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大軍には大軍をぶつけんだよ

「夢で神の誘いを断ったので三万五千の軍勢が五日後に来ます」

「冗談、ではないですわよね。グレーゴリの聖騎士三万五千なんで国相手の兵力ですのに」

「イー姉様、罠で一網打尽にすればいいのです」

「実はそれをやると俺は本格的に世界の敵認定されるっていう罠が先に張ってある事に気付いてくれ」

「どうせあなたはもう後戻りできないのですからそれくらい許容したらどうですか?」

「おいおいおいこのお姫様物騒だよ。知ってたけど」


 とまあ、おふざけはこれくらいにして。ようやく全員集まったんだから作戦会議はさっさと進めよう。時間が惜しい状況は何一つ変っちゃいねえんだからな。


「大量殺戮はしたくないうえにミスったら囲まれて即死するわけだ。それで俺に考えがあるから聞いてくれるか?」

「別の国とぶつけるのが定石でありますな」

「魔王軍とぶつけ……」


 なんで先に言っちゃうかなシラヌイ、そういうところだぞ!!


「あ、うん。そういうこと。今の魔王との話をつけてちょっとグレーゴリと戦ってもらおうかと」

「レヒト君簡単に言うけどどうやって魔王と話をつけるの? まさか居場所知ってるわけじゃないでしょ」

「ん? 知ってるぞ」

「はは、旦那様が何をしてももう驚かないさ」


 なんでそんな死んだ目でこっち見てんだ、魔王なんてラストステージから動かねえんだからすぐに会おうと思えば会えるんだよ。ユーホに移動させてもらえば一発だ。


「ご主人様、それにはあてもついていって良いですか」

「もちろん良いぞ、でもなんでだ。魔王に用でもあるのか?」

「忘れ物をとりにいこうかと思って」

「忘れ物? 魔王城に?」

「はい、かかさまの殺生石があるんです」

「今なんて?」

「かかさまの殺生石を取りにいきたいんです」


 殺生石? そんなアイテム魔王城の宝物庫にもなかったが、この世界にはそんなものがあるのか?


「わ、分かった。魔王に聞いてみよう」

「こんっ! ありがとうございます!!」


 プラチナが嬉しそうだからまあいっか。


「先ほどから魔王と話す事が前提ですが、普通に殺されると思いますが? 基本的に魔の者は人間の敵です」

「ああそれなら大丈夫、今の魔王は戦えないから」

「何を馬鹿なことを、魔王が戦えないわけ……」

「いや実際そうなんだよ、見てもらえば一発で分かると思うけど頭脳労働専門の魔王なんだなこれが」


 だからアームズが本編最強とか言われるわけでな、でも待てよ。俺の知ってる魔王は確か旅立ちの日の一年前に魔王になっていたはず。となるとまだ魔王になっていない可能性があるぞ。


「まあ、会えば分かるだろ」


 このイレギュラーだらけの世界で予測を立てても無駄だ無駄、行動あるのみ。やってみて上手くいったらそのまま続行、駄目なら方向修正くらいで丁度良いと最近思い始めた。


「てことで時間がない、俺も修行もしたかったが仕方ないのでもう行く。場所は俺が指示するから飛んでくれ」

「はぁ……禁忌を一度破るも二度破るも一緒です。それでイー姉様の危険が減るならやりましょう」


 とりあえず話以外をする気はないから他の奴らは修行続行だな、護衛はプラチナとユーホがいるからなんとかなるだろう。


「とりあえず他の奴らは修行続行、4日後には絶対戻ってくるから心配するな。じゃあ行くぞ」

「はいはい」


 ユーホの手を取る、なんかすげえ視線くらってる気がするけど気にしないことにする。


「行くぞ魔王城」


 さっきまでいた五獣の塔とは全く違う光景になっているんだろうが、風の流れとか匂いとかでしか判断できねえな。たぶん移動は完了したと思うが。


「く、くく、曲者だー!!」

「お、この声はブレインだな。まさか魔王の目の前に来るなんてツイてるな」


 さっさと話をしようじゃないか、それでグレーゴリを潰すんだ。こいつは自分の周りに護衛を置かない、自分を守るくらいなら他の仕事をしろと言うからだ。だから今の状況は非常に都合がいい。


「ぼ、僕は城の兵士だぞ!! 魔王様は今はいない!! その隙を狙ってきたんだな!!」


 え? ブレインが兵士? 戦闘力はスライムくらいのレベルしかないのに? それはいくらなんでも無理があるだろう。


「うるさいですね、黙りなさい」

「んぐっ、むぐぐぐ!?」


 魔法で無理やり口塞ぎやがったな、少々手荒だが騒がれ続けるよりマシか。


「良いかブレイン、お前が王になるんだ。お前じゃなきゃ勝てないんだよ」

「んんっ!? んんっ!?」


 何言ってんのか分かんね、プラチナのやつは分かるんだけどな。でも言ってることはマジだ、戦闘は雑魚でもこいつの頭脳はガチ中のガチだ。「〇〇の野望シリーズに出るべきだった」「孔明の生まれ変わり」「ミニゲームのボードゲームで勝利報告が出るまで1年かかった最弱にして最強の魔王」とかなんとか色々伝説を残してんだよ。


「んぐぐ!!」

「駄目だ、やっぱり何言ってるか分からん。ユーホ、口開けさせてやってくれ」

「仕方ないですね」

「僕が王様になんてなれるわけないじゃないか、今から始まる戦いにエントリーもしてないのに!!」

「エントリー?」

「次の魔王を決める戦いがあるんだよ!!」


 え? 魔王ってそんな感じで決まんの? 魔界一武闘会なの? 血筋の世襲制だと勝手に思ってたわ。


「よし、それじゃあお前を優勝させてやる。どうせなら圧勝して最強のカリスマ魔王になろうぜ」


 魔王軍の幹部どもの弱点なら全部知ってからな、それを突けばどうとでもなる。








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