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紅羽妖録  作者: みお。
第1章
6/15

第5話 オオカミ少年

今日中にもう1話投稿予定です。

 自室の扉を開けると、そこにはクロではなく上半身裸の男の子がいた。

 窓から外に出ようとしていたのか、こちら側に背を向けて窓枠に手をかけている。

 「あ、やべぇ」なんて思っていそうな引きつった顔をしている相手と、全く予想していなかった展開にその場で固まる私。

 凍りついた空気の中で、最初に反応したのは私だった。


 「……き、」

 「ちょっ、待て!話せば分かる!」

 「きゃあああああああああああああ!!!!」

 「ぐほぉっ!!?」


 クロのために用意していた、干し芋の入った皿とお椀が載ったお盆を思いっきり投げつける。

 投げたお盆は相手の顔に見事命中。怯んでいる隙に、いつも扉の近くに立てかけてある木刀を手にとって構える。

 室内で扱うことを想定して作られているため、竹刀程のリーチがないのが不安だが、そんな事は関係ない!


 「この卑怯者!!!まだ日も沈みきってない時間から女の子の部屋に無断で忍び込むなんて!!!」

 「いやいや、誤解だ!!俺は別に怪しいやつじゃなくてだな!?」

 「上半身裸で上がり込んでる奴が怪しくないわけないでしょうがぁ!!!」


 中段の構えから、問答無用で目の前の露出狂に全力で木刀を打ち込みに行く。

 こうなったら、喰うか喰われるか……だったら私は全力で喰う側に回ってやる!!

 変態死すべし、慈悲はない!!


 「ちょっ、馬鹿!!的確に急所を突こうとするなよ!?」

 「不法侵入者相手に手加減なんかするわけないでしょうが!!警察に突き出す前に病院送りにしてやるっ!!」

 「過剰防衛だろそれ!!?」


 くそっ、コイツ狭い室内の中をなんて器用に逃げ回るの!?ほんの1時間前、クロとのお風呂場での攻防もこんな感じだった。

 あれ?そういえばクロがいない。まさか目の前の男が何かしたんじゃーー!!


 「待て!!これを見ろ!!」


 ついに私に壁際へ追い詰められた変質者が、突然自分の右腕を見せつける。

 その腕には包帯が巻かれていた。


 「は?まさか怪我人に暴力振るうなとか、そんな甘えた事言いたいわけ?

 それともその腕一本私にくれるから見逃せって?」

 「腕一本くらいで許してくれないだろうお前は……って、そうじゃなくて!ほら、この包帯!見覚えあるんじゃないのか!?」

 「……はい?」


 見覚え?一体なんの話をしてるんだ?

 まさかこうして別のところに意識を集中させて状況の打開を狙っているんじゃあ……。

 そんな警戒を解かない私に、相手は続けて主張した。


 「これは、お前が俺に……"クロ"に巻いたものだろう!?マスキングテープのところにも、ほら!」

 「……」


 目の前の男の子が見せた包帯を確認する。

 すると、包帯を止めてあるマスキングテープのところに"クロ"と油性ペンで書かれていた。

 クロの包帯を巻き終えた後、名札感覚で記入していたのだ。

 流石に自分の字くらいは自分でわかる。これは確かに私の字だ。が……。


 「……もしそれが私がクロに巻いた包帯だったとして、あなたは結局誰なのよ?部屋にいた説明になってないじゃない」


 というか、さっき「俺に巻いた」って言ってたよね?それってどういう……。


 「……はぁ、仕方ないか」


 ポツリと呟くと同時に、男の子は突如黒い炎に包まれた!


 「!!?」


 目の前で一体何が起きたのか理解する間もなく、炎は鎮火した。そしてその場に残ったのはーー。


 「……クロ?」


 なんとも居心地悪そうに佇む、クロがいた。


ここまでありがとうございました。

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