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ツクモツクモノ ー 付喪憑者ー  作者: jenova
裏組織 神の選抜
12/25

12話 プロジェクト・ノア

1ヶ月程空きましたが、ようやく出来ました。

これからはもう少しペース上げたいと思います。

中に入ると、俺達の想像していなかった事態が起きていた。


「うおっ!? んだよこりゃ!? 」


教科書やテレビで観たことのある国会内部とはまるで違い、無数のツタが絡まり合うことで作られた壁や地面によってダンジョンの様な姿へと変貌し、入口は二手に分かれていた。


「倒壊の原因かな、これ……」


「そうだね。でも、怖気付いてられないよ! 頑張ろ、陶馬くん!」


「う、うん! 頑張る!」


美女の励ましは先程黒歴史を作り上げた俺にはとても効き、荒れた心を浄化してくれた。


「うっし、さっきの班分けで行くぞ、いいな? 多川、下手なマネすんなよ?」


「は、はい! 勿論です!」


俺達は生きて会うことを再び誓い合うと、それぞれの道へと歩み出した。





俺、色島さん、ジュリエッタの三人は、見る景色全てを疑いながら、ダンジョンと化したこの建物内を歩いた。道幅3m程の道が迷路のように入り組み、俺達を惑わせる。


「キャッ!?」 「っ!?」


何事かと思い色島さん達の方を見ると、足元からツタが薄い本の触手の如くうねうねと絡められ壁へ引っ張られると磔になってしまった。


「色島さん! ジュリエッタ!」


彼女らの口は塞がれ、完全に身動きが出来ない状態になってしまっている。走り寄って纏わり付くツタを切ろうとするも、再生力が早くすぐに伸びてしまう。


「クッソ! なんだよこれ!」


俺が試行錯誤を繰り返し、二人を助けようとしていると、先の方から足音が聞こえた。


「このやり方はナンセンスじゃないかい、宇美さん?」


「うっさい! 作戦だろ! 文句あんのか? あぁ!?」


「ふっ、構わないさ。僕は女性の頼みは断らない。特に宇美さん、君のような美しい女性のは、ね」


「黙ってろクソナルシスト! さっさとあのメガネ殺っちまうぞ!」


足音がした方を向くと、二人こちらへと歩いてきていた。1人は茶髪ボサボサの所々破れた服を着た女。そしてもう一人は黒髪で身だしなみの綺麗なイケメン。恐らくどちらかが能力で色島さん達を捕らえたのだろう。


「歌川、だね? 早速だけど闘おうか」


「な、なんだよ急に現れやがって……。自己紹介くらいしたらーー」


俺が戸惑いながらそう言いかけるや否や「宇美」と呼ばれていた女はこちらへと駆け寄り、間合いを詰めて来ていた。


「手の早い女だな、全く……」


俺は刀を構える。だがその動作は一足遅く、既に俺の腹部には女の鉄化した腕が叩き込まれた。


「なっ!?」


「ふんっ、遅いよ?」


とても綺麗な右フックが打たれ、その痛みが俺の全身へと響き渡る。その一撃で吹き飛ばされた俺は体制を崩し膝を付いた。


「ってぇ……。 流石に鉛筆エリフの力があってもあれはキツイな……」


「当然だ。私の力をあまり買い被りすぎるなよ?」


「判ってるよ……。」


重い痛みに耐え、俺は体を立たせた。そして刀を再び構えるとすぐに次が来ていた。

女は脚をスケートのブレードの様に変化させ、滑るようにこちらへと向かってくる。あっという間に距離を詰められ、右脚は速度を乗せ俺を標的に蹴りあげる。


「ぐっ……!」


「甘いっての!」


なんとか刀で防ぐも、その際に出来た隙へと左足が横腹に命中した。俺はすぐさま刀を振り下ろし衝撃波を飛ばすと、後方へと跳んだ。この判断は正しく、幸い真っ二つは免れた。しかし、ドクドクと血の流れる感覚と切り傷の裂け目を無理矢理こじ開けられさらにそこをメッタ刺しにされた様な痛みが右腹部全てに走り俺を苦しませる。


「痛ってぇ……!!」


「あの女強敵だな……。大丈夫か、陶馬?」


「なんとかな……。けど、早めに決着付けねぇとヤバイかもしれねぇ……」


敵からの2発をまともに受けたのがとても効いているのか、俺のライフは残り少なくなっていた。


「なんだよ、つまんねぇ。おいナルシスト、人質の縛り強めてやんな!」


「……判ったよ。 あまり気は乗らないが……」


宇美に指示され男は渋々壁に手を付いた。すると、何故か色島さん達を縛っていたツタが解かれ、彼女らは地面へ崩れ落ちた。


「おい! 何やってんだよっ! まさか裏切るのか!?」


「……ごめんよ宇美さん、僕にはもう、少女レディ達を苦しめることはしたくないんだ……」


仲間割れの様だ。宇美と男は俺達を他所に喧嘩を始めた。


「チッ! だからアタシは最初から信用してなかったんだよっ! 何が協力者だ!」


「悪いね、僕は君達のようにされるのは御免なんだ」


男はそう言うともう一度壁に手を触れた。そうすると物凄い速度で壁のツタが成長し、宇美に伸びると両手両足に絡まり、そしてそのまま大の字にビタンと壁へと貼り付けられたのだ。


「どういうつもりだ、倉科ァ! 離せよっ!!」


キザな男の名は「倉科」と言うらしい。倉科はそんな声には耳を貸さずにこちらへ歩み寄って来た。


「な、何なんだよアンタ……。」


「なぁに、少女レディ達を助けたかっただけさ。僕は金口の仲間でも何でも無いんでね。僕のやりたい事をさせて貰ったまでだよ」

「な、何か分からないけど助けてもらっーー」


「残念だけど、僕は君を助ける気はなかったよ。ま、運が良かったと思いなよ」


倉科は俺の言葉に覆い被せるようにそう言うと、色島さん達の方へ歩いていった。


少女レディ達、多少の無礼を許しておくれ。怪我はないかい?」


「いたたた……。死ぬかと思ったよぉ……。もう! なにすんのよ!」


「おい貴様っ! どういうつもりだ!」


彼女らは一斉にナルシストへと文句を言い放った。良い様だ。


「ご、ごめんよ。ほ、ほら、あの青年も助けただろう? 許してはくれないかい?」


「助けたって……。偶然でしょ? このスケコマシ! 女好き!」


「その通りだ! どうせ吾輩達を助けたのも良からぬ事の為であろう? このハレンチ男!」


「ハハ……。なかなか気の強い少女レディ達だね……」


その後もしばらく色島さんとジュリエッタは倉科を責め続けた。その光景を面白がって観ていたが、ふと腹部の傷を思い出すとそんな余裕は無くなってしまった。


「っ!? うあぁ…………いってぇ……!!」


「陶馬! 大丈夫か!?」


痛がる俺を見ると、すぐさま色島さん達がこちらに駆け付けた。


「歌川君!? ひどい怪我……。どうしよう!?」


「トーマス! 吾輩達がなんとかする! それまで我慢してくれ!」


「大丈夫……。なんとか動けるよ……」


俺は彼女達に心配をかけてはなるまいと、無理をする事にした。


「さ、先に進もう。金口を倒さないと……!」


「……無駄さ、歌川君。彼はもう次の作戦へ移っていると思うよ」


腹部の痛みをひたすらに我慢し、進もうとする俺に倉科はそう告げた。


「次の作戦……だと? どういう事だ?」


倉科の協力的な態度に少し違和感を覚えつつ、俺はそう聞き返した。


「ああ、最大の作戦、《プロジェクト・ノア》。彼等はそう呼んでいたよ」


「プロジェクト・ノア……?」


「詳細な内容は僕には聞かされていない。だが、日本を一新させる作戦だと、金口は言っていたよ。そうだな……。そこに磔になっている彼女に聞くのが良いかもしれないね」


「んだとごらぁ!? ふざけんな倉科ァ! さっさと開放しろや!」


どうやら倉科は先程までの仲間を売ったようだ。先程まで黙っていた宇美は、そう言われると再び声を荒らげた。こちらに寝返ったナルシストクズの考えはまるで分からないが、倉科の言っている事は嘘では無いという事は直ぐに解った。


「ふんっ、まあいい。お前らもアタシもそのプロジェクト・ノアで終わっちまうんだからなぁ!!」


宇美は俺達にそう言い、高笑いをした。そして笑いが溜息に変わると、また話を始めたのだ。


に配属されたアタシらは所詮捨て駒なのさ、計画を無事に成功させるためのね。幹部共は金口と一緒に行動してる。残念だけどアタシらにはその場所を知らされていない。つまりアタシらは良いように使われただけな……の……さっ…………!?」


「っ!?」


強情な態度であった宇美が、少し弱気に話していたその時、彼女の心臓部を三叉の鉄爪が貫いた。俺達は驚き、一斉にそれが繰り出された、倉科と宇美が来た奥の道の方を視た。するとそこにあったのは、2mを軽く超えた身長のある大きな男が、二人の人を両肩に担ぎながらこちらににじり寄って来る姿だった。






「キヒヒヒ……。宇美さん、お喋りが過ぎますよ? 」






続く

次はガッツリ戦闘させたいと思います。

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