表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢と現と異世界と?  作者: はく
5/5

第5話 一目惚れと後悔

「競争って事は遊びって事?」


俺は、恐る恐る訪ねた。カーラ達の目を見ながら…、背筋に嫌な寒気を感じながらも、思考を止める事はしなかった。


「そうだよ?お兄ちゃんは、変な事聞くね。昔は競争をしてたみたいだよ?」

カーラはニコニコと笑いながら平然とした様子で答えた。


「...でも、ね?その後に、稀に、とても美味しい血を持っている人達がいる事に気付いたの。」

「...そこからは、どちらがより美味しい血を育てるかと、どうすると美味しくなるかの研究だった...よ?」

キーラもさらりとまるで音読をするように淡々とした声で語りかける。


頭を木槌で殴られた様に目の前がクラクラする。この子達の親は、人間を何とも思っていない。


「そーだ!お兄ちゃん、一緒に僕達のお家に行こ!」カーラが名案とばかりに提案する。


「なんで!?」

俺はあまりに突然の提案に驚きすぎて、変な声で叫んでしまった。


「…賛成!」

キーラも満面の笑みを浮かべ、コクコクと首を縦に振った。


「だから、なんで!?!?」

俺がもう一度叫んだ、その時、周囲が一気に騒めき出した。


…ザワザワ…


「んー…。なんかまたいっぱいきちゃった…。」

キーラがまた少し不満気な顔を見せた。


俺でも何となく感じた。

先程よりも多い、不気味な気配。20…いや30に近い程の群れだろう。足音を鳴らして、それは俺たちを囲うように少しずつ近づいてきた。


「さっき倒したやつらの血の匂いで集まってきたのか!?」

俺は警戒しながら、逃げ道を確認するように周りをキョロキョロ見渡した。


薄暗い森の中に、黄色く光る目がいくつも見える。


「もー!せっかくいいとこだったのに!」

カーラも頬を膨らませて怒りながら、気配のする方をじっと見つめた。


「...流石に、この数だとコウキお兄さんを守りながらは...危ないかも...」キーラは冷静に現状を分析し口にしながら、

「この子達は、小さな死神ってわたし達は呼んでる、死んじゃった子達の怨念やまだ、生きてる、生命力を食べに来るんだよ」

と淡々と説明してくれた。


「小さな…死神…」

俺は不気味で背筋に寒気が走るその光る目を見つめて呟いた。冷や汗が出る。


この子達にばかり頼ってはいられないが、今の俺では、何も出来ない。


この子達を置いて自分だけ逃げることだけはしたくない。


どうする。

とにかく、俺は二人の足を引っ張らない様にどこか隠れられる場所を、と周りを再度見渡した時、二人の少女とは別の声が聞こえた。


「あー、こんな所にいたの?あまり家から離れてはダメと言ったじゃない、キーラ、カーラ」


森の中から、その人は、現れた。


紅く長い髪が風で揺れながら、少し困った顔をした女性を見て俺は、先程獣達に襲われた時よりも心臓が高く強く鳴っていた。


「.....あっ。」俺の小さくか細い声は2人の少女達の声によって消された。


「「お姉ちゃん!」」

キーラ達が同時に大声で叫ぶと、お姉ちゃんと呼ばれたその人は「はぁ…」と溜息一つ出すと、

「言い訳なら後で聞くわ。ほら、残りもお片付けして、さっさと帰るわよ?」

と話しかけた。


彼女は舞う様に現れては消え、いとも容易く次々と敵をなぎ倒して行く、「お姉ちゃんが居るなら、心配無いね!」とカーラも駆け抜けて行く。「...コウキお兄さんは私と一緒に居て。」とキーラも俺の側で、こちらに向かって来る敵を吹き飛ばしながら言った。


五分も掛からずに、全ての敵を倒し終えた。

死神達は白い靄になり、空気に溶けて消えて行った。


「終わったね!」

「...終わった」


「お兄ちゃん!さっきの話しの続きなんだねど!」とカーラがニコニコとこちらに来る。


「待って?」心臓が凍ったと錯覚する程、恐ろしい声が聞こえた。


「あ!」

「...ひ」

ひどく怯えた声で、2人は一歩下がる。


「ねぇ?私はなんて言ったか覚えてる?あまり遠くに行ってはダメと言わなかった?」

彼女は、無表情で告げる。


「ごめんなさい!!」

「...でも!?」


「言い訳も、謝罪も家に着いてから聞くことにするわ」

彼女は、バッサリと切り捨てて、こちらを見た。

「ところで、君は?」

俺は答えようとし、言葉を出そうとしたその時、身体から力が抜け、意識が無くなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ