第一話
俺の名前は早乙女 夏、高校生。
容姿は黒髪に黒目で、童顔のちょっと背が低いのがコンプレックスだけど、いったって普通の高校生、だと思う…… 。
小学生の頃はよく女の子に間違えられて恥ずかしい思いもしたし、友人らには、よくリアル男の娘だとか騒がれて、男としては悲しいと言わざるおえない、可愛いなんて一言を言われたりしたけど、まぁ、それでも平和な日本で、それなりにのんびり日常を謳歌してたんだ、うん……してたはず……いやはずなんだけどさ…… 、なんで俺……、朝の通勤ラッシュの満員電車でこんなに綺麗なOLのお姉さんにお尻触られてるの~~!!しかもなんかはぁはぁしてるし!!
「はぁはぁ……くんくんっ」
しかもなんか匂いまで嗅がれてるし~~っ
「はぁはぁ……き、きみっこんなに込んでる朝の時間帯に男性専用車両に乗らないなんてっ……そ、そういうのが好きなのかな?……ふふっふふっ」
そんな気持ち悪い台詞を、黒髪ポニーテールの超美人なOLさんがぴっちりしたレディースーツ越しにもわかる巨乳を俺の背中に押し付けながら耳元で囁いてくる…… 。
いや、何の冗談!? と、思う、我ながら夢ならなんて、とんでもない、エロい夢をみてしまったんだとた思う…… でもこの背中越しに伝わる、この感触…… この神秘を集めた様な感触が、俺に現実だと告げている…… ここがヴァルハラか…… くっ
と、思わず意識を手放しそうになるが、次は~~灯台坂~~灯台坂駅~~お出口は右側~でぇ~す~、という、いつもの聞きなれた学校の最寄り駅である駅名が電車のアナウンスで流れた事により、はっと、意識を持ち直す。
くっもう下りる駅か…… うう……この感触……名残おしい…… しかし、遅刻するわけには…仕方なしっ……
瞬間ぱしっ―― と、
絶賛俺のお尻をもみもみしてる美人OLさんの手を掴みとる。
美人なOLさんの顔が冷や水を浴びせられた様にはっとして、青ざめていくが、
俺はすかさず美人なOLさんに微笑みかけて、周りに聞こえないようにそっと囁いた。
「痴漢は、だめですよ? 俺じゃなかったら捕まってます^^」
と、ウィンクひとつ投げる。
すると美人なのに強張った顔はみるみる緩んでいき、緩んだ顔でにへらっと笑いながら
「そ、そそ、そうだよね……? ごめんね……? もうしないね? にへらっにへらっ」
と、いささか緩みすぎてるが、相変わらず綺麗に整った顔でちょっと気持ちの悪い台詞をはく。
この時、俺はある確信をしていた。
そう、この展開はまるで……俺の大好きな、あべこべ小説の……
展開そのものだと!!!
しゃああああ!俺の時代キターーーー♪
と、内心激しく叫びながらも、俺はすまし顔で、電車を下りて灯台坂高等学校への通学路を歩いた……。
つづく。
あべこべ作品が好きなのに、少ないので書いてみました。
完全に私の大好きなあべこべ要素のごった煮です。
いままで読み専だったので、不出来な小説かと思いますが、ガラスハートなので、温かい目でみてください。