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国際人工島 学園都市サントル  作者: あかねこ
二章 一学期
8/12

8 入学式

ボクは今、ルームメイトの立花(たちばな) 梨里奈(りりな)と一緒に朝食を摂っている。

ボクは、トーストを食べていて、梨里奈は、チョコクロワッサンをお皿に山ほど盛っている。


「ね、ねえ梨里奈。」


「もぐもぐ......ふぁに(なに)?」


「その、朝ご飯にその量のチョコクロワッサンは......」


ふんふぉうふるはら(運動するから)、ごくん、いいの!」


「そ、そうなの?あ、あははは。」



結局、梨里奈は山ほどあったチョコクロワッサンをボクがトーストを一枚食べると同時に食べ終わった。

ボクってご飯食べるの遅いのかなあ。あ、でもみんなボクと遜色ないペースっぽいからいいよね。きっと梨里奈が食べるのが異常に早いからなんだ、うん。


朝食後は、一旦部屋に戻ってこのアンブレーム学園の白を基調とした制服を着て寮から渡り廊下で繋がっている校舎へと向かった。渡り廊下には、始まりと終わりのところに強化ガラス?で、出来たドアがあって本来はそこで今日貰う認証カードをかざしてから開けるそうなんだけど、ボクたちはまだ認証カードを貰っていないから教師陣が監視をしている。なんでこんなに厳重かと言うと、校内には幾つもある機密情報や未発表の最新型アトラスを盗られない様にするるためであるそうな。

あまりに頑丈な警備に少し緊張しながら渡り廊下を通った。


「ねえ、あの娘じゃない?最新型の第五世代カイゼリン・アトラスを専用機(オリジナル)にしているパイロットって。」


「あ!あの娘が首にかけてるネックレスのマークって『凍華』のだよね。」


「あの拒絶反応の威力が途轍もない『凍華』をよく触れたわね。あんなにか弱そうな少女がチャレンジしたなんて......」


渡り廊下を出ると三年生の先輩がボクの事を話していた。え、凍華ってそんなにすごいの?

なんだか、首にかけた小型化した『凍華』が少し誇らしげに光を反射した様に見えた。

この学園は学年ごとに制服のリボンの色が異なっていて、一年は黄色二年は青三年は赤と決まっている。


そんな感じを数回繰り返しながらもなんとか入学式の会場である学有アリーナに足を運んだ。

入り口に張り出されていたクラス表には、1-Aから1-Gまでに生徒が分けられていた。最初のクラス分けは適当だが、今後は一月ごとに開催される『公式学園内序列決定トーナメント』の成績によって順位が高い人から1-A,1-Bとなっている。

1-Aに春夏冬(あきなし) 愛留(あいる)の名前があってその少し下に(かなどめ) 大樹(たいき) さらに少し下に立花(たちばな) 梨里奈(りりな)の名前があった。

よかった。知らない人ばっかりだったら怖かったから、知っている人がいて一安心だ。

ボクたちは、最後尾に1-Aと書かれたパイプ椅子で作られた列に座った。出席番号順だったので『あ』から始まるボクが一番前になってしまっている。

ボクたちが来てから数分が経過して、学園内に高らかに開始のブザーが鳴った。

このブザーの音がここは、日本ではなくどの国にも属さないこのサントルであると理解させる。一応、いろいろな国の人同士で意思疎通をするために共通言語と言うのが使われているが、ボクは、転生の際に必要な言葉を選ぶのが面倒とかでキューさんはボクの魂に全言語を与えてきた。だから、どんな言葉で話していても理解出来、話せるので周りの会話に何ら違和感を感じないが、梨里奈は、日本語と共通言語しか分からないらしく各国の人の自国語による会話に首をかしげていた。


「只今から第十七回アンブレーム学園入学式を開始いたします。」


眼鏡をかけた女の先生から開会宣言があると、会場は新入生に拍手を送ってくれた。





長かった入学式が終わったボクたちは、それぞれの教室へと入っていった。


「どうも、この1-Aの担任をします東雲(しののめ) 風音(かのん)といいます。あ、一応私は元ワールドナンバー第三位でしたのでアトラスの扱いもそこそこ出来ると思います。どうぞよろしくお願いします。」


『・・・』


東雲先生は、ボクの適正審査のときに日本に来ていた人だ。梵先生に怒られて小さくなっていた先生が、まさかの元世界第三位と言われてもなかなか理解出来ないと思う。ボクのお母さんもおっとりした感じなのに女帝(エンプレス)なんだし、ボクはなんか納得がいくんだけどなあ。


「さ、さあ。今度は、皆さんが自己紹介してくださいね。」


え、まさかボクの苦手な入学最初に味わう地獄...自己紹介だと...


「..........さん。春夏冬さん。」


「ひゃい!」


「うふふ。出席番号順だから最初は貴女からよ。」


ボクは、ボーっとしていたらしく先生が何度も呼びかけてくれていたみたいだ。

ボクは急いで立ち上がる。


「えっと。ぼ...私は、春夏冬 愛留です。えっと、これからよろしくお願いします。」


ボクは、サッと席に座った。


「春夏冬さん。終わりですか?」


「はい。」


ボクがそう言うと何人かが椅子から転げ落ちていた。


「えっと。春夏冬さんは第三回ギッフェル・カップの優勝者の春夏冬 夕さんの娘さんで。既に専用機(オリジナル)として第五世代カイゼリン・アトラスの『凍華』を持っています。」


先生がそう言って補足してくれた。


『ええー!』


生徒全員が、ボクの事を聞いて目を丸くして叫んだ。


その後もずっと自己紹介が続いた。

終了のブザーが鳴ると同時に自己紹介が終わった。

その後、認証カードを配ったりプリントを配ったりしてから解散となった。

そしたら、ボクの周囲と同じクラスになった大樹のところに人だかりが出来ていた。


「ねえ、春夏冬さんお母さんってどんな人?」「専用機ってすごいね〜。」「ねえ、『凍華』を見せてくれない?」


って感じで大勢の人からマシンガントークを同時にされた。

その時、一人の外国人っぽい金髪の女性が人垣を押しのけてやってきた。


「わたくしはイギリスの主席代表生のエフィー・ブルームフィールドですわ。第四世代カイゼリン・アトラス 『フェンリル』を持っていますわ。」


「え、えっと。どうかなさったのですか?」


「わたくしと勝負なさってくださいな。」


『は?』


クラス全員が同じ反応だった。


「なんでですか?」


「わたくしが、一年生の中で最強であると示すためですわ。」


「そ、そうですか。......分かりました。」


ボクは、受ける気はなかったけれど。せっかく『凍華』の運用が出来るのならば、早くやって慣れておきたいから受けたのだ。


「では、アリーナに行きましょう。」


「ええ。」


ボクは、初めてのアトラスの戦闘ができることにロボットマニアだった前世の血が疼いた。『凍華』も、戦いが出来る事にわくわくしているかの様に光を反射した。

読んでいただきありがとうございました。

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