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第二話

電車を下りて、そこそこ急な坂道の通学路をしばらく歩いていくと、灯台坂高等学校の目印である大きなエンブレムが見えた。

周囲には、学生服に身を包んだ学生達がちらほらと見える、

ようやく学校か……ワクワクテカテカ。

はやる気持ちを抑えながらも若干早歩きで、校門に入ると大分騒がしくなっていく。


「おっはよ~」「おはよー!」

「ねぇねぇ、昨日の夜やってた幻の昭和男子アイドル特集見たー?」

「あっ、私みたみたー! すっごかったよね、なんかすごかった!」

「うんうん、ちょー、すごかったよね!」

「うんうん、ちょー、さ……」

「「「はぁはぁ物だったよね!!!」」」


そんな、思春期の男子中学生でも言わないような台詞をのたまう、これまた非の打ち所のない様な美少女達の会話は、その大きな声からか周りに筒抜けである、

そんな美少女達の会話を軽蔑した目で見ながら、フンッと、鼻で笑う、

相撲取りを目指せる様な巨体に、オークを思わせるほどの不細工女子グループ達、彼女達はなんとなく自信に溢れ、雰囲気イケメン(しゅう)(かも)し出していた。

俺はここで、女子達の美醜逆転を確信して思わずガッツポーズを取る。

「しゃっ!!」

そして、教室までの道則を歩きながら、この世界では不細工扱いされているであろう、美少女達を観察しつつ、にやける(ほほ)を押さえる為に顔面筋を総動員した。


とこで、俺は、さらにある事に気づく。

男子が予想以上に少ない……? そしてこの周囲の女子率…… こ、これは、もしや…… 。


男子出生率低下系の世界でもあるのか!!


と、心の中で歓喜絶叫(かんきぜっきょう)――しつつ、

俺得祭りのテンプレ展開ラッシュに、心の中であわ踊り。


さらに早足、歩みを進めていくと、いよいよ2-Aいつも見慣れた、教室の前についた。

ちょっとドキドキしながら、深呼吸をして、勢いよく、ドアをスライド――


瞬間、騒がしかった教室が静寂に包まれる、

俺は何かやらかしたか?と、思うが即座にそれが違う事に気づく、

なぜなら、教室の皆、女子含めその少ない男子すらも俺の顔を見て、惚けた顔でぼー、と、見つめている。


この瞬間、俺は確信した、このリアル男の娘という称号を欲しいままにしたコンプレックスの塊である、この俺の容姿が、この世界の男子の美醜の頂点(ちょうてん)にあると!! 俺は、この時初めてこの容姿に感謝感激した。


そして、俺は、ぼーっと、惚けた顔のままの教室の皆に微笑んで挨拶する。

「皆さんおはようございます♪」ニコッ

「「「「っ~~~」」」」

すると教室の皆、声無き声を上げ、全員頬を赤らめ、サッと目をそらす。



おいおい、男子まで赤くなるなよなぁ……ちょっときもいんだけど……

と、内心では、相変わらずの素の口調で毒を吐くと、そそくさと席に付く。

すると早くも赤面から立ち直った女子達がひそひそと会話を始める、


「ねぇねぇ、早乙女君の笑顔ってさ……私はじめて見たかも……」

「う、うん……私もはじめて見た……」

「私も……」「私も……」

「「「正直なんかさ……すごかったよね!!!」」」


というヒソヒソ声なのにその溢れる気迫により、全然ヒソヒソしてない会話を耳にして、俺は思考に沈む。

なるほど……この世界、本来の俺は無口系無愛想キャラか……、それも相まって、初の笑顔で周囲のあの反応か…… 。ふむふむ、なるほど、これはイメチェンが必要だな。

そう決意を新たにしつつ、鞄から筆記用具などを出すと、

しぱらく後に、教室のドアが、

ガラガラっと開くと、そこから現れたのは、

ストレートの長めの金髪にエメラルド色の澄んだ綺麗な瞳、その整った鼻立ちに少し小さめの丸眼鏡をかけた、色白で巨乳の美人な先生だった。

俺はその、あまりのストライクゾーンに感激していたが……。

次の瞬間そんな美人な先生の口から出た台詞が……。

「お前ら席につけぇーホームルームを始めるぞー」

これだった…… 。


そう、ここは女性の美醜が逆転していて、男女の価値観もあべこべな、

あべこべ世界なのだ…… 。おしい…… 惜しすぎる…… あの先生の口調…… なんとかならないか…… 。そう思っていると、先生が日直に催促をする、

「日直~号令ー」


相も変わらず、声も顔も綺麗で俺のストライクゾーンド真ん中なのにっ台詞が男前過ぎるよっ

そんな俺の内心の葛藤を知らない、日直は、読めるはずの無い空気を読まずに、すぐさま号令をかける。

「起ー立~ 礼~」

思考に意識がいっていた俺はあわてて立ち上がりつつも、なんとか周囲に合わせて礼をした。 ふぅなんとか間に合った。


「それじゃ、ホームルームをはじめるぞー 今日はまずは、最初に席替えがあるから 委員長の…… 」

瞬間、教室に歓喜の歓声が沸く、


「「「「席変えキターーー、早乙女君の席の隣は私が貰った」」」」

「「「この時をずっと待っていた!!!」」」

「「「よし、よし、よし、!!!」」」


そんな騒然とする教室に先生は、あきれつつも、声を張り上げる、


「お前ら騒ぐな! 騒いだやつは、早乙女の隣の席はなしだぞ!」

そんな先生の一声で、一瞬で騒がしかった教室は静かになり、


「「「サー、イエッサー!!!」」」

と、全員が声を揃えて軍隊の様な動きで、そろって席に着く女子一同。

そのコントの様な光景に俺は内心ふきだした。

静かになった事を確認した先生は、続けて口を開く


「それじゃ、委員長の鈴森(すずもり)、さっそく席替えをはじめてくれー」

先生の掛け声にはいっ、と返事をして、席を立つのは、茶色の髪をツインテールにした、綺麗な黒色の目にお洒落な細いフレームのメガネをかけた美少女。声はとんでもなく可愛いアニメ声。


「はいっ、わかりました、先生、それでは……席替えを決めるためのくじ引きをします、出席番号順に教卓にあるくじを引きに来てください。」

委員長の声に続き、続々とみんな、くじを引いていくが、

俺はそんな事気にならないとばかりに、

委員長の鈴森さんをがん見する、

委員長はとても大きい胸部装甲をお持ちなのである。


すると、自然と目が合った、俺は誤魔化す意味も含めて微笑むと、

目をぱちくりして、頬をすぐに赤らめて、わたわたとあわてて目を逸らす委員長。

そんな可愛すぎる仕草(しぐさ)に、内心身もだえする俺、

に、みんなの目線が向いてる事に気づく、あっくじ引き俺の番か。

俺はそそくさと、席を立つと、くじを引く、

出た番号は7番、俺は黒板に書いてある7番の枠に名前を書く、

すると、瞬間教室で歓喜と怨嗟の声が木霊(こだま)する。

「「がーー、はずれたーー」」

「「おわたーーおわたーーー」」

「やったー」「私隣!」

「「「くぅ……なんであんな不細工が早乙女君の隣に……!!」」」

どうやら、俺の席の近くはこの世界でいう不細工、つまり俺の価値観でいう美少女達で埋まってくれたみたいだ、自信過剰のクリーチゃー達が席の隣じゃなくて、内心ほっとした、

すると最後の一人がくじを引いて丁度くじ引きが終了したみたいだ。先生が声をかける。


「それじゃ、さっそく席替えはじめてくれー」


「「「はーい」」」


元気な声と落ち込んだ声がまぜこぜになった返事が、教室に響くと、ざわざわとしながらも、皆席を移動する。

俺もさっそく席を移動して荷物を下ろすと右となりから元気で明るい声がかかる。

「えとっ、早乙女君の隣の席になった白石だよー♪改めてよろしくねー♪」

そんな声に振り向くと、ピンク色の髪をショートカットにして、ピンクルビーの様な透き通ったくりっとした目を輝かせて、こちらを見る美少女がいた、

「うん、改めて早乙女です。 よろしくね^^」

そういって、ニコっと返すと、白石さんは緩んだ頬を染めてにへらっと笑う。

「えへへ~早乙女君に微笑まれちゃった~♪」


周囲から怨嗟の声が轟く……。


「「「私が早乙女君の隣の席だったら……くっ!!!」」」

「「「どなどなどなどな……どなとどなどなどな……」」」


一部変な台詞も聞こえた様な気がしたが、気のせいだとスルーして、

さて、左隣は誰だろうか? 

と振り向くと、 委員長の鈴森さんがこっちを見つめていた。


ぶはっwww委員長こっち見つめすぎぃ!と内心ふきだす俺。

委員長は俺が急に振り向いたからかびっくりして、目を見開くと、自分が見つめていた事に気づき、恥ずかしいからか一瞬で赤面して、てんぱりながら、

「さっ、早乙女君、隣の席になった鈴森香奈です、改めてよろしくお願いしますっ」と、自己紹介した。


俺は相変わらず可愛すぎる委員長に身もだえしつつ、

「こちらこそよろしく♪委員長の鈴森さんっ♪」

と、にっこり微笑んだ。


つづく

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