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ツクモツクモノ ー 付喪憑者ー  作者: jenova
裏組織 神の選抜
15/25

15話 親友との約束

投稿ペースにムラがあり過ぎると反省しております。

死に物狂いでなんとか国会を抜け出した俺達は、真っ先に彼女達を探した。すると雑魚を蹴散らした広場の所に、三人の人影が確認でき、俺は力を振り絞って呼びかけた。


「色島さーん! ジュリエッター!」


俺の声に振り向き、あちらがすぐに返事をする。


「う、歌川君っ!! 先生、多川さんも!」


「無事だったかー! 心配したのだぞーっ!」


そして俺達の様態を察したのか、こちらへと走り寄る。俺は近づいて来る二人の天使の姿を見て、自分が生きている事を再度確認した。


「約束、守ってくれたんだね!」


ここで俺を困惑させる事態が起きる。なんと色島さんが俺にギュッとハグをしたのだ!


「え? あ、ああ、うん。あ、えと、ハハ……。」


頬を真っ赤に染め、目は自然と泳ぐ。俺は童貞丸出しの反応をし、泳ぐ目をジュリエッタの方にやった。すると、頬をプクッと膨らませ、腕を組み、目には涙を浮かべていた。


「心配……したんだからなっ!」


人生の中で、最も幸せなのは今なのかもしれない。美女二人が俺をここまで心配してくれているだなんて、本当に夢のようだ。思いっきりたじろぐ俺を見てニヤニヤしている成人男性二人の事など全く気にならないほどに、俺はこの嬉しさに浸っていた。


「まさか君達、本当にあの男を倒したというのか?」


しかし、この一時に水を差す様に、ナルシストが歩いて来ながらそう言った。


「おう、しっかり仕留めて来てやったぜ。なんなら中行って確かめてくるか?」


「いや、信じる事にしよう。君達はここにいるからね」


「誰です、この他人?」


「んー、そうだな……。うっし、一旦話纏めよう。俺達の治療もしてぇしよ」


多川さんの疑問、そして俺達の救護。他にもする事は山ほどあるが、先生の提案でまずは話し合いをする事となった俺達は、近くにあった自衛隊のものであろう救護カーへと向かい、治療を施す事にした。


ーーーー



「痛たた……!」


「我慢しろ、男だろ? ……っし、完了だ」


先生の巧みな救急スキルに俺は何度助けられているのだろうか。あっと言う間に全員の治療を完了させた先生に、俺は疑問を持ち、質問する事にした。


「あ、あの、先生? どうしてそんなに治療とかの技術凄いんですか?」


「あ、私も気になった! 聞かせてください!」


「ん? あぁ……。昔、医者目指してたんだ、俺」


「そうだったんですか!? でもどうして先生に?」


「なぁに、簡単な事だ。俺には医学の才能が無かった。……あいつは成れたけど、俺にゃ無理だった」


「あいつ……?」


全員がその言葉に疑問を抱く。


「カミさんだよ。今は咲苗、あー、娘の看病で渡米してる。……って、こんな話は後だ、後! ほら! 他の事の方が先決だろうが!」


先生はあまり娘さんの事を話したくはないようだ。当然といえば当然だが、やはり気になっていた。だが深く干渉する事も出来ない。俺達は先生の気持ちを尊重し、今起こっている話を纏める事を始めるのだった。


「……さてと。まずはテメェだな。お前は一体何者だ?」


「フッ、僕は倉科善十郎。倉科財閥の末裔であり御曹司さ。あの金口と言う男とは協力関係にあった。けどもう、それも終わりさ。あんな男なんかより、ここの少女レディ達に協力した方が僕も気持ちがいい。それに、君達といた方が僕の生存確率が上がるだろうと思ったからね」


長々と自分のクズさを露呈した倉科を、俺達はゴミクズを見る様な目で睨んだ。すると、倉科も流石に申し訳なさそうな表情になり、話を続けた。


「わわ、悪かった。そうそう簡単に僕の事を信じる事は出来ないだろう? だから出来る限りヤツらの情報を教える。だから仲間に入れてくれないかい? ほら、僕はヤツらと同じ能力を使える! 戦力にもなる筈だよ?」


俺達はそれを聞いてもなお、睨み続けた。そしてその嫌な空気の中で、多川さんが口を開いた。


「……ねぇ、こんなやつの言うこと、信じていいのかな? コイツは! 1度でも僕らの敵だったんだろう? それに破壊者カタストロフィだ! 手を組むなんてしていいのかな?」


俺達はその言葉に反論すること無く、黙り続けた。すると倉科は俺達に背を向け、救護カーを出ようとした。


「…………そうか。じゃあ僕はこれで失礼するよ……。」


だがその時、先生が呼び止めた。


「待ちな、倉科。一度だけ信じてやる。お前の情報も欲しいしな。けどよ、少しでも裏切る事があったら、真っ先に切り殺す。いいな?」


「……ありがとう。勿論、裏切る様な真似はしない。よろしく頼む」


先生の人情、それはコイツにかけるには勿体ない程の物だった。その大人の寛容さに、俺は尊敬の眼差しを先生に向け始めていた。


「で、でも白金さん! いいんですか?」


「ああ。テメェだって金口の野郎ぶっ潰してぇんだろ? だったらコイツの情報はかなり有力だろうよ。少し我慢しな」


「わ、解りました……」


「私達も我慢するよ、先生。ね? ジュリエッタ?」


「うむ。やむを得まい……」


「歌川は?」


「あ、俺は賛成です……」


「本当にありがとう。……では、僕の知っているヤツらの情報を全て話させて頂くよ」


こうして少し不服ながらも、新たな仲間、イケメン、金持ちと勝ち組ステータスの揃っているが残念なクズ、「倉科善十郎」が仲間に加わる事となった。


「……まずは組織の幹部から話そう。全員で六名だね。一人目は君達がさっき倒した大男、鬼塚周兵衛。あれは幹部の中でも1番厄介な男だ。力も残虐さもトップだろうね」


「となりゃ、アレを倒せたのはデケェ訳だな」


「倒した甲斐ありましたね、先生!」


「おう、そうだな!」


俺達が倒した悪魔、ヤツはどうやらかなり強かったらしい。それを聞いてますます達成感が倍増した。


「うん、君達はファインプレーだよ、本当に。……二人目は真島大貫という男。ガタイのいい脳筋野郎だ。この男と話す時は毎回周りに人が居なかったね」


「……嫌われてたのかな?」


「名推理だな、レンティーヌ!」


「そ、それは無いんじゃ無いかな、ハハ……」


彼女達の斜め上の回答に思わずツッコミを入れてしまった。しかしこの「人が居なかった」という情報は、そいつの能力に関係しているのかもしれない。俺は頭の隅にこの事を置いておく事にした。


「三、四人目は、大森兄弟。兄弟共々IQ150の天才。組織の頭脳みたいだね」


「じゃあ、プロジェクトなんやらはその人達が考えたの?」


「どうなんだろうね。ごめんよ少女レディ、期待に添えず」


「う、うん……」


「五人目、六人目はすまないが確認出来ていない。これで幹部の情報は終わりだ」


「おう、ありがとよ。……ふぅ。まだまだ敵は残ってやがんな……」


倉科の話が終わると、先生は礼を言い、タバコを蒸かした。ここで会話が一度途切れたので、俺はポケットに忍ばせていたスマホを取り出し、破損が無いかを確認した。どうやら無事だったようだ。電源ボタンを触り画面を点灯させると、動画サイトからの更新告知や、アプリのアップデート等が来ており、その中に一つ、ボイスメッセージがあるのを見つけた。漆平からだった。


「あの、すみません。ボイスメッセージ、漆平からなんすけど、聴いてきますね」


「おお、おう。あいつそういや旅行なんだっけか。心配は要らねぇな」


友達からのメッセージ。たとえどんな内容であっても、この状況下で聴く友達の声だ。とても心強い。俺はそう思い、すぐに救護カーを出て、それを聴くことにした。


「おいーっす! 生きてるかー? へへっ、なんつってな! これを聴いてるってことは生きてるよなー! ……俺はハワイにいるぜ! チョー楽しいぜぇ! お前はどうだ? また、ややこしいヤツらと戦ってるのか? あんまジュリエッタちゃんに心配掛けんなよ? …………あと俺と約束しろ。しんどくなったら無理すんな? ちゃんと休めよな! そんだけだ! ………………またぜってぇ生きて会おうな。お前は俺の“親友”なんだからな。……んじゃ!」


おどけていたかと思えばすぐに真剣になり、俺にそう告げた。俺はその言葉を深く、深く胸に刻み込み、決心した。必ず金口を倒し、生き延びてやるんだと。その覚悟は今までより一層堅くなり、俺の中に勇気がじわじわと込み上げて来る。そして友達という物の大切さを感じる。


「約束するぜ、親友」


そして俺はそう小さく呟き、仲間の居る救護カーへと戻る事にした。








これからも投稿ペースはバラバラだと思います。すみません。

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