3つの同好会2
「へっ?あれ、ここ...『心理学研究会』の部室じゃ無いんですか?」
俺は慌てて回りを見渡した。彩坂さんの後ろのロッカーの中には『工スパー入門』と書かれた本が有るのに今気付いた。
「有ってるわよ。ここは『心理学研究会』『超能力研究会』『神秘学研究会』の三つの同好会の共同部室よ」
「しまった!ごめんなさい。俺、間違えました。実は芹沢先輩の紹介で心理学研究会に入る予定でして...」
「なら掛け持ちでも良いわよ。1日置きに代わりましょう」
「いや、バイトも有るしそれは...でも何で共同なんですか?」
「部員も少ない同好会だし、変な物どうし一緒にされたのかもね。顧問も三っつとも一緒だから」
彩坂さんはいかにも不満そうに肩を竦めた。
「あっ...顧問の先生一緒なんですか」
「そう。だからとりあえず掛け持ちして後から『超能力研究会』一本にすればいいわ。顧問川元だから大丈夫よ」
「いや、そういうわけには」
「嫌なの?私と一緒に活動するの駄目?」
だからそんな目で見られても...可愛い。
嫌なわけ無い。是非お願いしたい。
しかも他に部員居ないということは、ずっと二人でテレパシーとか透視能力の研究とか...だめた不純なイメージしか湧かない。そんなに美味しい話なんて有るわけない罠だ。
「あの...所で『神秘学研究会』ってなんですか?」
とりあえず話題変えて誤魔化そう。
「ああ、ようはオカルト研究会よ。学校側がオカルトは印象悪いので『神秘学研究会』に変えたみたい」
壁のホワイトボードをよく見ると幾何学模様の魔法陣が描かれており、壁に張られた紙には何か不気味な絵や西洋文字、御札みたいなのも張られていた。
「『秘研』も前から3年生の山田さんしか居ないから廃部寸前何だけど、山田さん自身滅多にこの部室に来ない…と言うか学校にも来ない人だからもう無いに等しい同好会なんだけどね」
「学校にも来ないんですか?」
「そう。いっつもフードパーカーを目深に被ってるから顔もよく見えないし、まともに会話してるとこも聞いたことがないわ。謎が多すぎて、皆本当に存在する人物なのかも怪しいって言ってるの。この学園の有名人だから、君もこれから色々不思議な噂聞くと思うわ」
「その人自体オカルトなんですね。でも部員少ないなら超能力も神秘的だし、ひとつの同好会にしても良かったんじゃないんですか?」
「ちょっと!超能力とオカルトを一緒にしないでくれる。私は魔法だの心霊だの信じてないんだから。超能力は突然変異で能力を授かるだけで、あんな不気味な...」
「俺からみたらどちらも超自然の非科学的なものだけどな」
「芹沢先輩!」