3つの同好会3
「よう比礼!待たせたかな」
気が付いたら入り口から芹沢先輩が入って来ていた。ロッカーの中に鞄を入れて少し苦笑いしながらこちらに近づいて、彩坂さんを見下ろすたように言った。
「だいたいサイコメトリーとか霊能力とかいうやつじゃ無いのか?」
彩坂さんは居に返さず…
「あれは精神の根の跡を感知するもので霊魂とかまったく無関係よ」
「どちらにしても科学的根拠も無いし眉唾ものだね」
「芹沢…あなたは進化論は否定する派?生物の進化は止まってるの?いいえ止まってない。何らかの影響でDNNが変化して新しい生物は日々生まれている。勿論人間も。超能力者は突然変異で今までの人間に無い能力を持った進化した人間よ。能力を持ってない一般人達は、悔しいから戯れ言にしたいでしょうけど…」
「突然変異説か俺は自然淘汰説を取るけどね」
彩坂さんは何やら机の中から丸や四角の書かれたカードを取り出して先輩に見せた。
「例えば貴方達一般人はこのESPカードを裏返しにして模様を全部当てても『まぐれ』だと言うんでしょう」
「当てられるのか?全部当てたら少しは信じてやってもいいぜ」
「カードは貴方がシャッフルして」
彩坂さんが先輩にカードを手渡し、シャッフルされて机に5枚並べられた。もちろん俺には裏から見ても何の模様が書かれているか解らない。
彩坂さんは目を閉じて右手の人さし指をこめかみに当てて瞑想に更けている。
「一番右のカードは星形」
急に目を開けてカードを睨むように彩坂さんが答えた。芹沢先輩が一番右端のカードを裏返そうとしたその時・・
「待って!貴方今『どうせ手品か何かで裏から見ても解る仕組みなんだろ』って思ったでしょ」
「ああ、そうだが」
「はい。当たったわねえ。どう、これがテレバシーよ」
「おい!彩坂!カードの透視するんじゃ無かったのかよ。第一最初に『まぐれ』のキーワードを防いだら、俺みたいな完全否定派が次に考えるのは『イカサマ』ってなるのは当たり前だろ。これは、超能力では無く俺達心理研の分野だ」
「違うわ。これもテレパシーの初歩段階よ。だいたい私の得意能力はテレパシーやクリアボヤンスじゃ無いけどね」
彩坂さんは勝ち誇りながら右端のカードを巡ると、波形の模様だった。カードの透視は1枚目から外れていた。
そのまま立ち上がり、胸のベンダントを握りながら扉の方へ歩いていく。
「今に見ていて、私の能力はこんな子供だましじゃ無い。完全開花した時、世界は駑愕する」
そう言いながら部室を出て行った。