プロローグ 「開幕と目覚め」
※2020/8/7 書き直し始めました。順次修正していきます。一部設定等も見直されていきます。
ふと、目が覚めた。真っ先に視界に映った天井の色は黒い。
「……まだ夜か」
体を起こし、一人呟く。頭がぼうっとして思考が纏まらない。ただ、思考が纏まらずとも身体は自然と立ち上がっていた。
襖を開き、辺りを見渡すこともせず廊下を歩く。
何処からかやけに大きな声が聞こえてくる。
「……襲だー! 賊が……!」
「……様は今……しておられる!」
「とにかく、避難を……!」
怒声と言っても差し支えのない会話を耳に入れながら、焦ることなく歩み続ける。
そして、目的の部屋に辿り着く。
中から、衣擦れの音が微かに聞こえる。静かに襖を開けると少女が横たわっている。その少女の名は……
「……ゆり、起きろ」
「んぅ……」
声をかけられた少女は身動ぎを一つ。目は、開かない。
「はぁ……。まぁ、こいつが声かけただけで起きるわけがない、か」
少女の眠りは深く、声をかけた程度では覚醒しなかった。解ってはいたことだ。
仕方なく、少女を起こそうと部屋に入る。
瞬間――、
「動くな」
「……」
背後からすっと首筋に冷たい何かを当てられる。
「質問に答えれば命は保証してやる」
男の声。視線だけを下げると首に当たっている物の先が見えた。それは鋭利な鉄の塊、ナイフだった。
男は、俺の首に薄いキズをつけながら要求してくる。
「覇閃滅牙はどこにいる?」
男は低く籠った声で問いかけてくる。
「任務中なんじゃないか? 少なくとも、今日は見ていない」
俺は臆することなく、躊躇うことなく、質問に答える。
「嘘をつけ。本当に奴が出ているのなら、何故ここまで警備が手薄だ?」
正直に答えたのだが、男は苛立ったように再度問いかけてくる。
「警備が手薄な理由、か。簡単な話だ」
「何?」
この男がいくら苛立とうと、俺は構わない。だが、これ以上この男の話に付き合うのも面倒だ。
だから、質問の答えを教えてやることにした。
この屋敷の警備が手薄な理由。それは……、
「俺がいるからだよ」
感情の籠らない声で淡々と答えた。
とある日、とある国、とある屋敷で襲撃事件が起きた。敵対している一族による侵入を許してしまい少くない負傷者や文献の一部を奪われてしまった。しかし、死者はなく、負傷者の中でも重症者はほとんどいなかった。それどころか、侵入者の殆どが屍となりその日の内に灰となった。
火葬場にて、数人の大人と一人の少年は死体が燃えてゆく様を無言で眺めていた。全てが燃え上がり灰となると、大人達はその処理を始める。少年は何か一言だけ大人達に告げると、その場を立ち去った。
そして、その日から少年は屋敷を出て数年もの間帰ってくることはなかった。
あの日、少年は大人達にこう告げて姿を消した。
「全てを終わらせてくる」
――と。
皆様初めまして、ドS変態紳士作家と呼ばれたい、「かきす」と申します。
名前について
作中の主人公、「覇閃カキス」の名前と作者名「かきす」ですが特に気しないでもらえると嬉しいです。
「かきす」という名前は私が小学生のころからゲーム等に愛用しているものです。
昔、普通の名前だと名前が被るから登録できないネットゲームがあり、その際に適当にマウスを動かして決めたのが始まりです。
個人的な使い分けはあまりしていませんが、これからはキャラクター名としては「カキス」、自分が喋ったりするものは「かきす」として使い分けるつもりです。
もし、色んなゲームやサイトで「かきす」か「カキス」を見かけたらたぶんそれは私です。ぜひお気軽に話しかけてください。
世界観
基本的にファンタジーな世界観です。魔法や超能力がバンバン出ます。
作中でも説明が出ますが、世界は「三大大陸」というものがあり、私の頭の中では、世界地図を縦に三分割したものを描いています。といっても、"地形が"という話で、ロシ○の位置にある「リベル」大陸の気候や文化が、○シアの気候や文化とまったく一緒ということではありません。
文化レベルは、ハリー・ポ○ターと同じような感じだと思ってください。細かいところで「これ、違うんじゃない?」というところがあっても、学生の知識レベルということで勘弁してください。
日本についてですが、「大和」という国に置き換えています。
大和の首都に関してですが、地元押しで島根にさしてもらいます。大和朝廷的な?……実はこの辺の設定はまだあやふやです。さらに言えば序盤は全く触れる予定がありません。
更新速度について
あらすじにもありますが、不定期更新としています。色々と環境がそろっていないので、初めから不定期更新の形を勝手ながら取らせてもらいました。
「ブラジャータウン」で一話書き終わったらここに投稿していこうと思っています。
感想等
もし感想等がありましたら、批判でも受け取ります。質問も歓迎。
その他
これからも、中書きとかいって、作中に補足等が入る可能性があります。
この物語はまだ明確な終わりが決まっておりません。もしかしたら、途中で設定を変える可能性があります。どうか温かい目で。
最後に
この作品は一部フィクションです。実在するものとは関係のないものがあったりします。あしからず。
そして、島根は観光にはあまり向きませんが、穏やかな暮らしには向いています。おいでませ、島根。