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我が名は黄金の勝利、だけどオレは

「あれ……生きてる」

「死なせねえよ、お前は俺の仲間だからな」


 悪寒がひどい、おそらくスキルツリーを失った影響だろうな。俺の核になってる呪いをごっそり失ったのと同じだ。だが、絶対に顔には出すな。不適に笑ってお帰りと言うんだよ。


「お帰り、ビクテロ」

「た、ただいま。サー・レヒト」


 困惑してるのが伝わってくるぜ、さぞ意味が分からないって顔をしているんだろうな。くくっ、それを見てやれないのが残念だ。


「はぁ、あなたが何をしても驚かない気でいたけれど死者蘇生はもう神の領域。いつのまにそんなに偉くなったのかしらね」

「コン(流石ですご主人様!!)」

「サー・レヒト、オレは確かに致命傷を負っていた筈だ。だが何故今生きている」


 激痛が走る、声を出しそうになったがなんとか堪えた。大丈夫だ、ビクテロを救えたんだからこの程度は何の問題でもない。


「ふふふふ、実は俺はネクロマンサーなのさ!! 呪いの力で死者を操ることができるようになったんだなこれが」

「嘘をつかないでほしいわ、私が、ネクロマンシーなんていう魔法の発動を見過ごすとでも?」


 くっ、魔法の専門家はこれだから!! 誤魔化すにも一苦労じゃねえか。


「嘘をつくならこっちも考えがあるわ、黙っておこうかと思ったけど気が変わった。あなた自分の生命力分け与えたでしょ、明かに弱ってるのよ今のあなた」


 分かってんなら聞くなや!! そんなこと言ったらビクテロが罪悪感に苛まれるだろうが!! こいつ結構そういうとこ気にすんだぞ。


「サー・レヒト、それは本当か。オレの中にある力がそうなのか」


 力? ただ蘇生しただけじゃないのか? えっと、確か一本目のスキルツリーだから【聖水】【アドラメレク】【エロヒム】そして【金剛】か。もし何か力になるとしたら【金剛】だと思うが。


「遠い記憶の中で覚えがあるような……妙に馴染むような感じがするんだ」


 そりゃそうだろうよ、製作者の力なんだからな。もしかしてなんか技増えたりしたのか? パワーアップまでしたなら御の字だが。


「これなら重十字を失った今でもサー・レヒトの力になれるかもしれない」

「それは是非ともお願いしたい。あ、呼び方はサー・ビクテロの方が良いか」

「いや、ただのビクテロで良い。その方がしっくり来る。いまさらビクトリアと呼ばれるのも座りが悪いし敬語じゃない方がオレもやりやすいんだ」

「そうか、じゃあそうする。ビクテロ、これからよろしくな」

「ああ、盟友の力になろう」

「で、だ。早速だが頼みがある」

「なんだサー・レヒト。なんでもやってみせようじゃないか」

「シルバータンカーに乗せてあの山まで連れてってくれ」

「……承知した」


 ごめんなー、再開したすぐに足の代わりにして。本当なら俺もなんか重大な使命的なやつをお前に頼みたいところなんだが今はプラチナの殺生石を見つけるターンなんだよ。


「げひひーん!!」

「やっぱり速いなUMAは!!」


 風を切る感覚だけで分かる、これならすぐに山の麓まで行けるな。


「なん、で、私は走りなんですか!! 姫を乗せるのが騎士の役割でしょう!! 馬に乗ってるのが男二人なんておかしいとは思いませんか!!」

「えー、強化魔法かけたらUMAについて来られるお姫様はもうお姫様と呼べるのかどうか。そしてビクテロは女だ」


 ちなみにプラチナは俺の肩に乗っております。なので実質歩きなのはユーホだけだ。確かに絵面はひどいがこれが一番効率的なんだよ。


「というわけでもうちょっと走ってくれ、つーか飛んだら良いんじゃね? 飛ぶくらいできるだろ」

「飛行魔法なんて使うくらいだったらこのまま走った方が十倍燃費が良いのよ」

「飛ぶって大変なんだなあ」


 翼が生えかけたこともあったが、空を飛べることの有利性は確かにあると思う。燃費を気にしなければという注意書きが入るようだが。


「コン(ご主人様止まってください)」

「ビクテロ、止まってくれ。プラチナが何かを感じ取った」

「分かった」


 まだ山にはついていないが、何かがあったんだろう。敵じゃなければ良いけどな。


「コォオオオオオオオン!!」


 遠吠え? 特に意味は込められてないようだが一体何をするつもりなんだ。あれか、プラチナはなかまをよんだ。みたいな行動なのか。


「コンコン(来ます、少しだけ構えてください)」

「なんか来るみたいだぞ、警戒だ」


 プラチナが呼び出したってことはなんだ、何が来る。ミミズやモグラなら可愛いもんだが、なんか主的なあれじゃねえよなあ。


「ゴォオオオオオオオオオン!!!!!」

「いやいやいや嘘だろ」


 馬鹿でかいオリハル狐か!? ダッキよりでかいぞこんなの、見たことねえ上に意思疎通ができるのかも怪しい。


「コンコン(かかさまです)」

「え? かかさまって鉱脈そのものじゃねえの」

「コン(鉱脈そのものが魔物化しているのです)」

「まーじーかー」


 スケールでけー、敵じゃねえよな、デカすぎて戦い方すら分からん。


「コンコン(ここで許しを得て初めてかかさまを削ることができます)」

「な、なるほど? 皆手を出すなよ、プラチナが話をするらしいからな」


 穏便に終わってくれと願うのみだ。







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