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鏡の伊勢、剣の甥  作者: 讃嘆若人
第二部 陰陽干犯篇
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20.大枝王と銀王-11

「要するに、筑紫にいる大和建の子供の面倒を見るために、大枝王を筑紫に派遣してほしいということかね?」

 大帯彦が稲日姫と迦具漏(かぐろ)姫に確認した。

「ええ、私も孫が可愛いので。大枝王様だと安心です。」

 稲日姫がそういうと迦具漏姫も続けた。

「私自身が九州の王女でしたから、息子が行くと何かと便宜を図れるかもしれませんし。」

「そうか・・・・。」

 大和建の正妻・両道入姫(ふたじいりひめ)は大帯彦とはかなり年の離れた異母妹だが、彼女は大和建との間に生まれた子供を連れて筑紫に人質に取られている。

 大帯彦としても息子の正妻で自分の異母妹である両道入姫とその子供を何とかしてやりたい、という思いはあった。

「わかった。前向きに考えたい。」

「よろしくお願いしますね。」

 稲日姫は若干口調を強めながら微笑んで念を押した。




「やっぱり、武内宿禰様のことが好きなのでしょうか?」

 下女が聞いてくる。

「そりゃ、好きに決まっているでしょ!大好きよ!」

「・・・・大枝王様よりも?」

「ええ!」

 銀王の口から思わず本音が出た。

「武内宿禰は理想の男だもん!」

「銀王様の武内宿禰依存症は治っていないわけですね・・・・。」

「周りが何と言おうとも、私は死ぬまであの人が好き。」

「相当な重症ですね・・・・。」

「どうせ報われない想いなんだから、浮気じゃないわ!」

 銀王は開き直った。

 武内宿禰は自分を異性として見れくれなかった、しかし、それでも良い――銀王はもう武内宿禰が自分をどう見るのか、は判断の外に置いた。

 どうでも良いのだ、武内宿禰の考えなど。自分を女性として見なかった男に何の配慮が必要であろうか?

「兄妹の結婚を避ける?陰陽調和?確かに、陰陽の調和がとれているのが理想よね。だけど、私は理想の男とは結婚できないの!それならもうどうでもいいじゃない!」

「銀王様、落ち着いてください。」

「――ごめん。」

「これから大枝王様と五十狭茅宿禰様とお会いになる時間です。」

「ええ、わかってるわ。準備は出来ているの?」

「はい。後は銀王様が立ち直り次第、いつでも出発できます。」

「わかった、じゃあすぐ出発する。」




「揃ったか。」

 大枝王は銀王と五十狭茅宿禰を見て言った。

「二人とも若干遅かったな。」

「申し訳ございません!足鏡別王様に声をかけられましたもので・・・。」

「そうか・・・。まぁ、宮中官僚の仕事は大変だもんな。で、しろちゃんは?」

「――また武内宿禰が家にやってきて・・・。すみません。」

「ちょっと、いい加減にしないか?」

「え?」

「いつまであんな男を家に上げているんだ?あいつはもう過去の男なんだ!」

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