰ろうてしまったのか!? 嘘じゃ嘘じゃ嘘じゃ!! 失いとうない、もう嫌じゃ、ただの獣になるのは嫌じゃあああああ、もうあんな思いはしたくない、もう呼んでもらえないのは嫌じゃああああ!!)」


 いや悲鳴というよりは慟哭だな、なんかめっちゃ揺れてるから暴れまくってるのが分かる。流石にこれを長引かせるのは可哀想だな。内部からの攻撃に弱いっていう巨大系のお約束に従ってくれてれば良いが。


「一時的に行動不能になってくれれば良いが」


 密着しているのを良いことに呪いを垂れ流す、形にすれば物体として振る舞う呪いではあるがそのまま呪いとして使うのは初めてかもな。たぶんそれぞれのイメージで効果の違う呪いが出るんだろう。使うのはティーアの呪いが良い。確か一回プラチナを無力化してたしな。


「もう終わりにしようぜ、殺生石もそろそろ落ち着くだろ。ん?」


 なんか、ゴゴゴっていう音がしているんだが。嫌な予感がする。


「うおおおおおお!? なんだああああああ!? あ、サー・レヒト」

「ビクテロ!?」


 何かに押し流されるようにビクテロが奥の方から出てきやがった、てことはこれってもしかして。


「そういうことだよなぁ、まあ出れるなら良しとするか」


 










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