番犬とお散歩
僕はビィ。
スライムを連れ歩くのも日課だ。
結界の調査と修復をした。
ついでに、野良の捕獲。
マリンの薬草畑以上に野菜畑の被害が酷いからね。
捕獲に兄上に活躍してもらったけれど、飛べる子は逃げちゃった。
ちょっと失敗。
結界の外側調査もかねて蜘蛛玉採取してみたけれど、スライムがこっそり繁殖してそうな場所はなかった。
そうなると、密猟で連れて来られたスライムが途中で逃げ出したのかな?
スライムはスライムだけに、粗いザルとかなら出てこれちゃうから、隙間から逃げ出したのかも知れない。
密猟だと面倒なんだよね。
街のギルドに報告しないといけないから。
スライムも証拠で提出かなぁ?
うーん。
まあ生き物だから相談だね。
それはそうと、このスライム スキル覚えるんだ。
って従獣は育成によって覚えるスキルは多種多様なんだって。
と言うことでこのスライムは普通らしい。
色々草を与えてみた。何でも食べる。
雑食。木屑も食べる。
それよりも……。
猛毒性の草や実も平気で食べる。
スライムの生態は謎だ。
夜中に気が付くと、タライにはまってピカピカしていた。
どうやら水が目当てだったみたい。
しかし、鉱石を種類別に固めて一つにするって、特殊スキル?
ヘビとか卵丸飲みして殻だけ吐き出すのと一緒かも。
と魔法。
紅茶に落ちたときに、熱耐性を覚えたので 焚き火に入れてみた。
さすがに大慌てで飛び出して来た。
スライム、水属性だもんね。
でも自動回復を覚えた。
火傷はピリピリ続くからね。
二度目は風を操って、空気の膜を作っていた。
三度目は水で火を消そうとしたみたいだけど、焼石に水でスライムが小さくなってしまった。
水分減ったら体積も減ったらしい。
あはは。ビックリしたよ。
捕まえて水場に連れて行こうと思ったら逃げ回って素早い。
気がつけば、小さい子たちが真似をしていた。
ごめん。従獣たち。
プスプス焦げた毛並みのウルウルした目が。いや本当にごめん。
子どもって、すぐ真似をしちゃうからね。
スライムとは仲直りしたよ?
「汗かいたから一緒にお風呂しよう」と言ったらイチコロ。
今度兄さんに使ってみよう。父上でもいいかなぁ?
さて、迷惑をかけた代理の先生に謝らないと。
☆ ☆ ☆
ますたーは削られて行く宝石を見ています。
僕も見ています。
銀狼も見ています。
竜も見ています。
何故なら、彼が一番巧く削り出すから、お手本です。
彼は魔法の補習の先生です。先生とはいえ上級生が下級生の面倒を見るのも授業の一環。
しかし、ますたー。キラキラした玉が好きみたいです。
そう言えば、竜が持ってくるキラキラした物も身につけてます。
あむあむ
おや? 視線が?
あむあむあむあむ
ピカリンコっと。
「スキル来た」
「原石、こんなサイズだったっけ?」
「いや、あの坑道屑石しか出ないだろ」
あむあむ
いくらでもピカピカにしますよ?
☆ ☆ ☆
僕はスキルが覚えれないまま他の事で単位をクリアして来た。
十で入学して、半年後にはスキル覚えない事が判明。
あの頃は大騒ぎだったよ。
それでも「得手不得手が当たり前、出来ること伸ばす」校風で別の事を頑張ってクリア。
問題には特になかった。
ペーパーテストだけで単位はクリアしたからだ。
そして、スキル持ち以上に器用に何でも出来た。
教師陣はスキルを持っていれば、どんな素晴らしいものがーーと言うことで残念な子と言われた。
覚えれないのだから、どうしようもない。
無い物ねだりは、手に入るからこそねだるのだ。
兄上は、何かと世話を焼きたがる。
ブラコン。シスコン? ん? なんか違うな。
兄上は格好良いから、もう少し落ち着いたら一番人気になるはずなんだけど?
いや、僕の周りそんなのばっかりだな。
アッシュも格好良いのに。
何で遠吠えなんて覚えているの?
遠く離れた仲間との意志疎通って、まあ必要かな?
それはそうと、僕が連れているスライムが僕にスキルを覚えさせていると噂がひろがっている。
実際二年も覚えられなかったスキルをバカスカ覚えている。
従獣はスキルを覚える。
従獣のスキルを使えるのは普通だよね?
そのはず。なんだけど?
初等科は、罠や餌付けで捕獲した従来獣を持つけれど、事務局では人に馴らした個体の斡旋している。
動物の世話も教育の一環だし。
上級生になると大型の従獣と契約したりする。
大型のは捕獲が大変らしい。
そう言えば蜘蛛を飼っている人もいるらしいのだけど、蜘蛛玉取り放題なんだろうか?
所で兄上。アッシュとじゃれて仲良いですね。
みんな見てますよ?
アッシュは武術がすごいので、兄上の片腕になって欲しいです。
てか。みんな避けて歩いていますよ。
見た限り格好良い二人がじゃれているのを見ながら、みんなで集合写真でもとろうかと、考えていた。