第4話 誤解と勘違い
少女達が笑顔で答える。
俺は、率直に聞いてみることにした。
「そっか。カーラちゃんとキーラちゃんは、どうしてそんなに強いの?」
森の中にザワっと、冷たい風が吹いた気がした。
少女達は、笑顔のまま、
「吸血鬼だからじゃないかな!」と元気に答えてくれた。
「え?」
何て言った?吸血鬼?
悪ふざけか、からかっているのだろうか。
しかし、キーラ達が嘘をついてる様には見えない。
それじゃ事実なのか。
本当に夢ではないのか。
この世の中に空想かアニメでしか聞いたことのない、吸血鬼が存在するはずなんて…。
いや、ここが夢でも何でもないなら、俺は、異世界に飛ばされたのか。
「コウキお兄さん…?大丈夫?」
キーラの呼び掛けに、はっと我に返った。また考え込んでしまった。
「ご、ごめんね。大丈夫だよ。」
とは答えたものの、キーラ達の言葉が事実なら、今俺の目の前にいるのは、人の血を啜って生きる吸血鬼だ。
・・・そして俺はただの人間だ。格好のエサだ。
頭の中が混乱して、思考がまとまらない。だが、そんな時でもふと、気付いたことがあった。
「あ、えっと、傷を治してくれたのは、カーラちゃん達だよね?お礼言ってなかったね、どうもありがとう。」
人を食らう吸血鬼だとしても、傷を癒してくれたのは、彼女たちだ。
最悪俺はこの森の中で獣によって出来た傷や、出血多量で死んでたかもしれない、俺の命を救ってくれたのだ。
「どーいたしまして!」
カーラが可愛い笑顔で返事をするが、そんな彼女にキーラは、「私がやったのに…なんでカーラが返事するの…」と少し不満気な顔をした。
俺はそれを微笑ましく見ていたが、問題はまだ解決していない。
(これから、どうしようか。)
キーラ達に食べられて終わりだろうか。短い人生だった…。
「お兄さん、どこか行くの?」
とキーラが問いかけるので、俺は少し驚きながら、
「どこに行けばいいのかわからないし、どうしていいか迷ってるんだけど…。でも、キーラちゃん達は、俺を食べたりしないの?」と聞いてしまった。
キーラ達がキョトンとした顔をした、次の瞬間にはカーラは笑っていた。
「なんで今ここでお兄さんを食べなきゃいけないの?」とお腹を抑えながら、笑い転げて言った。
「...っあは!...コウキお兄さん...知らないの?、吸血鬼も...人間と同じ様に肉も魚も食べるよ」
1人は笑い疲れて泣いている、もう1人は笑いを堪えながら目に涙を、貯めていた。
「本当に!?、ごめん!勝手な印象だけで決め付けちゃった。」
「あはは!大丈夫だよ?お兄ちゃん!パパやママの時代見たいにどっちが人間の血を多く吸ったみたいな競争はもう、してないもん!」