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メモリーロブシスター  作者: =563=
2/16

記憶泥棒1

人混みに入ると自分のパーソナルスペースがものすごく狭いことに嫌って程わからされる。

市営地下鉄の揺れは然程でもないが、身を縮めていても必ず見ず知らずの人と体が触れてしまい、それだけで嫌悪感が走ってストレスのバロメーターを進めて行く。

自宅から学園まで僅か五駅だが、ラッシュ時の通学は1時限授業を受けるより遥かに長く感じてしまうのは何故だろう。

新学園によりワクワクモード全開の筈が、この寒くも無いのに強制される押しくら饅頭のおかげでモチベ維持がままならない。


「やっぱり自転車通学にした方がいいかな・・・」


駅の階段を上りながら自分に問いかけたが応えは無い。


押しくら地獄から解放され、地上に出ると交差点を挟んですぐ学園が見えてくる。

校舎はお世辞にも綺麗ではない。改築の話が進んでいる噂は聞いたが、工事をするにせよ完成は自分が卒業してからだろう。比較的近いにもかかわらず中学の時の友人達が選ばなかった理由はそれである。

あと進学校でも無く、卒業後は就職希望の自分には構わないが、友人達は皆進学希望だから誰も来ないのは仕方ない。

まぁ特に親友と呼べる奴も居ないし、〝近い〟〝安い〟が絶対条件の俺は、中学の友人達とは離れて新たな友人をこの学園で作っていくつもりでは有る。出来れば初彼女も。

この学園を望んだのはホームページの萌えキャラに惹かれたアイツだけど、自分も異論は無かった。


「バレー部に入りませんかー」


同じ制服を着た男女数人が、朝から校門前で新入生を勧誘している。

入学してから1週間。今日からバイトと部活を探そうと思っているがバレーボールには縁は無いだろう。

予想通りバレー部には完全無視されて、何のクラブにするか考えながら校門を抜けて校舎に入ろうとした時・・


「ストッープ♪♪♪♪♪♪」


頭の中で大声が響いた。いや正確には人には聞こえないし声ではなく、思考なのか幻聴なのか実はよく分かっていない。


「何だよびっくりするだろ」

「何だじゃないでしょ♪後ろ見て下さいよ♪ホラッ♪ホラッ♪」


振り返ると先ほどのバレー部の人達が変わらず勧誘をしている。回りに知ってる生徒も居ないので、何を指してるのか解らない。


「何?バレー部に入りたいの?バイトの時間も必要だから文化系にしようよ。バレーボールなんて興味有ったか?」

「違いますよ」その上♪、上♪」

「上?」


バレー部の人達がいるその上を見ると桜の花が咲いている。視界には入ってたけど意識はしてなかった。


「桜さんが花びら沢山散らしてメッチャメッチャ綺麗じゃないですか♪なぜ無視して行くのですか?ホラッ♪下見て下さい♪ピンクの絨毯が出来てる~♪」

「ごめん。興味ない」

「あとどれ位の期間咲いてるのですかね?まだ1週間は見たいな~♪」

「ごめん。興味ない」

「あ一何で教室から見えないんだろ~♪ちょっと花びら拾って教室持って行きません?」

「ごめん。聞いてるかな?興味ないって」

「そういえば昨日のお店は学校の近くに有るそうですが見ましたか?早く見たいです♪放課後待ち遠しいな~♪」

「ごめん。急に話変わって内容掴めないけど今日はバイト探しに行くから無理」

「何言ってるんですか?昨日ノブくんが話してたバイト先の話ですよ♪さっきバイトと部活を探すって思ってたじゃないですか♪」

「あっ… 話戻ってたのね。ずっと脱線したままだと思ってた」

「あと部活は決まってるから探さなくていいですよ♪明日漫画部に入部届け出して来ますから♪」

「その話はもう一度今夜一緒に話合わないか?。俺達同じ人間だろ。俺達の体はこの地球上にたった一つしか無いんだから早まっちゃいけないぞ」

「なんか言い回し変ですが分かりました♪でも、らちが明かない気もするんですが♪」

「そうだな~こんな時ジャンケンができないのは辛いな」

「では次校門から入ってくる人が、男の人か女の人かで決めませんか?」

「それいいな。じゃあ俺は男」

「では私は女の人でいいです♪」


校門に目線を向け、独りギャンブルが始まる。

桜の花びら舞う中に現れたのは…_

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