5 国際人工島 学園都市サントル
*サブタイトル変更しました。
国際人口島 学園都市サントル→国際人工島 学園都市サントル
ボクは、白のワンピースを着て透き通った六角形の中にピンクで桜の花びらの柄が入ったネックレスをしている。このネックレスは、ボクのカイゼリン・アトラスである『凍華』が、小型化した様子なのだ。
ボクが、呼びかけたらそれに呼応する様に元の『凍華』に戻るのだ。スカート履かない誓いは、既に自分の中で廃止している。制服は、スカートなんだし慣れないといけない。...というのは建前で、本当は、こっちの方がしっくりくるからなのだ。うーん、体に適応してきたと喜ぶべきか悲しむべきか。
ああ、ボクがいるのは国際空港だ。此処から、ボクの入学するアンブレーム学園のある国際人口島 学園都市サントルに向かう飛行機が出るのだ。
この空港に見送りにきてくれたのはお母さんと大樹のお母さんだ。
此処には、歴史上初めての男性のアトラスのパイロットでありボクの幼馴染みの京 大樹と一緒に飛行機を待っている。
『学園都市サントル行きの○○便の搭乗準備が整いました。あと三十分で離陸いたします。』
そんなアナウンスがなった。
「もういかなきゃ。じゃあ、お母さん今度は夏の長期休暇でね。」
「そうね。寂しくなるわ。我が家の花がいなくなってしまうわ。」
「あ、あはは。じゃあね。」
ボクは、お母さんの発言に苦笑いしながら返事を返した。確かにボクは、ナルシストじゃないけどこの体は、美人だと思う。ちょっと成長遅いけど。
ボクと大樹は、お母さん達と別れて飛行機に乗った。
飛行機内には、大樹以外の男性は居らず全員が女性なのだ。
これで、ボクが男だったら夢のハーレムだって出来ただろうにボクは、何故女なんだ。
ボクと大樹が座席に着くと周囲の人たちが大樹に話しかけていた。話しかけてきた人たち以外も好奇の目を向けている。
「ねえ、何で君この飛行機に乗ってんの?サントルは、アトラスに乗れないと入れないよ。」
「え、ああ。俺は、アトラスに乗れるぜ。なんでかよく解らないけど。」
「えっ。じゃあ君が京君なの?」
「うん。」
「きゃああ。じゃあ、世界で初めて男でアトラスに乗れるっていうのは、君なの?」
「結構イケメンじゃない?」
「タイプにドストレートなんだけど。」
「あ、あはははは。」
うーん、こんな目に遭うのはごめんだなー。そう、大樹は世界初の男のアトラスのパイロットというのをどこからかそんな情報を手に入れたのか解らないが、数百人規模のマスコミやテレビ局からインタビューやら意気込みやらを言わされていた。マスコミ怖い、テレビ怖い。くわばらくわばら。
そんなこんなで、昨夜は一家全員が眠れない夜を過ごした...らしい。可哀想に。
ポーンとあのシートベルトのマーク?的なのが点灯した後も周囲の座席から好奇の目が向けられたようだ。
なんか可哀想になって声をかけた。
「座席代わろうか?」
ボクたちの座席は、非常用のドアが直ぐ後ろにある左列の一番後ろだ。だから、ボクが窓側から通路側に移ったら大樹は、多分隠れるだろうと思ったのだ。
「ああ、ありがとう。」
実際に代わってみるとボクが小さいから横からの目線は、遮れていな......
「な、何この娘めっちゃ可愛い!」
誰かが、大声で叫んだ。おいおい、公共の場はマナーを守ろうぜ。
「えっ。どの娘?」
「あそこ。さっきまで大樹君が座っていた所。」
「うわー。めっちゃ可愛い。」
うう、恥ずかしい。でも、大樹に対する視線はこれでなくなっただろう。
でも、恥ずかしさで顔真っ赤になってないだろうか。いや、なってるな。
「ねえ、あなた何歳?12?13?」
「ち、違うよ。ぼ、私は、15だよぅ。」
「ご、合法ロリ。」
「ろ、ロリ言うな。これから成長するもん。」
なんで、ロリなんだ!ボクは、15だぞ。確かに成長遅いけど、ロリじゃない!
◇
ボク達が乗った飛行機は、無事にサントルに着陸した。
今は、空港で進学する学園ごとに集まって案内を受けている。
ボクと大樹は、アンブレーム学園に進学する人達の集まりの中にいる。
案内の先生は、試験のときにいた東雲 風音先生と梵 紀代花先生だ。
今は、東雲先生がこの都市について説明している。
「この、国際人口島 学園都市サントルは、直径千キロの円形で中心にメインアリーナと呼ばれる巨大なホールがあります。されにその周囲にサブアリーナが数十個点在しています。それらを囲む様に巨大な商業区が存在しています。商業区では、服やアクセサリーはもちろん。世界中の有名店のチェーン店やさまざまなブランドの商品が置かれています。商業区のさらに外側には、五つの学園があります。各学園には、校章と呼ばれるものが刺繍されています。各学園の説明と併せて教えますね。まず、一つ目は、あなた達が入学するアンブレーム学園です。自由を重んじた学校で『自由』と『美しさ』を象徴する蝶の校章です。」
そう言って、先生は自分の胸につけた蝶の校章を見せる。
「二つ目は、聖フェアアイン学園です。この学園は、アンブレーム学園と正反対に厳格さを重んじる学園で『神聖』や『統一』を表す十字の校章です。3つ目は、スピリトアカデミー。ここは、アトラスのパイロットではなくアトラスの開発や研究、強化等を行っているところで、あまり大会には出場しません。校章は、『高い知能』と『冷酷さ』を表すハヤブサです。四つ目は、アリストクラッド・スクールです。ここは、少し特殊で校内で実力に応じた爵位を与えそれによって学園内の地位を決めるています。そのため、大会等でも傲慢な態度を取る事が多いので気をつけてください。校章は、『華麗』『優雅』『気品』を表すダリアの花です。最後にラージュ学院です。ここでは、弱肉強食を絵に描いたようなところです。弱い者は強い者の下に付き奴隷や侍女の様に扱われるようなところです、このシステムのせいで喧嘩っ早い人達が多いので極力関わらないのが良いでしょう。校章は、『残酷さ』と『勝利』を表したオオカミです。」
そう言って、手元に置いていたバインダーから目を離した。
「長話にもそろそろ飽きてきそうですし、そろそろアンブレーム学園に向かいましょう。あ、この学園の移動手段は、全額無料のモノレールとバスです。入学式で配られる認証カードに入っているいろんな機能の中にモノレールとバスは、含まれています。でも、タクシーは、有料なので注意してくださいね。それでは、モノレールに乗ってしゅっぱ〜つ。」
そう言って、東雲先生の後をボクたちは追った。ついに、学園か〜。楽しみだな〜。
あ、寮って言ってたからもしかして誰かと同じ部屋なのかな。そしたら緊張して眠れないよ〜。
読んでいただきありがとうございます。