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絶望の起床、されど賽は投げられ喇叭は鳴った

「あー……まずいな」

「どうしたの?」

「時間がない、今すぐ他の奴ら集めてくれ」


 今何をしているのかは知らないがとりあえずは指示を出して、情報を共有するのが最優先だ。寝ちまったもんはどうしようもない。時間は巻き戻せないからな、最善が過ぎ去ったからには次善をできるだけ早く効率的にやるしかねえ。


「今はちょっと……」

「なんでだ? 他の奴らも寝過ごしてるわけじゃないだろうに」

「う~ん、実はトモエおばあちゃんが鍛えてくれてるんだけど。その真っ最中だから今すぐっていうのは無理だと思うな」

「鍛えるって、いったい何をしてるんだ」

「見た方が早いと思うな」


 トモエのマンツーマン指導を受けているわけでもないだろうに、今すぐ集まれないくらいのキツいことでもしてるのか? いやここは多分五獣の塔の中だろ、それならかなり無茶なことができるはずだ。死にかけるまでの無茶は流石にしてねえとは思うんだが。


「ほらほら足下がお留守や」

「コンッ!?」

「そっちの魔法ももう撃てんよ?」

「なんで発動前の魔法を斬られるんですか!?」

「ユーちゃん落ち着いて、構築よりも早さと手数を優先させた方が良さそうですわ」

「味方の能力を下げる舞なんて意味がないのは分かったかえ?」

「不覚、手前は集団戦は不慣れ。舞が使えぬとは……」


 ニケとティーアがいないとはいえあいつら相手にあそこまで余裕で戦えるのかよ。若返る必要なかっただろあのハッスルばあさん。


「なんか言うたぁ?」

「なんでもないです!!」


 瞬間移動染みた移動をするんじゃねえ、なんで俺の心の声に反応していきなり後ろに移動できるんだよ。全然現役じゃねえか。


「お仲間に用があるようやねえ、じゃあ早めに終わらせるさかい。少し待っててなぁ」

「終わらせる……?」


 終わりってなんだ、今から全員のして終わりにするってのか。


「じゃあ、ここからちょっと本気でやるわあ。じゃあ皆まとめて出ておいで」


 うわあ……五獣呼び出しやがった、これはえげつねえ。対処なんかできたもんじゃねえよこんなの、あっという間に蹂躙されてんじゃねえか。無理無理、こんなのどうにもなりゃしねえよ。それこそニケぐらいしか対応できねえだろ。


「ティーアはなんで参加してないんだ?」

「一人はレヒト君についていようって皆で決めたんだ。もしかしたら知らない間にいなくなっちゃうかもしれないから」

「そんなに俺ってすぐにいなくなるイメージか」

「だってそうでしょ」


 うんまあ、否定できないけどさ。確かにほぼ全部いきなり目の前から消えてたような気がするし、そういう風に思われても仕方ないか。


「今回はそんなことないから安心してくれ、ちょっとやんなきゃならないことがあるんだ」

「うん、分かってる。でもできれば今だけは少しだけゆっくりしててくれないかな」

「今だけ、か」

「うん、皆が戻ってくるまでは私だけのレヒト君で居て」


 なんか湿っぽい感じ出してきたな、そんなこと言わんでも最終的には村に戻ることになるんだから別に確認するまでもないだろうに。それでもまあ、二人だけで居る時間なんて料理を魔改造してたとき以来か。ああ、久しぶりにティーアの作った料理が食いてえなあ。毒耐性ありきじゃねえと食えねえがあれほど美味いもんを俺は知らねえ。


「ティーア、久しぶりに飯作ってくれねえか。お前の飯が食えたら俺はどこからでも帰ってこれる」

「本当……? ちゃんと帰って来てくれるの?」

「当たり前だろ? 帰る場所なんて一個しかないと思ってるぜ」


 まあ、問題は今の身体で味を感じることができるのかどうか。それと消化もできないだろうからデバフ飯がちゃんと機能するのかってところだな。食いましたけど特に意味はないですっていうのが一番困る。現状でもティーアの飯を超えるデバフはない。


「うん、作るよ。楽しみにしててね」

「今じゃなくて良いからな、奴らの修行も終わったみたいだ」


 みんなグッタリしてやがるな、そりゃそうだ。あんなのどうにもできん。トモエにボコられてそれから五獣にフルボッコにされるのが修行のワンセットなのか。これキツいとかそういう次元じゃないぞ、野菜の星の宇宙人もびっくりのスパルタ方式じゃねえか。


「ティーアは分かったんだがニケはいったいどうしたんだ?」

「むう、今は他の子の話はしないで欲しいな。でも教えるよ、ニケちゃんは今からだよ」

「今から?」

「そう、ニケちゃんは一対一でやってるの」

「あいつは頭三つくらい抜けてるからな、それくらいになるのか」

「……ニケちゃんの方が頼りになる?」


 あ、これはあれですわ。拗ねですわ、他の女の話をしたあげく褒めたから拗ねていらっしゃいますわ。これはフォローしないとあとあと響いてくるぞう。


「そんなことない、役割が違うんだ。ティーアにできてニケにできないこともあれば逆もある、どっちが頼りになるとかじゃねえんだ。誰が欠けても俺は困る」

「はぐらかされた……」


 あ、ばれた。


「でも……それで良い。今は」


 あちゃあ、なんか後で一悶着あるか?




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