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国際人工島 学園都市サントル  作者: あかねこ
一章 入学前
4/12

4 何故....

ボクは、東雲(しののめ) 風音(かのん)先生の後を白を基調としたカイゼリン・アトラスの凍華に乗って歩いていた。

歩くと言っても、五メートルに迫る巨大な機体なので一歩で東雲先生を追い抜きかねないので、どこかの特撮アニメの怪獣のような歩き方だった。


<最適化完了。>


<パイロット:春夏冬(あきなし) 愛留(あいる) と同期(リンク)します。>


<小型化の用意が完了しました。>


なんだか、ボクが知らない間に凍華が設定やら何やらを進めてくれていた。

アトラスってすごいな。


<初期シーケンス完了しました。>


そんなこんなで、長い通路が終わって、開けた空間に出た。

そこには、三十人程の人がいた。

どうやらボクよりも先に自分に合うアトラスを見つけてきた人たちが、此処で何かをはかられたりしている。

下から、東雲先生の声が響いてきた。


「愛留さん、今から適合率の測定に入ります。そのままそこで待っててくださいね。」


「分かりました。」


二人の白衣を着た人が何やら機械を持ってきて上から下に動かした。

そして、画面を見た二人は、目を丸くした。

もう終わったのかな、現代の技術はすごいねぇ。

そこに、東雲先生が覗きにいって二人と同様に目を丸くした。


「て、適合率94%!」


「先生、それってすごい事なんですか?」


ボクは、思わずそう聞いていた。

それを聞いた先生は、大きな溜息を吐いた後捲し立てる様にして言った。


「この第五世代のカイゼリン・アトラス 凍華 で適合率94%は、相当ですよ!いいですか、そもそも第五世代は、機体数が圧倒的に少なく元々使用者が少ないのです。もし、拒否されなくとも多くの場合は80%に届く事すらありません。例外としては、現在は、二機が90%を超えている事しか確認されていないのです、あなたは、その三機目にあたります。これは、世界の七十億人の中でたった三人にしか与えられない事なのです、第六世代は扱い易さを重視して開発される予定なので、おそらく第五世代が今後の数十年を頂点として君臨する事になるでしょう。適合率が高ければ高い程無駄がなくなってより速く正確に動く事が出来るのですから本当にすっっっっごい事なんです。だから......」


その後長い褒め言葉?お説教?が行われた。

最後には、おとりしていた先生の面影は跡形もなく消え、身振り手振りつけて熱く語る様になっていた。

どうしたらいいかボクが考えていたら東雲先生の後ろから一人の先生が現れバインダーで ばしっ、と小気味いい音を立て叩いた。


「うう......何ですか〜。」


東雲先生が頭を抑えながら叩いた相手を見上げた。

その先生の顔を見た途端青くなっていた。


「そ、(そよぎ)先生。こ、これはですね。適合率がどんなものか彼女に教えていたらですね。ちょっと熱くなってしまって...」


「そうか、ちょっとか〜。」


梵先生は、額に青筋を浮かべて笑いながら言った。


「ち、ちょっと梵先生。め、目が、目が笑ってないです。」


「お前はいつもこうだな......大体お前は......」






梵先生が東雲先生を叱る光景は、その後一時間程続いた。

その頃には、たくさんの人がこの適合率測定場所に集まっていた。


先生が先生を叱る何ともシュールな光景を皆困った顔をしてみていた。


そんな時、一人の白衣を着た女性がおそるおそるといった風にして梵先生に言った。


「あ、あの、梵さん。異常事態(イレギュラー)が発生しました。」


「なんだと。」


梵先生は、怒った顔そのままに目の前でしゅんと小さくなっている東雲先生から視線を離し白衣を着た女性に向き合う。女性は、先生の顔を見たびくっとなりながら言った。


「ひっ!分かりました。先ほど間違ってとなりの公立高校の試験会場から迷い込んだ少年がアトラスに手を触れてしまったところ、拒否反応が起こらなかったそうです。そして、その少年はアトラスを動かしていました。」


「何だと、分かった。その少年を連れて来い。」


「分かりました。」





暫くして、さっきの女性が一台のアトラスとともに戻ってきた。


「降りてきて。」


そう女性が言うと、アトラスの後方にあるハッチが開いて一人の少年が出てきた。

出てきた少年は、自分が中学校でよく見た種類の学ランだった。そして、出てきたのはなんと大樹だった。

幼馴染の(かなどめ) 大樹(たいき)その人だったのだ。


「ええーっ!」


ボクは、思わず声を上げた。

その声を聞いた大樹は、凍華を見てきた。


「まさか、愛留か?」


ボクは、凍華の大きな頭をぶんぶんと縦に振った。


梵先生が、大樹の元に向かってから言った。


「おい、お前親を呼んで来れるか?」


「は、はい。」


そう言って、先生は大樹に親を呼ぶ事を促した。





暫くして、大樹のお母さんがやってきた。なんだか困惑した顔だったが、問答無用と言わんばかりの梵先生の剣幕に圧倒されて、奥の方の部屋に大樹を連れて消えていった。


なんだか、時々ええーっ!て叫んでるけどまぁいいよね。

なんか、ちょっと嬉しそうな叫びだったし。


というか、ボク女じゃなくても大樹みたいにしたらアトラス乗れたんじゃないか?

キューさんは、なんでボクを女にしたんだろうか。


適合率検査は問題なかったみたいだから、ボクは、明日いよいよ学園都市サントルに向けて出発するのだ。

どんなことが起きるのだろうかなぁ。楽しみ〜。

読んでいただきありがとうございました。

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